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「ワールズエンドクラブ」の感想(ネタバレ無し)


ワールズエンドクラブというアドベンチャーゲームを買ってクリアしたので感想を書いていきます。基本的なゲームの情報は公式サイトを見てください。

※ストーリーに関するネタバレはありません


■購入のきっかけ

2月のニンテンドーダイレクトで存在を知りましたが、そのときは興味がありませんでした。そして5月上旬に体験版が配信されたのでとりあえず遊んでみたものの、「なんだ、デスゲームか。こういうのはもう飽きてるし、別にいいかな…」と感じたので買うつもりもありませんでした。ちょっと面白そうだとは思ったんですけどね。

しかし発売の少し前、ニンドリ(ニンテンドードリームというゲーム雑誌)のインタビューを読んでいると「ポケモン サン・ムーンに携わった竹さんがキャラクターデザイン」「90年代のノスタルジーな雰囲気」という部分に惹かれ、デスゲームに関してもはじめだけということなので、思い切って買ってみることにしました。


■良かったところ

竹さんのデザインされたキャラクターが素晴らしかったです。こういう言い方は悪いかもしれませんが、ポケモン本編に出てきても遜色ないクオリティで、「これ◯◯シティのジムリーダーだよ」と言われても納得してしまうほど。要所要所で表示される一枚絵も綺麗で見応えがありました。

多種多様な子供たちが各々さまざまなことを考えながら、ケンカしたり別れたりしつつも協力して滅びた日本を歩いていく、という大まかなストーリーの流れは王道ではありますが、雰囲気も含めてなかなか良かったです。話が進んでいくといろんな謎が少しずつ明かされていきますが、その見せ方が上手く、なるほどそういうことか! と思わせてくれるのは見事でしたね。

本作の会話シーンはフルボイスで、声優さんもベテランから売れっ子の方までいろんな方が参加されていますが、(当然ながら)皆さん上手くて役にハマってて、文句無しでした。

音楽に関してはあまり印象に残る部分はありませんでしたが、メインテーマ(?)の歌はすごく良かったです。


■悪かったところ

まずストーリーですが、「良かったところ」でも言及したように、大まかな流れは良かったと思います。しかし、一部の細かいところがやや強引でご都合主義的だったり、唐突な流れで「え? なんでそうなるの?」と思うシーンもあったり、練り込み不足のように感じられました。なので、「お、おう、そうか…なるほど…」と無理やり納得して受け入れたところもけっこうあります。

そして会話を読むのがメインのゲームでありながら、会話のログを見返す機能が手軽に呼び出せないのはかなり不便でした。メニュー画面を呼び出したあと、さらに1階層下のところにその項目が置いてあるので、読み返すたびにいちいち何手順も操作させられるのが苦痛でした。何年も前のアドベンチャーゲームやソシャゲでさえ当然のようにワンボタン、数タップでサッと呼び出せるのに、今どきこんな作りはあり得ないでしょう。

会話のスキップや早送りが、その面をクリアしないと出来ないことも不便でした。クリアせずとも一度読んだものであればスキップ、早送り出来るのが一般的だと思っていますし、開発者が過去に携わったゲームでは出来てたので、会話に関するUIの不便さは疑問に思うばかりでした。

会話シーンで下ネタが頻繁に登場するのも不快で、呆れました。全体の文章量からすれば些細なものではありますが、その内容がセクハラオヤジみたいなノリで不快度合いが高いのと、たまに出てくるからこそ印象に残ってしまうので、余計にイラッとしました。これに関しては「子供向けだからしょうがない」「コロコロコミックでマンガを連載してるんだからしょうがない」と思われるかもしれませんが、自分の子供のころの会話やコロコロのノリを思い返してみると、こういうタイプの下ネタは使われてませんでした。「子供向けだから下品なネタを入れよう」という短絡的な考えで適当に入れたことが見え透いていて、「ああ、子供のことを分かってないんだな」と感じられましたね。

また、このゲームはインタビュー等でも「子供に遊んでもらえたら」と言及してるように、ターゲットは小学生、中学生あたりを想定していたようですが、CEROレーティングは12歳以上となっており矛盾しています。まあこれはCEROの審査でどうしても全年齢に出来なかったという、ある種不可抗力のせいもあるかもしれません。しかし、子供向けを謳いつつ90年代を懐かしく思える人たち(20代後半〜30代以上)にも向けて売り出しているというのは噛み合ってないように思いました。

ところどころで実際に存在する飲料水やお菓子が登場するのもちょっと違和感がありました。調べてみるとそれぞれメーカーさんとコラボをしていたようなのでしょうがないとは言え、やたらと紹介が挟まってしつこかったし、世界観をぶち壊してるように感じられたので不快でしたね。

そしてこれが本作で最も致命的な要素なのですが、アクションパートが信じられないほどのクソゲーです。2Dアクションで操作も簡単、やることはすぐに分かるので難易度も低いです。ただ、これはアドベンチャーパートがメインでアクションはオマケという作りなのであれば妥当な構成ですし、不満も問題も全くありません。

しかしその操作性が非常に悪く、動きがもっさりしていて、簡単なことをするだけでも過剰なストレスがかかります。そして一度ミスをするだけでゲームオーバー。直前からリトライ出来るのでまだマシですが、ゲームオーバー演出がやや長くて、ミスの頻度を考えると非常に鬱陶しいです。

最後の最後までアクション部分で面白いと感じられなかったゲームは久しぶりですね。はっきり言って苦行です。製作者はアクションゲームを作ったことはおろか、遊んだことがあるのかと聞いてみたいです。


■終わりに

とまあ酷評したとおりの出来なのでオススメはしません。ストーリーの細かいところを修正して、アクションパートがまともな作りで、UIがしっかりしていたら良ゲーになり得ただろうなと思います。惜しい作品ですね。

どうしてもストーリーが気になるという方は、アクションの苦行に耐えられるなら買っていいと思います。スイッチ版は定価5000円ほどですが、Apple Arcade版だと月額600円なのでササっとクリア出来れば安く済みます。

ちなみに好きなキャラは冷静で落ち着いた言動のポチと、口うるさくやや毒舌のチュー子。特にチュー子は12人の中でも際立ってたので印象的でしたね。

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