見出し画像

防犯×地図 で土地勘のない場所でも安心できる犯罪情報マップを作りたい

こんにちは!Mapbox Japanでインターンをしている吉原佐保と申します。
この記事では、インターン先のミニプロジェクトで作成したマップを紹介します!

今回のミニプロジェクトでは、地域の犯罪率が市区町村レベルで一目でわかる『犯罪発生率マップ』を作成しました。

具体的には、警視庁の「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」と各区市町村の人口から犯罪発生率を算出して、過去10年間の犯罪発生率の推移をMapboxのマップ上に表しました。

残念ながら実装するまでには至らなかったのですが、どういった工程を経て作成したのかを共有できればと思います。

なぜ『犯罪発生率マップ』を作成しようとしたのか

  • 犯罪発生率マップを作成しようと考えたのには2つの理由があります。

  • 土地勘のない地域でもその土地の治安を瞬時に把握できるサービスを提供したい

  • 観光客でも一目見て治安の良し悪しを把握できるサービスを提供したい

新型コロナウイルス感染症の流行前までの日本は外国人観光客数を年々伸ばしていました。

外国人だけではなく日本人も旅行するのが好きな人は多いと思いますが、知らないうちに旅行先であまり治安が良くない地域に宿泊したり、道に迷って不安になった経験はありませんか?

私は旅行先で土地勘がないために何度か恐い思いをした経験があります。その度に、治安を瞬時に把握できるアプリやサービスはないのか探したことがありますが、なかなか地図を用いたサービスは見つかりませんでした。

今回はこうした悩みを解決するべく、以下の目標が達成されるマップを作りたいと思いました。

  • 不審者が発生しやすい場所をマップ上で可視化する

  • 言語がわからなくても色彩により危険度を察知できるようなマップをデザインする

どのような工程で作成したのか

マップをデザインするまでの大まかな工程は以下のとおりです。

1. 警視庁の「町丁別、罪種別及び手口別認知件数」と町丁ごとの人口をスプレットシートにまとめ、各地域(区町丁別)の犯罪発生率を計算する。

※今回のマップで用いた犯罪発生率は犯罪件数÷人口×単位人口(1000人)の式から数字を導いている。(参考にした情報) これにより各地域の犯罪発生率は「1000人あたり何件犯罪が発生しているのか」をわかりやすく求められる。

2.各地域のポリゴンデータを取得する。

3.CSVに書き出す。

4.Geojasonに書き出す。

5.Mapboxstudioに落とし込み、デザインを編集する

今回、ポリゴンデータの取得やCSVに書き出すためのコードは社員さんに手伝っていただきました。犯罪情報マップを実装するために必要なスプレッドシートの書き方や注意点をまとめてみました。

スプレッドシートを用いる際の注意点

Mapbox Studioに地域ごとの犯罪発生率などのデータを落とし込むためにはスプレッドシートを用いて情報を整理した後に、CSVからGeojasonに書き出す方法があります。その際にいくつかスプレッドシートへの書き方で注意すべき点があります。

  • 各項目の表示名は英語で表記する(英語が苦手な人はローマ字表記でもいい)

例えば、世田谷区の丁目別で人口や犯罪発生率をまとめたい場合、1列目の項目表示名は「20年度人口」ではなく「20_population」などと英語表記にしなくてはなりません。スプレッドシートにまとめた後はコードを書くことになるので、アルファベット表記の方が便利だそうです。英語が苦手な方は「20_jinkou」でも大丈夫です!

  • 行(A~)をグループ化できないので、シートを上手く活用する

マップ作成にあたり苦労した点

  • 不審者情報マップを犯罪発生率マップに変更した。

最初は犯罪発生率マップではなく不審者情報マップを作成する予定でした。しかし、不審者情報がまとまっている資料は少なく、情報の信憑性も確保できなかったため、不審者情報ではなく警視庁がまとめた犯罪情報でマップを作成することに予定を変更しました。

  • デザインにこだわることができなかった。

Mapbox Studioを使って色彩により危険度を確認するデザインを実装するのは思いの外難しく、具体的に参考にするマップが見つからないまま進めてしまいました。デザイン性の高いMapbox Studioには様々な機能が備わっているのですが、それ故に使いこなすのに時間がかかるとも思いました。

最後に

旅行先で土地勘がないために恐い思いをした経験から犯罪発生率マップを作成しようと試みましたが実際には実装まで至らず、マップのレイヤー1つ作成するのにも大変な労力と時間がかけられていることを学びました。しかしながら、私のようなMapbox Studio初心者でもレイヤーを自力で作れる可能性があることを知れたことは大きな学びでありました。また、Mapboxでデザインされた地図がこれからも社会のためになることを、このプロジェクトから再確認しました。