2022年度ロー入試の記録

はじめに

 はじめまして。
 京都大学ロースクール2年次(既習)のまぷれと申します。
 2023年以降にロースクールを受験しようと考えていらっしゃる方々に向けて、私の昨年度のロースクール入試についてのあれこれを記録しておきます。こんな適当なやつでもロー入試って合格できるんだなあ、とリラックスして読んでいただければ幸いです。
 また、有料部分にて学歴や学部GPA、志望理由書、入試成績の順位、予備試験の成績などあまり公開したくない情報や、受験しないことを選択したロースクールとその理由など危ない(?)情報を記載しておりますが、必ずしも有用な情報とは言えないので購入していただく必要はまったくございません。どうしても気になる方のみご購入ください。

ステータス

 前提として、私のステータスを記載しておきます。
 学部:私立大学法学部、ロースクールはB4で受験
 GPA:だいたい2.5(max4)
 予備校:伊藤塾塾長クラス48期
 予備試験:3度受験、1度だけ短答のみ合格、論文の順位は真ん中くらい
 その他アピールポイント:法律事務所でのアルバイト経験、法律系サークル所属(法律家を目指すことについての熱意の裏付けとして)

志望理由書について

 ロースクールの出願に際しては、原則として、志望理由書やそれに類した書類(以下、「ステメン」という)を提出する必要があります。このステメンが合否結果にどれほどの影響を及ぼすのか、正確なところはわかりません。私は、評価基準や配点が不明確な部分に時間を割くのは効率が悪かろうとの考えで、出願ギリギリの頃にサクッと書いて提出していました。不安に思うのであれば予備校などで添削を受けてもいいと思いますが、個人的には、そこまでする必要があるのか疑問に思います。
 一例として、立命館に提出したステメンの一部を記載します。「貴校の教育目標たる「21世紀地球市民法曹」は、私の目指す法曹像と合致しています。私は、弁護士になって、・・・という問題に取り組みたいと考えています。これらの問題に取り組むためには、グローバルな視点や鋭い人権感覚を備えていることは不可欠です。貴校には、これを具体的に実現するための履修モデル、実務総合演習や実習科目が設けられており、貴校での学びにより目標を達成するための専門力量を養うことができます。」
 このように、各ロースクールがホームページやパンフレットに記載しているきれいごとを可能な限りピックアップして、自らをあてはめていけば、なんとなくそれっぽいステメンが完成すると思います。正直、そこまで思ってもいないことを盛りに盛って、自分でもうんざりするほどいい子ちゃんぶって、こういうこと書いてほしいんだろ!オラァ!と思いつつ書きました。
 有料部分にて、作成した5通すべてのステメンを記載しておきます。

勉強方法

 ロースクールの入試は、クセが強いものも多いため、パターンを掴むため少なくとも2~3年分の過去問はやっておいた方が良いと思います。
 私は、B4の5月まで短答の勉強しかしておらず(在学中受験制度が始まる前は、予備試験の短答式試験が5月中旬、論文式試験が7月中旬でした。)、論文に本格的に取り組んだのが6月以降、入試対策に本腰を入れたのが7月下旬ころでした。短答式試験が終わった当時において、憲法民法刑法の論文マスターを一周聞いただけで、まともに答案を書いたことがなく、民訴刑訴商法行政法はノータッチだったのでかなり焦っていました。入試対策の勉強としては、伊藤塾の問研のA~B+ランクを回しながら、試験1か月前ころに5年分くらい過去問を解いて傾向を探り、本番で何をどこまで書くのか書けるのかを意識して頻出分野を重点的に演習しピーキングしていました。

受験結果

 私が昨年度受験したロースクールは、立命館大学、早稲田大学、名古屋大学、京都大学、神戸大学の5校でした(日程順)。結果としては、すべての大学から合格をいただくことができました。以下、各大学の成績や感想などを記載していきます。各ロースクール対策の個別的勉強方法については、責任とれないので参考にしすぎないようにお願いします。

  • 立命館(立命ロー/立命館ロー)
     立命館を受験した理由は、留年率の低さを魅力に感じたためと、予備試験短答合格をかなり評価してくれる受験方式があったためです。私は、伊藤塾を利用して勉強していたため、司法試験受験資格さえ手に入れたら、予備校教材をひたすら周回して合格すればいいと考え、ロースクール選びにおいては文科省の公表している標準修業年限修了率、いわゆる留年率をかなり重視していました。立命館は、関西の私立の中では留年率がもっとも低く(=標準修業年限修了率が高く)、D方式(面接+筆記)の利用で合格の目算も高いと考え、滑り止めとして受験することに決めました。
     受験成績は、なんとか合格したものの、4人中4位、最下位というすごぶる悪いものでした。D方式で受験すれば全免をもらえるものと思っていましたが半免しかとれませんでした。敗因は、過去問をちゃんとやらなかったことにあると考えられます。ここでロー入試をなめていたことを反省して、上記の通り過去問中心の勉強をするようになりました。立命ローは、例年同じような論点しか出題されないようなので、10年分くらいの過去問に目を通して、頻出論点の把握だけはしておくと良いかと思います。
     また、面接試験(ここでいう面接試験は、一般的な面接のこと。面接試験として予備試験の口述試験のような試験が課せられる入試もあるらしいが、そっちについては不知。)について付言しておくと、まず一般論として、スーツを着ていきましょう。募集要項等にスーツ着用と書いていないし、私服で受けても不利益はないかもしれませんが、周りはみんなスーツを着ているし、不利益に扱われることはないとも言い切れないので、無難にスーツを着ていきましょう。次に、私が面接で聞かれた内容について、「法曹を志望した理由、立命館を志望した理由を述べてください」「他にどこを受験する予定ですか?」「立命館の中期後期を受験する予定はありますか?」などを聞かれました。詳細な受け答えの内容は、有料部分に記載しておきます。対策としては、ステメンに記載したことを深堀りされたときに答えられるようにさえしていけばそれで足りると思います。それ以外については軽くリップサービスしつつ素直な気持ちを答えれば良いでしょう。

  • 早稲田(早稲ロー/早稲田ロー)
     早稲田を受験した理由は、私立トップクラスの司法試験合格率の高さを魅力に感じたためです。(田舎者として東京生活に憧れがあったためという理由もあったり。)
     受験成績は、合格したものの、成績開示できていないため順位等の詳細についてはわかりません。
     入試の内容、勉強方法としては、民法は誰も書けない難しすぎる問題が出るのでみんなが書けない論点に拘りすぎないこと、民訴刑訴は出る問題が限られているのでAランク論点を落とさないようにすること、に留意するといいかと思います。また、2022年度の問題は、少し傾向が変わり、同年の予備論文試験によく似た形式のものになっていたので、もしかしたら意識して問題が作られているのかもしれません。

  • 名古屋(名大ロー)
     名古屋を受験した理由は、実家が名古屋市にあるからです。学部のゼミ教授に受験校選びの相談をした際、ロースクール生は病気がちであることから、実家のサポートを受けられることは大きなアドバンテージになるとのアドバイスを受け、日程の被っていた阪大とどちらを受けるか迷った結果、名古屋を受験しました。
     早稲田と同様に、合格したものの、成績開示できていないため詳細は不明です。
     試験の内容については、語句説明問題が出るのが特徴です。私は、語句説明問題の配点はどうせ高くないと考え、説明問題の対策はほとんどせず、論文、特に一定のパターンが見受けられる行政法を勉強して当日を迎えました。(成績開示できていないので配点についての推理が正確なのか確かめようもなく戯言ですが、)説明問題の対策をするのであれば、条文素読して知らない制度があれば調べる、程度の準備で十分だと思います。

  • 京都(京大ロー)
     京都を受験した理由は、日本で一番の司法試験合格率や高い標準修業年限修了率がとても魅力に感じたから…というのは嘘で、本当はせっかくだから受けておこう、程度のものでした。いわゆる記念受験です。後述しますが、私は書類点が低いため京都には受からないと諦め、神戸を本命として考えていたので、京都は過去問すらまともにやっていませんし、当日はサボって秋の京都観光でもしようかな~と半分本気で考えていました。こんな状態でも合格することができたのは、京都の入試問題がオーソドックスな形式であり、問研の周回で対応できたからだと思います。
     成績は、当然といえば当然ですが、総合得点610点くらいで最底辺でした。つまり、ボーダーラインがわかるので、後進の皆様が参考にしやすい成績であるということです(ポジティブ)。憶測ですが、今年は610点弱がボーダーであったと思われます。
     まず、書類点について、私は280点強でした。京都は、学部成績やその他添付書類を評価してつけられる書類点の比重がかなり大きく、この書類点はどうやらほとんど卒業大学とGPAからつけられているようなので、私大卒でGPAの低い私はかなり不利な戦いを強いられたことになります。その他の添付書類として、予備試験短答合格の証明書(写し)と法律事務所でのアルバイト経験を示す在職証明書(原本)を提出しましたが、現在のローの友人と比べてかなり低い書類点がつけられていました。学部が京大の友人とは書類点で40点近く差があったりします。書類点がどのようにつけられているのかなどの考察は詳しい方にお譲りしますが、GPAが高い方が有利であることは間違いないので、京大のロースクールを志望しているB1やB2の方がもし見ていらっしゃるのであれば、学部の授業をちゃんと受けてある程度のGPAは確保しておきましょう(当たり前)。
     次に、筆記試験の点数について、私は330点弱でした。京都の筆記試験の点数は、偏差値換算され、偏差値50だと60点になるらしいです(伝聞)。なので、点数が上振れしにくく、書類点が低いことによるビハインドを取り返すことは困難な仕組みになっています。私と同じく外部の私大から京大ローを目指す方は、筆記試験で330点以上(全科目で偏差値50以上)を目標とすることになるでしょう。330点というのは、普段から予備試験レベルの過去問を回して勉強をし、予備論文やロー入試を複数受けて本番慣れしている人にとってそこまで高いハードルではないと思います。
     最後に、成績開示書類の画像を有料部分に貼り付けておきます。何位で何点だったのか知りたい人はどうぞ。

  • 神戸(神大ロー)
     神戸を受験した理由は、私の学部成績や学力に照らして現実的に狙えそうなレベルで、かつ、高い標準修業年限修了率、司法試験合格率を魅力に感じたためです。私は神戸を本命と考えていたので、過去問をしっかり回して、しっかりピーキングして挑みました。しかし、結果はそこまで振るわず、下位での合格でした(神戸は合格後の辞退者も多く、何位まで合格を出しているのかわかりませんが、今年の神戸ローの入学者数と比較して下位でした。)。
     神戸の入試で特徴的なのは、書類による一次審査があるところです。この一次審査では、(私大でGPA2.5の私ですら通ったので、)おそらく、GPAはそこまで評価されておらず、主にステメンを審査していると思われます。受けの良い言葉を並べてしっかりとステメンを書けば、ほとんど落とされないでしょう。上述の通り、通過したステメンを有料部分に貼っておきます。
     二次試験の筆記試験は、これで一体何の能力を問いたいんだ?と思わせるような変な問題が出ます。過去問にはしっかり目を通して傾向は知っておきましょう。また、時間が全然足りないので、初見の問題にどこまで喰らいつくのか、事前に戦略を練っておくのが良いでしょう。私は、知らない論点について知ったかぶりした規範をでっち上げる作業に時間を空費し、配分を完全にミスりました(反面教師の鑑)。
     なお、京都と同じく成績開示書類の画像を有料部分に貼り付けておきます。何位で何点だったのか知りたい人はどうぞ。

おわりに

 後進の皆様のために、僭越ながらアドバイスを記載しておきます。必ずしも有用とは限らないので、鵜吞みにしないようお願いします。
 とりあえず、可能な限り受験をしましょう。本番経験は、予備試験の論文や司法試験の論文を目指すためにも、とても尊いものです。普段の勉強と違い本番では逃げることができません。逃げられない環境と時間制限の中、失敗できない状況で論文試験を受けることそれ自体が貴重な体験となります。秋に行われる上位ロー入試を目標にするとしても、予備論文を目標にするとしても、夏の私立から複数校受けて経験値を稼いでおきましょう。
 そして、ロー入試に向けて勉強をしていると、必ずと言っていいほどメンタルがやられます。特にB4で受験される方、インスタグラムは見ないようにしましょう。入試に落ちてもなんとかなる、海外旅行はロー生になってから行けばいいなどと自分に言い聞かせて、甘いもの食べて自分のご機嫌をとって病まないようにしつつ、最後まで諦めずにペンを走らせてください。
 最後に、私と同じような境遇で入試に挑まれる方へ。誇れる学歴がなくとも、GPAが低くとも、論文の勉強を一生懸命やれば、ギリギリで京大ロースクールに入ることも可能です!頑張ってください!

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