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椎名誠「もだえ苦しむ活字中毒者、地獄の味噌蔵」

社内伝票の備考欄を必ず見落とす同僚がいる。そのたびに「そこに書いてあるだろうが!」と苛つかされる。
毎回腹立てながら、ある日「このひとは自分が必要とする部分以外の文字が目に入ってないんじゃなかろうか?」と気がついた。
その人は、携帯に出なかった時に 内容をショートメールで送っても読まずに、必ず電話を折り返してくる、いやだからメール送ったじゃないですか!→見てない のやり取りの繰り返している。
自分は、そこに文字があれば必ず読む人間だ。目に入ってきた文字が即情報としてインプットされている。しかし、英語の文章があると、そこは無意識に読み飛ばしている(英語苦手だから)
なるほどねー、無意識に自分の周りの文字を探して、何でも読もうとしている自分のほうが特殊なのかもしれない。
それが「活字中毒者」なのだなと、椎名誠の小説を思い出した。
活字中毒を治療するために、文字のない味噌蔵に閉じ込められ、数文字のチラシの切れ端を与えられて、うふふと笑うめぐろこうじのことを30年経っても他人ごととは思えない。