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『流転の海』宮本輝

皆さんこんにちは。
今日はぼくが最も好きな小説、宮本輝の『流転の海』シリーズについての話をします。


『流転の海』シリーズ(全9冊)は宮本輝が1982年から2018年の実に37年もの年月を掛け完結した大作です。
はじめて読んだのは遥か昔、1999年頃だったと思う。
主人公の松坂熊吾は宮本輝の父がモデル。息子は当然、宮本輝自身だ。小説だから脚色はされていると思うが大きくは外れていないだろうと思われる。
戦前、松坂商会の社長であった熊吾が、復員後の日本で様々な運命に翻弄される。どんな場面でも豪胆で男気があり気風がいい。初めて読んだ当時は一番脂の乗りきったバリバリと仕事をしていた時だったのでかなり触発された。
のちに房枝と結婚、息子(伸仁)と三人の物語となる。

兎にも角にも宮本輝が生きているうちに完結してよかった。
ファンの間では物語が途中で終わってしまうことに対する心配と、読者自身が生きているうちに完結を読めない心配の二つがあった。やはり完結編の最後には宮本輝本人も大役を終えられた安堵が語られていた。

正直、ぼく自身は読むのは『流転の海』(一部)だけでもいいかなと思ったりする。だって後半はあの熊吾がきんつばを作ったり雀荘をやったり駐車場に間借りしたり…どんどん落ちぶれていく様を見せられる。おまけに何度も騙されて金を持ち逃げされる…感情移入しすぎていてそれを見るのが辛い。
完結編はある程度予想はしていたもののぼく自身はとても残念な最後だった。松坂熊吾には最後までかっこよくいて欲しかったというのが本音だ。
他の読者はどう捉えているのだろう?
興味のある方は先ずは一部を読んでその先がどうしても気になるようなら最後まで…とお伝えしておきたい。
いや、三部くらいまでは面白いと思う。それでもやはり一部のインパクトが強すぎた。そして営業職として歩んでいく上で少なからず熊吾の影響を受けた。

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いずれにしても傑作だと思う。
こんなに夢中になって小説を読んだことはあまり無いんじゃないかな。
あれから25年、改めて一部を読んでみようと思う。

#流転の海 #宮本輝

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