見出し画像

幸いなるかな

昨日、同僚たちと談笑していたら、呼び止められて、
「日曜日、お誕生日ですよね。おめでとうございます。」
と言われた。

周囲が「え、そうなん?」「へー」「なんでお前知ってんの」と言うなか、
「ボクの誕生日の時、おめでとうって言ってもらったんで。嬉しかったから、ボクも言おうと思ってたんです。」
とのこと。
そんなこともあったのかな、と思ったけど、自分の何気ない言葉に彼が喜んでくれて、そんなふうに私の誕生日を調べて言おうと待ち構えてくれてたのかと、驚いたし嬉しかった。

弊社は毎月発行される社内報にお誕生日リストが載っているんだけど、私もそれをチェックして時々、
「お誕生日オメデト」
「なんで知ってるんすか?!」
「ワシはなんでも知ってるのじゃよ、ふふふ…」
とかふざけてやっていた。
朴訥な感じの彼が、いつ言おうかタイミングを測ってたんだと思うと、尚更嬉しい。このところうんざりすることが多かったので、心が洗われた気分だった。

昨日はまた、訃報もあった。
元取締役だった方で、うちを出た後は独立して事業を起こしていた。私は数年彼のアシスタントをしたことがあり、奥様も元同僚でよく知る方だったことから、とてもよくしていただいた。優しい方で、私が役員の退任騒動の際に派閥的な要因から巻き込まれて辛い思いをしていた時期、小さなプレゼントをいただいたことがあった。
「これ、可愛かったからあなたにってうちのカミさんが」
渡されたのは、ネコのモチーフのミニタオル。ご夫婦も私もネコ好きだった。おそらく、私の状況を奥様にお話しされていたのだろう。あるいは、奥様からと言いながらもしかしたらご自身で選んでくれたのかもしれない。

カバンを開けたら、偶然そのタオルを持ってきていて、当時のその場面を思い出して泣いてしまいそうになった。
ご冥福を心よりお祈りする。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?