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秋の風物詩

インフルエンザが流行り始めているらしい。
ことしは流行が早く、都内では9月には流行しはじめていたとか。
かかりつけの小児科では、ワクチンの開始日に猛烈に予約が入ったらしい。
インフルエンザワクチンの是非については語るつもりはないが、大挙して押し寄せる親子を想像すると、なかなか苦い気持ちになる。
とはいえ、我が家も乳児がいるので、乳児以外はインフルエンザワクチンのお世話になることにした。乳児には母乳から移行すると言われる母親の免疫機能で、どうか頑張ってほしいと願って。

娘を出産してはじめて知ったのだけれど、乳児の予防接種はもの凄い数を打たなければならない。
生後2ヶ月から始めるそれは、まだぷっくりとして小さい手足に、3本の針をさす。
ロタワクチンも摂取するなら、ひと月ぶりに母乳やミルク以外のものを口に入れるのだ。
打たれるその時までは、それが痛いものであることを知らないキラキラした顔で看護師に愛想を振りまいている赤ちゃんが、一転顔を真っ赤にして泣き叫ぶ。
普段から赤ちゃんが泣くのには慣れっこだけれど、痛みで泣く様子には滅多に遭遇しないので、母親の胸はぐっと締め付けられる。
試練だなぁ。

毎回心に決めていることがある。
なるべくわたしは穏やかな顔をしていてあげようということ。

注射は痛い。それは、ある程度は仕方がない。
過去に勤めていた病院の外来主任看護師はものすごく上手で、ほとんど痛くなかった。
でもそれは稀な例だし、わたしがそういった痛みに鈍いというのも理由にあると思う。
大体の場合において、注射は痛い。

その痛い注射をするときに、付き添っている大人がオロオロしていたら子どもは不安になってしまうだろう。
「怖いもの」と認識してしまうかもしれない。
だから、なるべく明るい顔で「今日はチックンと注射してもらうよ」と伝える。
「チックンしたら、病気にかかりにくくなるよ。かかってもひどくならないよ。あなたが強くなるんだよ」も付け加える。
まだ意味なんて理解できないかもしれない。
でも、悪いものでもないらしい。と思ってくれればそれでいいのだ。
それでももちろん痛いのを我慢するわけだから、注射のあとはしっかり抱きしめる。「ありがとう」と伝える。
あなたががんばってくれたから、お母さんは病気の心配が少し減ったよ。ありがとう。

今のところ、赤ちゃんの時からこの方法を続けてきて、娘は注射を嫌がって泣いたことはない。注射後もすぐに泣き止む。痛い一瞬だけ泣く。
成長するにつれ、「ちゅうしゃ」は「いたい」ということを記憶できているが、それでも必要以上いこわがることはない。
「いたい」ものではあるけれど、「こわい」ものではない。

だけどやっぱり、子どもたちの腕に針の刺さるのは見たくない。

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