アフリカ諸国、食料増産を改めて確認

アフリカの55カ国が加盟するアフリカ連合(AU)は2月18、19日、エチオピアの首都アディスアベバで首脳会議を開きました。最終日に採択された首脳宣言には、1月25~27日にセネガルのダカールで食料問題を議論した首脳会議(ダカール2サミット)の成果も盛り込まれ、各国が食料・農業供給計画に基づいて食料増産に取り組むことを改めて確認しました。2月20日付で一部の国の計画がアフリカ開発銀行のウェブサイトに公表されています。こうした計画を通じて食料の域内自給を目指していくことになりますが、当然ながら計画をきちんと実行できるかが鍵となります。

首脳宣言に盛り込まれた「ダカール2サミットの成果に関する宣言」は、「世界の未耕作地の65%はアフリカに存在しており、アフリカは自らに食料を供給するとともに、世界の食料供給に貢献する可能性を秘めている」と改めて強調しています。一方で、「巨大な農業の可能性を有しながら。アフリカ諸国は食料不安に苦しみ、世界の8億2800万人の飢餓人口の3分の1がアフリカに存在する」と問題点を指摘します。

また、「食料主権を達成して維持するには、農業技術を大規模に農家に提供し、食料生産を増やし、食料や農業への投資を増やす必要がある」として、巨額の資金が必要になるとの認識も示します。さらに、「アフリカの農業部門を支援していくには、強い政治的な意思と、各国政府や開発パートナー、民間部門の関与が不可欠だ」とも指摘し、官民一体で取り組む重要性も訴えています。

ダカール2サミットの宣言をなぞった内容が多く、真新しいことはほとんど盛り込まれていません。その上で、各国が策定した食料・農業供給計画の重要性を強調し、計画の実行を支えていくことも盛り込みました。各国が首脳レベルで計画の実行に関与することで、何としても達成するという強い意志を示したと言えます。

農業・食料供給計画をいくつか見てみると、ケニアは最優先事項として①小規模農家の所得を35%増やす②大規模な農産物・食料生産ハブを全国に6カ所設立し、農業生産と付加価値を向上させる③食料不安に苦しむケニア人をゼロに減らすとともに、食料コストを減らし栄養を改善するーなどとうたっています。

ナイジェリアは、2027年までに小麦を320万トン、コメを250万トン、トウモロコシを650万トン増産するとの目標を掲げた上で、気候変動に強い品種の導入や土壌の改善などに取り組むと表明しています。エジプトは小麦の自給率を70%に高めるとの目標を掲げました。

アフリカ開発銀行のプレスリリースによると、ダカール2サミット以降、アフリカの食料増産を支援するため、360億ドル以上の資金が集まりました。内訳は、アフリカ開発銀行が100億ドル、イスラム銀行が70億ドル、国際農業開発基金(IFAD)が30億ドル、米国際開発局(USAID)が5億ドル、欧州連合(EU)が4億ドル、西アフリカ開発銀行が10億ドル、アフリカ開発アラブ銀行が20億ドルなどとなっています。

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