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トウモロコシの雨不足によるしなび

2023年の関東の梅雨明けは7月22日でした。
ただ、その前から雨は降っておらず、梅雨明け後も雨が降らない日々が続きました。
結局、どのくらい雨が降っていなかったんだろう?
3週間?もっと?
雨は広い範囲で見れば所々降っていたりしますが、狭い範囲になるとたまたま雨雲が掛からず結果的に全然この地域だけ降らなかった、ということがよくあります。
今年は農園のあたりの地域がそれに当たってしまったようです。

九州北部や山口県、秋田県など一部の地域を除けば7月〜8月上旬は全国的な雨不足気味だったようです。
それに加えて35°Cを超える酷暑の日々。
気象庁が”災害級の暑さ”と表現するほど、今年の7月は本当に暑かった。
土壌中の水分は日々失われていきました。

水が大好きなナスはこの乾燥で木になったままシワシワに。

まるで漬物のようです
こっちのナスも。

ナスがこんな風になってしまうのは初めて見ました。
今年植え付けた畑が(運悪く?)比較的水捌けがいい畑だった、というのもあると思いますが、それにしてもここまでとは。

マーフィーズファームの畑には灌水するような設備はありません。
もし水やりをしようと思えばジョウロでやるしかありません。
でもそれはいくら何でも現実的ではありません。

雨が1時間に10ミリ降ったとしたら、その量は1平方メートルに10リットルの水を撒くことに相当します。
1時間に1ミリの雨なんてほとんど小雨程度ですが、それでも1平方メートルあたり1リットルの水を撒くことに相当します。ジョウロの水やりはこの程度です。

このような乾燥した日が続くうちに、トウモロコシに異変が起きていました。
でもこの時、僕はまだこの異変に気付いていませんでした。

なんと、トウモロコシが萎びていたんです。

所々に見える粒の凹みがしなびです。

トウモロコシの萎び、これは何を意味するかというと、
商品価値の喪失です。

トウモロコシは萎びてしまったらダメなんです。
大きな理由としては、食味が大きく落ちてしまうこと。
粒皮が固くなってしまい、糖度も急激に落ちてしまうんです。
これがトウモロコシの収穫期が短いと言われる所以です。

穂が出てヒゲが出て、だんだん実が膨らんできて、糖度が乗ってくる。
そして美味しいピークがやってくる、この時が収穫期です。

でもそれはわずか数日。ピークを3日も過ぎるとこの萎び状態になっていきます。
なのでトウモロコシを育てる農家はこの収穫期を見定めることにとても神経を使います。

今回、なぜこの萎びに気付かなかったのか。
いつも僕は種を蒔いて穂が出て、という成長過程で収穫期の大体の当たりを付けています。
今年も少しづつ種まきの日付をズラして収穫期もズレるように意識していました。
いつも通り、穂が出てから20日後くらいから実の登熟具合を確認していました。
そうやって順番に収穫していたんですが…
突然ギアが変わった瞬間があったんです。
ここまで収穫して…あれ、何だか次のトウモロコシたちももう一緒に採れるな、
そういうタイミングがありました。

その時はまださらに次に控えるトウモロコシたちのグループ(種まき日で分けてます)ももうすぐ採れちゃうのかな、くらいにしか考えていませんでした。

ところが、いざ採り始めたらもう萎び始めているのもがある!?
あれ??どういうこと?これは大変だ!!
と思ったらもうさらにその次のグループも萎び始めてる!!!

というわけで、急に一気にトウモロコシが萎び始めてしまい、今年はたくさんのトウモロコシたちを無駄にしてしまいました…😭

ポーズ取ってますが内心はトウモロコシが心配でめちゃくちゃ焦ってます。

焼け石に水だとしても、なんとかここまで育てたトウモロコシを無駄にしたくない一心でジョウロで水やりもしました。
片方でおよそ9リットル、両方で1回18リットル。
10往復で180リットル。

でもダメでした。
萎び始めたトウモロコシはプリプリには復活しないんです。

今回の経験から考えられること、それは

  • 実の肥大期に水やりしても手遅れ

  • 成長過程のどこかで過度な水分不足を起こすと早熟する

  • 乾燥条件だとジッパーイヤーが起きない(ドルチェに関して)

実が大きく膨らんでくる時期に慌てて水やりしてももうそこからプリプリになることはありません。
試しに萎び始めたトウモロコシを収穫し、一晩水に浸けておきましたが萎びが改善することはありませんでした。

このトウモロコシを
鍋に水を張り一晩浸けます
翌朝、萎びは変わっていませんでした

花などのように水揚げということは出来なさそうです。

成長過程のどこかのタイミング(もしかしたら全ステージかも)で水切れを起こしたら、トウモロコシも生命の危機を感じるのか、そこから結実期へと一気に舵を切るようです。

こちらは成長期に雨が降ったグループ
こちらは成長期に乾燥にさらされたグループ、背が低い

ジッパーイヤーとは、ドルチェドリームに起こりやすい生理現象です。

粒が縦列に潰れてしまう現象
外から触っただけで判断するのはなかなか難しい

成長期に6月の雨にさらされたトウモロコシたちは、上記のようなジッパーイヤーが入っているものがいくつかありました。
でも今回の萎びてしまったトウモロコシたちにはジッパーイヤーは現れませんでした。
ジッパーイヤーが起きる原因には水分過多が影響している可能性があります。

というわけで、今年の夏は異常な高温と異常な雨不足により、いろいろなことを学びました。
そのための代償は大きかったですが、貴重な経験として来年以降に活かさねば…
そう思う今回の出来事でした。ぴえん。

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