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米農業法が失効、次期法案の審議は難航

米国の2018年農業法が2023年9月末に失効しました。与野党対立のため次期農業法案の審議は遅れており、農業政策の骨格を定めた農業法がない空白期間に入りました。米農業メディアのモダンファーマーによると、主な農業支援策は既に予算措置が済んでいるため、直ちに事業がストップする影響は出ないようです。事実上の期限は2023年末とみられ、大詰めの審議が続くことになります。

米国は1930年代以降、ほぼ5年ごとに農業法を策定し、農業政策を進めてきました。トランプ前政権下の2018年に成立した農業法は、農家への補助金といった「商品プログラム」や、農家の環境保全活動を支援する「保全」、低所得者向けの食品購入補助事業(SNAP)を含む「栄養」、「作物保険」など12章で構成されました。

2023会計年度(2022年10月~23年9月)まで5年間の予算は総額4282億4700万ドルで、このうち「栄養」が全体の76%を占めました。栄養の多くはSNAPが占めるため、農業法審議ではSNAPの扱いがいつも焦点となります。

伝統的に大きな政府を志向する民主党は低所得者支援の拡大を求めるのに対し、小さな政府を志向する共和党は縮小を主張し、対立することになります。今回も同じ構図となっているようです。この分野がまず決着しないと、農家への支援策など残りの分野をどうするかも決められません。

これに関連し、ファーム・ビューローやナショナル・ファーマーズ・ユニオン、トウモロコシや大豆、コメの業界団体など米国の主要農業22団体は9月28日、2023年末までの次期農業法成立を求める書簡を上下両院の与野党有力議員に送りました。2023年は農家の純所得が減少し、翌年もかけて経済状況の悪化が予測されるとした上で、「農家が不安定な経済を乗り切るため、農業法が成立し、リスク管理や商品プログラムを強化することが重要だ」と訴えました。

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