みんな私の都合

「あのハンドソープって自動購入なんかな」
掃除のおじさんに話しかけられた。

今までは細いおばさんから無くなったら定期的に注文の依頼を貰っていたんだはずだ。
「いいえ、無くなったら言ってください。こちらで注文しますので。」

ふーんそうなんと理解を表すのに話はまだ終わりそうにない。

「なんかなぁ、在庫の減りが早いんよ。」
「はぁ、そうなんですね。1ケース注文しときますね。」
そう答えるとおじさんは体を小さく縮めて小声でささやいた。
「わしらが使う以外にな、食堂で使こうてるみたいやねんけどええんかなぁ。」

わしらが頼んでいるのに、他の掃除場所のやつは何もなく使うん?

オブラートに包まなければおおむねそんなところだろう。

「経費はこちらが負担しているので会社内ならどこで使用する分でも使ってもらって構わないですよ。」
そういえばいつもの女性の方はどうされたんです?

そう話を振ればまってましたとばかりに口を開いた。
「いきなりね、来ないって言って辞めてしまったんよ。」
手に持つモップにもたれかかるようにして疲れてるんよとも言った。
「普通はさ、少なくとも1カ月くらい前には言ってさ、後任が決まってから辞めるよなぁ。」
バタバタしてて大変なんよ。
疲れるわぁ。

そうか。
みんな、自分の都合やな。


おじさんは自分の仕事がうまく回るようにおばさんにすぐやめてほしくなかった。
おばさんは何が理由か知らないけれどハンドソープの詰替をどう手に入れていたのかさえ伝えもしないですぐに辞めたかった。

みんな自分の都合でみんな正しい。

そして私にもきっと他の人からみて自分の都合だけで動いていると思われるような行動をとっているのだろう。

知らんけど。

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