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良かった探し『愛少女ポリアンナ物語』


世界名作劇場「愛少女ポリアンナ物語」全51話(2部構成)

1986年放映作品です。
いつも色々勧めてくれる友人に「一緒に観よう!」と誘われ、不安もあったのですが無事に全話視聴しましたので、自分なりの感想です。

ストーリー
アメリカ西部に住んでいたポリアンナは、ある日牧師の父ジョンを亡くし、ベルディングスビルに住む叔母パレーのもとに引き取られた。ポリアンナは、ジョンから学んだ「よかったさがし」をしながら、周囲の人たちと打ち解けあっていく。しかし、ポリアンナは思いがけない事故にあってしまい、歩けない体となってしまう。そんなポリアンナをなんとか助けたいと願うみんなの努力により、とうとうボストンにいるエームス博士の手術を受けられることになった。そして手術は成功し、再び歩けるようになったポリアンナは、自らの幸せを切り開いていく。(NIPPON ANIMATION OFFICIAL SITEより引用)

上記オフィシャルストーリを見ると、ほぼ1部のお話じゃね?と感じてしまうほどのかなりのネタバレを食らわしてくれますが、有名作品だからでしょうか?
全51話というボリュームもあり中々の見ごたえがあります。そして世界名作劇場だけあって安心のクオリティー。

リアタイ放映時も余裕で生まれていたので物理的には問題なく視聴可能だったのですが、いかんせんひねくれた生い立ちゆえ心理的に受け付けず、当時は序盤をチラ見して以降全く視聴していませんでした。

ひねくれ者から見るとポリアンナがどんな場面でも
「良かった!」と叫び、飛びつき、はしゃぎまくる陽気な姿にどーしても抵抗があったり、無邪気で空気の読めない所がどーしても、どーしても受け入れられませんでした。
またそれを周囲の大人が優しく温かく受け入れているのが腑に落ちませんでした。

今考えると、自分が同じ事をしても周囲に受け入れられるような環境ではなかったことから、彼女への嫉妬と羨望からくる嫌悪感だったのだなあと少ーし歳をとったので分かるのですが、当時の私にはそれを自覚し受け入れる度量などありませんでした。

そんな過去の苦手意識があったせいで、視聴を誘われた時も「大丈夫かな?」と不安がよぎったのですが、心配をよそに見事にハマり、最後まで楽しく視聴することができました。

良かった探しとは

物語の中心にある『良かった探し』はポリアンナ曰く、『どんなことが起きてもその中から良かったと思えることを探し出して明るく振る舞うためのゲーム。見つけるのが難しければ難しいほど面白く「良かった」を見つけた時の喜びも大きい』のだそうです。

例えば、ポリアンナがベルディングスビルにいる叔母の家に引き取られることが決まり、駅に迎えに来ていたメイドのナンシーを叔母と勘違いして、喜び勇んで挨拶をするシーンがあります。

たった一人の肉親を頼ってきた少女を不憫に思っていたナンシーは、申し訳なさそうに自分は叔母パレーではないことを告げるのですが、それに対してポリアンナは、それならそれで良いと、ナンシーに会えた事、そしてこれからパレーに会える楽しみがあることが嬉しいと伝えるのです。

このようなマイナスな状況をプラスにひっくり返す行為を、『ゲーム』として楽しむのは機転と解釈次第で出来るのかもしれませんが、今すでにあるものに感謝をする行為は、大人になっても『慣れ』や『甘え』があると中々難しいよなあと思います。

ポリアンナ症候群?

今回の視聴をきっかけに「ポリアンナ症候群」という心理用語があるのを知りました。

微細な良い面だけを見て、直面した問題から目を逸らすことにより現実逃避的な自己満足に陥る症状だそうです。

アニメでのポリアンナを見る限りは、このような現実逃避的な行動は見受けられません。

なぜなら、お父さんが亡くなった時や、二度と歩けないと知った深刻な場面では、さすがのポリアンナも良かったが探せないと嘆き、周囲の問いかけにも答えず、存分に泣き叫び、打ちひしがれたりするのです。

ポリアンナのような手練れでも、深刻な場面では「良かった!」とは言えないようなので、良かった慣れしていない私のようなひねくれ者には救われる所です。

ポリアンナの凄いところ

ポリアンナというと常にポジティブな面がフューチャーされがちですが、私はポリアンナの面白さは、彼女の無邪気で子供ゆえの空気の読まなさだと思っています。

序盤のパレー様とのやり取りで印象的なシーンがあるのですが、行儀作法にうるさいパレー様が、大きな音を立ててドアを閉めたり椅子を倒したりするポリアンナを注意します。

それに対しポリアンナは「叔母さまは椅子を倒すくらい楽しい事が何もなくてお可哀想!」と同情して言うのです。それを受けてパレー様はハッとするのですが、私は思わず
「うわーやめてあげてー。」と叫びたくなりました(笑)。

とにかくおしゃべり好きで自分の思ったことはすぐに口に出し、感情をストレートに表現する素直さを持っていたり、
大人の事情や微妙な感情の機微にはノータッチで、自分が良いと思う事を遠慮なく相手にぶつけます。

さらに嫌味を嫌味と受け止めず、斜めに流す技術も持っていたり、9歳にしてかなりの対人コミュニケーション能力の持ち主である事が分かります。おまけに行動力も高く、周りを大いに振り回します。
けれどその社交性の高さと可愛さで皆から愛され、彼女自身も愛を惜しみなく皆に与えていくのです。

終わりに

この昨今、ポリアンナのように積極的に人と関わっていこうとする風潮は少なくなり、周囲に無関心で個単体でも支障なく生きていけるようになりました。
けれどこの愛少女ポリアンナ物語を観て、人と積極的に関わっていく事でしか得られないものがあるよねと、改めて教えられます。
一人でも全然平気な私には、本当に見習わなければいかんよなーとしみじみ実感するお話でした。

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