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スポーツブランド「asics」マーケティングトレース

どうも!Marcyです。今回のマーケティングトレースは、スポーツブランド「asics」です。
みなさんはasicsにどういうイメージを持っていますか?日本のスポーツブランドであることはご存知の方も多いかもしれませんが、NIKEやadidasとくらべると、おしゃれなスポーツブランドというよりは「運動靴、スポーツ用品!」というイメージが強くないですか?(ディスってるわけではないです笑)

そんなあなたでも、この記事を読んだ後、asicsの印象がガラッと変わってしまうかもしれません!(大袈裟に言っときます)
といいつつ、重く考えず、気軽な気持ちで見て頂ければうれしいです!
それでは、始めていきます!

ちなみに、自分が参加しているコミュニティはこちらになります!
今回大阪でスポーツブランドをテーマにミートアップが開催されましたが、現地には残念ながらいけなかったので、投稿することで勝手に参加させて頂きます笑。

asicsの会社概要

まず初めに、asicsの会社概要です。

【会社概要】
正式名:株式会社アシックス
本社:兵庫県神戸市中央区
創業:1949年

創業哲学:「健全な身体に健全な精神があれかし−“ANIMA SANA IN CORPORE SANO”」※ラテン語
ビジョン:CREATE QUALITY LIFESTYLE THROUGH INTELLIGENT SPORT TECHNOLOGY(スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する)

asicsの創業って戦後すぐなんですね…!めっちゃ歴史ある会社でした。会社HPにも創業ストーリーが掲載されていました。

また、asicsのシューズは当時海外にも大きな影響を与えていて、なんとあのNIKEもasicsの代理店として創業をスタートさせていました。
NIKE初のロゴスニーカーで、最近ブームが再燃した「コルテッツ」というシリーズがあるんですが、形がasicsの前身ブランドであるオニツカタイガーにそっくりなんですね。最終的には現在のように別の会社となっていますが、asicsなしでは世界No1の人気を誇る現在のNIKEの地位は確立されていなかったと言えるでしょう。

asicsは、「asics sprits」という独自の経営理念を確立しており、ビジョンとしては、「スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」として、創業当時のスポーツ用品店としての精神を残しつつ、ユーザーのライフスタイル全体の創造を目指しています。

なぜ成長してきているのか

戦後間もない頃から、スポーツ用品ブランドとして地位を確立してきたasicsですが、最近ブームが再燃してきています。日本国内はもちろん、海外でも売り上げを伸ばしてきており、世界のスポーツブランド売上ランキングでもトップ5入りを果たしています(2018年のデータ)。
【参考】https://ascenders-merci.com/articles/15

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asicsが成長してきている要因を考える際は、主に「スポーツ」「ファッション」の二つの視点で見ていきます。

まず、「スポーツ」の観点から。主な要因は、下記の二つです。

1.ランニングブーム
2.asics の機能性・品質の高さ(研究所・GELテクノロジー)

近年の健康ブームにより、ランニング・ジョギング人口が増加しています。世界的に見ても、ランニングシューズの市場規模はおよそ2.8兆円とされ、スポーツ全ジャンルの中でもトップです。
ランニング・ジョギングって走るだけだし、最悪靴とウェアさえあればできちゃうので、競技人口が多くなるわけです。
【参考】https://retu27.com/blog-entry-421.html

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特に日本では、2007年から開始された東京マラソンによりランニングブームが起こり、2020年に開催される東京オリンピックの影響もあって、今後も安定して人気のあるスポーツでしょう。

asicsのジャンル別売上内訳を見ると、ランニングシューズの内訳が半数近くを占めています。やはり創業当初からランニングシューズに力を入れていることに変わりはありません。主力商品であるランニングシューズが、スポーツ業界のニーズとマッチしています。

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では、なぜasicsのシューズが選ばれるのか。
asicsはの機能性・品質における強みは「人間中心設計」。「スポーツ工学研究所」という独自の研究施設を持ち、最適なスポーツ用品の研究・開発を行なっています。

このような研究・開発により、asicsのスポーツシューズは中級者・上級者向けのシューズとして、機能性を重視するシリアスランナーから非常に人気が高く、根強い人気を誇っています。若い頃・初心者のうちはnikeを使い、年齢が上がって上級者になると、徐々にasicsに切り替える人が多くなるようです。

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asicsの代表的な技術として、「GELテクノロジー」が挙げられます。ソール部分の衝撃緩衝の会社独自の仕組みで、ユーザーのパフォーマンスをサポートします。

次に「ファッション」の観点です。ブーム牽引のきっかけは、主に3つあると考えています。(ファッション業界が大好きなのでちょっと力入ってます、すいません笑)

1.オニツカタイガー復刻
2.スポーツMIXスタイルブーム(アシックスタイガー)
4.ハイブランドとのコラボ

まず、asics最大の復刻ブームを巻き起こした「Onitsuka Tiger」ですね。
2002年の復刻当時、レトロファッションが流行り初めていた頃だったんですが、映画「キル・ビル」で主演のユマ・サーマンが履いていたことでブームとなりました。レトロな作りでどんなスタイルにも合わせやすいことから、現在でも女性を中心に人気の高い商品です。
この際のマーケティング戦略がうまいですね。現地法人社長の尾山氏は、レトロブームをいち早く察知してOnitsuka Tigerを復刻。高品質の素材を使用して高級ブティックで販売してブランド価値を高め、「Onitsuka」という独特の名前で欧米の顧客の注目を集めました。後にも説明しますが、この高級ブランド路線で売り出したことが、功を奏します。

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次に、スポーツMIXスタイルブームによるスニーカーブームの到来です。2〜3年ほど前からブームとなったスタイルで、タウンユースにランニングシューズやウェアを取り入れるスタイルです。ハイテク・ローテクスニーカー共に人気が出て、asicsもハイテクスニーカーラインである「アシックスタイガー」を復刻させました。

そして最後は、トップハイブランドやデザイナーとのコラボです。
最近では、ブルガリア出身デザイナーである、キコ・コスタディノフとのコラボやロンドン発のブランドであるヴィヴィアンウエストウッドともコラボしています。特にヨーロッパ系のブランドとコラボすることが多いみたいですね。フランスでも非常に人気があり、asicsは「ハイブランドの靴」という位置付けのようです。
このような有名ブランドやデザイナーとのコラボ企画や高級路線で販売したことで、海外からも絶大な人気を確立してします。

ファッション業界全体として、数年前からスニーカーブームは続いていますが、「ダッドスニーカー」と「ハイテクスニーカー」の二大ストリームが存在し、asicsは「ハイテクスニーカー」に属すると考えています。ハイテクスニーカーの競合他社(NIKE、adidas、reebok、puma等)は非常に多いんですが、個人的にasicsってファッション目線からいうと「ハイテク×レトロ」という独自の雰囲気を確立していることが強みだと思っていて、現在流行りつつある70年代ファッションの流行にうまく乗れればさらに人気がでると考えています。

フレームワークによる分析

以上のことを踏まえ、asicsの市場におけるポジショニング・マーケティング施策を分析しました。まずは、PEST分析です。

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個人的に面白い技術だと思ったのは、asicsがベンチャー企業と共同で取り組んでいる「スマートシューズ」です。自分のランニングフォームや身体情報をセンシング技術でデータ化し、分析できる技術です。一般消費者向けでは、まだまだ課題は多いですが、今後動向に注目が集まる技術だと思います。

続いて、ポジションニングマップになります。
asicsのポジションとしては、最近ではファッション性を高めているものの、やはりNIKE等のシューズブランドと比べて機能性重視の側面が大きいのかなと考えています。ミズノはasicsと同じく機能性を重視していますが、asicsに比べてアパレル業界向けの商品が少ないです。

純粋な競合としては、やはりファッション性・機能性の二つを兼ね備えたNIKEですね。adidas等もNIKEと比べるとポジショニングがほとんど変わらないファロワー的ポジションなので、業界トップであるNIKEに対抗する施策を考えていくべきです。

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続いて、マーケティング施策分析(4P分析)です。
asicsとNIKEで比較しました。

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正直比較してみたものの、4P上はほとんど差がないように一見見えます。
しかし、前述した通りNIKEは世界NO.1のスポーツブランドであり、その規模に大きな差があります。プロモーションに関して言えば、NIKEがその規模から地域や国にとらわれない大々的な普遍的プロモーションが可能なのに対し、asicsは海外向けにブランドを作るなど、地域に合わせたマーケティングを実施するという違いがあります。
また、asicsの主力商品はやはりランニングシューズであり、NIKEはスポーツ全般を網羅しています。その違いが顕著に出ているのが、両社のECサイトです。

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メンズの商品カテゴリを確認したところ、NIKEは各商品のカテゴリが同じレベルで表現されて表現されていますが、asicsはランニングのみ独自にカテゴリとして表現されています。また、ランニングの部分を中心にみていくと、面白いグルーピングがされています。

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ランニングシューズの分類分けとして、フルマラソンの所要時間でシューズのジャンルが区切られており、初心者も別ジャンルで分けて表現されています。より細かいニーズに合わせたインターフェースになっていることがわかります。さらに、NIKEは自社のほぼ全ブランドを同じECサイトで一元的に販売していますが、asicsはasicsブランドとカジュアルブランドであるOnitsuka TigerのECサイトを分けており、サイトの雰囲気もOnitsuka Tigerの方がモード風・おしゃれと、大きく異なっています。ここでもニーズ毎の対策がうたれていることがわかります。

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自分がCMOなら

以上の分析を踏まえ、自分で考えたasicsの今後の施策は下記になります。

・高齢者向けの健康維持ウォーキング・ランニング支援イベント
・初心者向けのランニングイベント開催
・フィットネスジムとのコラボ

まず一つ目は、asicsがニーズに合わせた戦略を取ってきたことを踏まえ、主に日本市場向けではありますが、高齢者の健康維持のためのイベントを開催するというものです。イベントでは、asicsの商品を実際に体験し、良さを知ってもらいつつ、今後高齢者が増え続けることを見込んで、高齢者の健康維持にはどんな商品が必要か、データを集めることもできます。若者向けのNIKEのデザインよりも、日本発のブランドで顧客毎の商品を提案しているasicsの方が高齢者には馴染みやすいと考えています。

次に、初心者向けのランニングイベントです。asicsの商品は、中・上級者向けのものが多いですが、asicsファンの中・上級者ランナーを交えて初心者向けのイベントを開催し、デザインに勝る機能性の重要さを伝えることができます。

最後は、フィットネスジムとのコラボです。駅近のフィットネスクラブとコラボし、ランニングに限らず、トレーニング中のパフォーマンスを開発中のスマートシューズでデータ分析できるエリアを開設し、asics商品にも触れてもらう機会を作ります。ランニングをあまりしない層にもasicsの商品を知ってもらい、スマートシューズの可能性も発信することができます。

以上が自分のマーケティングトレースを今後の施策です。
NIKEが競合と言いつつ、会社・ブランド規模では対抗するのは難しいため、地域や年齢・ランナーのレベルに合わせた商品を販売していくことが必要だと考えました。今後もスポーツ・ファッション両面でasicsには注目していきたいと思います!

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