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「 躍動する新入団選手」 VOL.4

パイレーツには今シーズン14人の新人選手が入団しているが、例年に増してチームの中軸として活躍し、リーグのタイトル競争を繰り広げている選手も数多い。今回はそんなチームを支える新入団選手にスポットを当て、彼らの「今」そして「これから」に迫ります。題して「 躍動する新入団選手」。

投手 山田空暉(やまだ・てんき)背番号24
自分の実力をもっと解放したい

 球場の水銀柱が40度近くを指していた7月16日の南レク城辺公園野球場、先発した山田投手は徳島IS相手に8回を投げて被安打僅か2のピッチングを披露していた。試合は、8回を終えてパイレーツが1対0でリード、「8回終了時、コーチから9回はどうするかと聞かれ、行きますと答えました」。球数がまだ少なかったこともあるが、何よりストレート、変化球ともに「パイレーツに入団して以来最高の出来でした。スタミナも全然大丈夫だった」という。だが、9回表に走者を残して途中交代。交代したリリーフが本塁打を打たれ、終わってみれば1対4の逆転負け、山田に3敗目がついた。だが、この97球の熱投は、パイレーツに山田ありを印象付けるに十分な質の高いピッチングだった。

 彼は入団後、中継ぎからマウンドに上がり、前期後半から先発に移行した。8月2日現在では18試合に登板、58イニングと3分の1を投げて0勝4敗。被安打43、被本塁打は2本で、勝ち星こそないものの防御率はチーム2位の2.47、奪三振もチーム2位の52を数えている。8月1日のソフトバンク3軍戦(宇和島)では4回6失点と本来のピッチングとは程遠く4敗目を喫したこともあり、「しっかり抑え、せめて防御率を1点台にしたい。自分の実力はこんなものじゃないです」と気を引き締める。
 
 「(パイレーツ入団後)高校時代と比べストレートの質も変化球のキレも大分よくなっています」と言う。ピッチングの好不調にバラツキはあるものの、昨年夏の甲子園を湧かした剛腕のポテンシャルが解放され始めているのは確かだ。自身のピッチングに対して貪欲に課題を見出してもいて、「課題を探るならストレートがややシュートしてしまうこと」。その原因について「身体を開くのが少し早いのと、左の股関節に体重がしっかりと乗り切れなくてリリースが少しずれてシュートしています。修正すれば全然問題ないです」。後期公式戦を指し、「愛南の試合もそうですが、緊迫した試合がこれからも続くと思うので、そこで勝ち切れるようにゼロに抑えて、チームに流れを持って来られるようなピッチングをしていきます」と、投手陣の軸の1人として強い口調で宣言する。

 愛工大名電高時代、ドラフト指名の有力候補と目されていた。遠く離れた四国の独立リーグで短期間ながらも濃密な経験を積み重ねつつある今、その注目は昨年に増して高まる。「指名が受けられるかどうか分かりませんが、このパイレーツで後期、結果をまだまだ残さないといけないとは思います」と、8月もストイックにマウンドに上り続ける。


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