マイコプラズマ

特効薬であるはずの抗菌薬が効かない?『耐性マイコプラズマ』への対策は?

 特効薬であるはずの『マクロライド系抗菌薬』が効かない耐性マイコプラズマが出現しています。子どもだけでなく、そのご家族も耐性マイコプラズマのリスクを知っておく必要性があるでしょ

 マイコプラズマ肺炎の原因になるのは、マイコプラズマ・ニューモニエという病原体であり、「マクロライド系抗菌薬」が特効薬です

 しかし、その特効薬であるはずのマクロライド系抗菌薬が、マイコプラズマに効果が上がらないケースがあります。


そのような『耐性マイコプラズマ』の解説をしたいと思います

 マイコプラズマは、細胞壁という細胞の壁を持ちません[3]。


抗菌薬の名前として、ペニシリンという名前は聞いたことがあるでしょう。ペニシリンは、β-ラクタム系抗菌薬という仲間です。β-ラクタム系抗菌薬は、細胞壁を壊したり、作るのを邪魔するような作用があります。


しかし、マイコプラズマは、そもそも細胞壁を持ちませんので効果がありません。


そこで、細胞壁を持たないマイコプラズマに対する特効薬がマクロライド系の抗菌薬です。

 ただ、本来は特効薬であるはずなのマクロライドに効果が低い、もしくは効果がない耐性菌であるマイコプラズマが出現しています。

 耐性マイコプラズマへ使用される抗菌薬

一般的には2種類の大きな括りの抗菌薬が考えられます。


1) ニューキノロン系抗菌薬


1つ目がニューキノロン系抗菌薬です。

一般名トスフロキサシン、商品名はオゼックスが小児で使用されます。


成人に関しては他の抗菌薬が使われることもありますが、小児ではニューキノロン系の抗菌薬が関節や腱を傷めたりする可能性があり、今のところ小児ではトスフロキサシンが一般的に使われています[16]。


2)テトラサイクリン系抗菌薬


もう1つの系統の抗菌薬がテトラサイクリン系抗菌薬です。

一般名ミノサイクリンやドキシサイクリン、商品名はミノマイシンやビブラマイシンという抗菌薬が使用されます。


ただし、ミノサイクリンは、8歳未満のお子さんには注意が必要です。

8歳未満のお子さんにミノサイクリンを使用すると歯の色が変わってしまったり、骨の発育に影響があったりといった様々な副作用が起こり得る抗菌薬なのです[17]。


トスフロキサシンの効果に乏しく、テトラサイクリン系抗菌薬を使用したいけれども心配という場合に、ドキシサイクリンが使われる場合があります。ドキシサイクリンは、8歳未満の子どもに起こりやすい副作用が、ミノサイクリンほどは起こらないのではないかと考えられているからです[18]。

しかしドキシサイクリンは、日本では小児に保険適用がないという問題点があります。


ややこしい話になってきたかもしれませんが、耐性マイコプラズマが疑われる場合には、ニューキノロン系抗菌薬(トスフロキサシン)、テトラサイクリン系抗菌であるミノサイクリン(ミノマイシン)がよく使われるということになります。


表にまとめましょう。



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