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吉田健一『文学の楽しみ』

最近のことだけど、奈良に行ったら 必ず駅前の啓林堂を覗くことにしようと自分の中で決めた。

あのよそ者の蔦屋書店とやらに大きな顔をされたくないなあと、思うようになってきたからだ。何となく虫が好かないのだ、あの店は。
「文化の上澄み」という言葉が、自分の中に浮かび上がる。

さて、啓林堂の入口に「森見登美彦の本屋(本棚だっけ?)」なる棚があった。
ふーん、なるほど趣味がいいや(この場合の「趣味がいい」とは当然、自分と趣味が合うという意味である)
そんな中で、見つけた1冊が、吉田健一の本。

吉田健一『文学の楽しみ』(講談社文芸文庫)
多分持ってないやつ、図書館で借りたような気がする。吉田健一は再編集ものが多い上に、中身も似たりよったり、しかも挫折することが多いのでどれを読んだか自分でも分からなくなる。
吉田健一は好きな作家だ。総理大臣の息子で、イギリスにも留学していて超インテリなのに、蘊蓄を語らない。自分の食べたもの見たもの読んだもの以上のことを語らない。その自分の体験のみから、ものすごい洞察が光る時がある。ほとんどは酔っぱらいの繰り言なんだけど。

森見さんが、これを読んでなにかガツンときたならば、特に森見ファンではないけれど、それがどんな言葉なのか知りたい気がする。