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#32 omokazi&torikazi / コトノハ―バリウム

 久しぶりの投稿は、方向を転換したいという話。これまで、私は「知らない言葉」を何気なく取り上げようと探すこと、そしてそれについての記事の「何気ない(?)書き出し」を捻出することに少しばかり苦労していた。そこで、題材の根源をいっそのことオープンにしてみようかと考えたのである。

 私は、(自他共に認める)(特に早押しの)クイズホリックだ。実は、これまでの31語の記事は全て、クイズアプリで取り組んだ問題の中から食指が動いた言葉を拾ってきたものである。しかし、さも街中や本で出会ったかのように素知らぬ顔をして読者に紹介していた。まあ、それは何ら悪いことではないのだが、そんな流れを作ったがために、「生活必需語」ではないこれらたちを紹介するための導入には悩ましいものが少なからずあったわけだ。

 そこで、1記事あたり1問をピックアップして、それを叩き台に周辺知識を中心に、押したポイント(早押しクイズにおける解答が確定したところ・もしくは私が勘で押したところ)などについて書く方向にシフトしていこうかと思う。これの利点は、既に知っているであろう言葉についてでも、クイズのなかにある付随知識から学びが出来る可能性がある点である。そのおかげで、よりとっかかりやすい記事が書けるのではないだろうかと考えている。(この方向転換をしようと思ったきっかけは、私の愛用の早押しクイズアプリである「みんなで早押しクイズ(みんはや)」さん側から問題文やスクショの使用許可がでたことも大きい。ありがたい限りである。)

 ということで、とりあえずの本題は終わったわけだが、折角なので方向転換から連想した言葉について書いていこうかと思う。「面舵」と「取舵」である。船乗りとか海賊が活躍する映画やアニメなどで聞いたことはあるが面舵とか取舵ってなんやねん、と思ったことはないだろうか。私に関して言えば、某ジャック・スパロウが活躍する映画でそれらを聞いたことがあるようなないような、という記憶に留まる。少なくとも、現実において出くわしたことはない。

 少しその発生に違和感がある言葉は、翻訳語や実は外国語の音写であることも多い。しかし、今回はどちらも純日本製らしい(英語で面舵はStarboard,取舵はPortというらしいが、昔は取舵がStarboardだという話もあって語源についてはややこしいので今回はスルーしたい)。

 実は面舵・取舵は、視力が弱い方の補助をするときや、軍の訓練などで使われるクロックポジション(3時の方向にお茶がありますとか、6時の方向から敵襲が、とかいうあれ)に似た概念のようである。また現在のコンパスみたいな道具を昔の日本でも用いていて、それも関わってくるようだ。

1.操舵について

 まず前提として船の操舵の話だが、船は直進から針路(船の進行方向のこと)を変える時は舵(かじ)という板を用いる。もちろん昔と今では形状は異なるだろうが、江戸時代でも舵を用いていたようである。舵の先端(後ろ側)を行きたい方向に向けることで、水の流れから揚力を得て針路を変化させるというわけだ。

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2.江戸時代のコンパス

 ルネサンス期における三代発明といえば、もちろん火薬・活版印刷術・羅針盤であるが、そんな凄い発明は、無論、中国を経由して日本に伝来する。
 江戸時代の日本においては、東西南北を12等分して十二支に割り振る方法がとられていた。東西南北という概念はあったはずだが(「菜の花や月は東に日は西に」という句が与謝蕪村によって読まれたくらいだし)、きっと4つじゃ航海するには不足していたのだろう。その方法では、北を子(ね)にし、時計回りに丑、寅、…と振るのだ。
 ちなみに、南北にはしる経線を「子午線」と呼ぶのは、この考え方が基になっている。

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3.画期的な(?)裏針

 日本では、航海の時に「裏針(うらばり。逆針とも書く)」なるものを用いていた。元々のコンパスの文字盤を反転させて、反時計回りに子丑寅卯…がくるようにしてあるという不思議なものだが、これを船に固定させることで、図のように進行方向を磁針が指すような仕組みになっているのだ。
 磁針を北に調整することが当たり前だと考えていた私にとっては、ある意味画期的というか、衝撃的なというか。なかなか興味深い。ただ、見晴らしが良いといいのだが、海が時化だした途端にわからなくなるらしく、難儀なものである。

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4.元々は「うのかじ」

 先述のような裏針を用いて航海していた人が、操舵の指示の時にも裏針を目安とするのはある意味自然である。「うのかじ」と言えば、舵の手前を船上のコンパスの「卯」側に持ってくるという操作である。すると舵の先端は右に向くので、船首も右を向くということだ。「うのかじ」=「右に船首を向けろ」である。酉の舵についても同様だ。きっと、いっぱいと言えば船員は、舵を思い切り卯の方向に向けたのだろう。

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5.訛り

 これに関しては図に示す必要があったかは微妙なところではあるが、図に載っている。このように、面舵・取舵・((ついでに)ヨーソロー)はどれも日本製の言葉であるらしいことがわかった。

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 さて、稚拙な図および文字だったが、字を並べただけよりも大分わかりやすくなっただろうか。これまでは著作権の心配をして文字のみの記事だったが、図も好評だったら継続してみたい(好評じゃなくても可能性はある)。

 本題がなんだったか自身でも忘れていたが、そういえば私におけるコトノハ―バリウムの方向転換の話だった。まあそういうことなので、不定期だけど今後とも読んでいただけるととても嬉しい。ではまた。

校閲:O.T、かんてぃあ

参考サイト
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/hatena/028
https://www.wikiwand.com/ja/%E8%88%B5
https://www.domenavi.com/ippin/2017/16_4.html
https://mantenbosi.exblog.jp/16207157/

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