劇場版Fate/stay night Heven’s Feel 第三章 spring song 感想

ツイッターの文字数では語りきれなさそうだったので、初めてnoteを使ってみます。お手柔らかに。

劇場版Fate/staynight Heaven’s Feel 第三章 spring song を見てきました。都合三回。三回も見る予定はなかったんですが、第四週の入場者特典が一発目士郎で、二回挑戦して二回とも士郎の確率は1/4。つまり二回目はほぼ確実に凛がくる!というヲタク特有の都合のいい理論展開ですぐ次の回のチケットを取りました。レディースデイ万歳。無事凛の方もゲットしました。まあ、こんなこともあろうかと、早い回を見に行ってたんですが。

さて、本編の感想など書き綴ってみようと思うのですが、とにかく長くなりそうだったので、ひとまず印象に残ったシーンからいくつか抜き出したみようと思います。

ちなみに原作ゲームはプレイ済みですが、細かいところは忘れています。のでとんちんかんなことを書いていたらすみません。

まずは冒頭、桜の衛宮邸襲撃。凛とイリヤのシーンも良かったですね。「お姉ちゃんってどんな感じ?」と聞かれて調べ物の手が止まるも何も答えない凛。「答える権利がない」とか「それを考えると決心が鈍るから」とか真意はその辺でしょうか?そこへやってくるのが「妹」である桜。衛宮邸を指して「うち」と言ってみたり、大規模な魔術を使おうとする凛を制して「家が壊れちゃう」からという理由でボコってみたり、桜マジ桜さん。桜の衛宮の家への執着がわかりますが、根本は変わってないことが伺えます。この後の「姉さんはヒーロー」「次は殺さなくちゃいけなくなる」という発言も含めて、やっぱり桜にとってのヒーローは士郎ではなくて凛、助けて欲しいのも士郎よりも凛。むしろ士郎は危険な目に遭って欲しくなくて、綺麗なままでいてほしいんですよね。CMで流れてた「来てくれたんですね」も正直士郎ではなくて凛に向けた台詞だと思ってました。まあ、凛にも言うんですがこのシーンではありませんでしたね。
凛がやられたところで士郎とライダーがやってきます。ここで士郎は真っ先に倒れ伏す凛に駆け寄ります。その士郎を目で追う桜の目つきが…。スゥっと冷めていくのが物凄い。たった今桜に寄る凶行を見てきたばかりだというのに。桜が悪いことをしたら叱るって言ってくれたのに。士郎としては桜の生い立ちや境遇を知ったからには叱るに叱れないということなんでしょうけど。桜としては自分より姉を優先したようにしか見えないですよね。その上でこの後自分を犠牲にしようとするイリヤのことは思い切り叱りつけるんですから、中の人でなくても「士郎そりゃないよ」となります。
続くライダーの説得も良いシーンですね。後にライダー本人の口からも語られますが、桜はライダー=メドゥーサを触媒無しで召還しています。その場合似通った性質の英霊が喚ばれるのですが、桜とメドゥーサの似た性質とは「いずれ怪物になり果てる運命」。バビロニアを見た後だと今まで以上にライダーの悲痛さが分かります。士郎や凛、イリヤと比べるとその絆はなんとももの悲しいものがあります。
このピンチを切り抜けるべくイリヤがその身を差し出す形になるのですが、「ここでは桜が一番強い」と言われたときの桜の表情。歪むように笑う口元だけでしたが、解釈が分かれそうだなと思いました。無邪気に喜んでいるようにも、本意ではない力に戸惑っているようにも、余裕ぶっていたのが崩れたようにも見えまして。三章通して桜は「悪い子」として偽悪的に振る舞っているようにも、本心から邪悪に染まっているようにも、どちらにもとれるように感じましたが、みなさんいかがだったでしょうか?

続きまして、アインツベルンの森での二つの戦闘シーン。まず、「アインツベルンの森」で「綺礼とイリヤ」が共闘というのが胸熱です。ここはかつてアイリスフィールが切嗣を守るべく同じく針金魔術で綺礼とやり合った場所ですからね。ここで綺礼は士郎、イリヤと分かれて対臓硯&アサシン戦へ。直接戦闘では強くはないアサシン相手とはいえ、ほぼ完封で勝っちゃう綺礼さん。しかし、綺礼の心臓に関しては臓硯は何も知らなかったんでしたっけ?知ってて伝えてないというのは慎重な臓硯にしては抜けすぎてるので、知らなかったと考えるのが自然だとは思うのですが、どうだっけな?で、アサシンを串刺しにした綺礼は屋根の上で文字通り高見の見物を決め込んでいた臓硯の顔面を鷲掴みにして洗礼詠唱で魂ごと消滅させようとします。結果としてこの怪物ジジイはこれでも完全には消滅しないのですが、ひとまず戦闘終了。こことか士郎との戦闘シーンとか、妙に十字架が印象的に描かれていました。
同時に展開されていたのが士郎VSバーサーカー戦。間に挟まるバーサーカー=ヘラクレスの十二の試練の一枚絵がめっちゃかっこいい。そして何より神BGM『EMIYA』。腕の戒めを解いて意識が途切れてからのEMIYAからのアーチャーを追い越しての「てめえの方こそついてきやがれ」。追い越されたアーチャーの嬉しそうな笑顔が印象的です。少年漫画的「熱さ」で言えばここが三章のピークかもしれません。バーサーカーの武器を投影して勝利する士郎ですが、本当ならそれでもバーサーカーに分がある戦いでした。それでも最後の最後で士郎の攻撃の方がさきに届いたのはバーサーカーが士郎の後ろにいるイリヤに気付いたから。バーサーカーは士郎にイリヤを託して消滅します。しゃべります。こんな偉大な戦士があっさりと子供に手を出す派生作品があるらしいですよ。聖杯の泥って恐ろしいですね。それにしても、アインツベルン城で士郎に叱られて連れ出されて、逃げろ逃げないで言い合って、抱きしめられてそこにいるだけで窮地を救って、ついでに最後の戦いには頭を撫でて送り出すイリヤはマジでヒロインでした。この辺はイリヤルートの名残ですね。イリヤルートになったとき、この前後がどういう流れになるのか気になります。

続きまして、御三家のシーン。若臓硯を見て士郎が「慎二?」って言ってましたけど、そんなに似てるかな?慎二が成長して大人になるとあんな感じになるのかもしれない。鶴夜パパは似てたし。遠坂永人のどアップも目と髪の色が凛と同じことを印象づける演出だったのかもしれないなと思いました。
で、ですよ。聖杯の儀式、ユスティーツァを犠牲にしたというのは聞いていましたが、まさかあんな形だとは。宿願の為に笑顔で潰され逝くユスティーツァの狂気、執念。凄いですね。それをみて顔を歪める若臓硯。この犠牲を思えば、そこからの二百年の妄執も無理からぬことなんですかね。最期もユスティーツァの幻想を見て、腹立つほど穏やかに燃え尽きてましたし。

続きまして、地下空洞での士郎&ライダーVSセイバー戦。一言で言えばど派手。せめて二言で言えばど派手でど迫力。本当にここは地下空洞なのか?宇宙空間じゃなくて?と疑問に思うほどの大立ち回り。どっしり構えて受け続けるセイバーと、縦横無尽に飛び回るライダーの対比が印象的でした。ライダーさんめっちゃ煽るし。思ったのが「セイバーはライダーの魔眼のこと知らなかったの?」ということ。メドゥーサの代名詞にして切り札の魔眼を知らないというのは致命的。そんなことも知らせてなかったというのは桜の拙さでしょうか。まさかここで生家由来のうっかりスキル発動ということでは、ないはずだ、多分。
士郎がセイバーにとどめを刺す直前、私は選択肢を突きつけられている気持ちでした。しかも、最後の最後でセイバーがセイバーに戻るんですね。戦闘中とは思えない素の声で「あ…士郎…」って。心がいてえよ。

一方その頃、聖杯前の凛VS桜戦。宝石剣、綺麗でしたね。桜の使い魔を次々に切って捨て「わからない?」「そんなことも知らないの?」「呆れた」「宝の持ち腐れ」とライダー以上に煽りまくる凛についに桜が爆発「姉さんがうらやましかった」「褒めて欲しかった」「私のせいじゃない」「こうなるしかなかった」と慟哭する場面、ちょっと泣きました。この後の展開知ってるぶんなおさらね。そんな桜に凛が言うんですね。「だからどうしたっていうの?」凛は三部作通して魔術師らしい冷たい態度を貫いてきた(中の人もあえてそう演じてきた)わけですが、ここに極まれり、という感じ。監督のインタビューによると、この「不幸」の告白は桜にとっての切り札。それをはねつけられたものだから、桜も激昂してついに姉妹激突!となるわけですが、みなさん知っての通り凛に桜は殺せません。先ほどのセイバー同様ここまで冷たい態度を貫いてきた凛の「あ、ダメだこれ」の素っぽさが際立ってましたね。ここで印象的だったのが交叉する直前、凛の目には桜が映っていましたが、桜の目に映っていたのはその凛が握るナイフでした。桜が凛を見ていれば、一瞬の心変わりに気付けていれば、また結末は変わっていたかもしれません。
凛も桜も、凛は桜を殺せると多分本気で思ってたんだと思うんですよね。まったくうっかり屋さんな姉妹だな。ただ、この展開を士郎だけは予想してたんじゃないかと、「遠坂、勝ったんだな」という台詞を聞いて思いました。

続いて、士郎と桜のシーン。明らかに第二章レインを意識した構図でした。よね?やっとこさ士郎が悪い子の桜を叱ってくれる大切で感動的なシーンです。ただ桜がエロかった。ここまで桜が着てた(ように見えた)ものはアンリマユの魔力によるものなので、実質桜は裸です。なのでアンリとの契約を切ってしまえばどれが解けるの当然。まあ、アンリドレス着てた時から胸の谷間とかお尻とか、作画班の拘りはひしひしと伝わってきていましたが(笑)桜の使い魔のちっちゃいのが服になってくれたの可愛かったですね。エピローグでも一緒にいましたが、凛がトラウマになってないか心配です。

続きまして士郎VS綺礼戦。ここまでの派手でエフェクトガン乗せだった戦闘シーンとは打って変わり、爆発もしなければビームもでない。なんなら引きの絵で殴り合うだけ泥臭い戦いですが、逆にそれがいいよね。ちゃんと人として殴り合ってる感じがしました。ここでも綺礼は首に掛けていた十字架にキスをしたり、倒れた手の先にその十字架があったりと、やっぱり十字架を印象づけたいような演出でした。確かに綺礼は生臭神父のくせにやけに十字架が似合う男ではあります。

そして、イリヤの第三魔法のシーン。ここが一番泣きました。三回見て三回とも泣いた。マスクの中で口を震わせながら泣いた。でも、周りの人も結構みんな泣いてた。あのイリヤが振り返る一枚絵がくることは分かってたんですが、我慢なんかできませんでした。さらに追い打ちを掛けるように士郎が悲痛な声でイリヤを呼ぶ。留めとばかりに聖杯の中ではアイリスフィールとの再会。三章ではずっと桜を喰わんばかりのヒロインっぷりを発揮していたイリヤでしたが、最後はお姉ちゃんとしての姿が最高にかっこよくそして美しかったです。そして、アイリに会ってお姉ちゃんでも聖杯でもない、ただのイリヤに戻っての泣き笑い。正直全部持っていかれましたね。イリヤルート、どんな形でもいいから世に出ないかなぁ。

最後にエピローグ。ここだけで一記事書けるくらい書きたいことがあるのですが、ちょっと絞って。最後に士郎と桜が一緒に道路の白線を越える演出。原作ゲームだと凛と桜の「幸せ?」「はい!」で終わってた気がするんですけど、この一シーンがあるだけで、士郎も桜もまるっきりなんの問題もなく救われたわけではない、たくさんのものを背負って生きていかなければいけないんだとわかりやすくなりました。桜の罪は消えないので、そういう意味では全くのハッピーエンドではない。けど二人でその先へ歩いていく素晴らしいエンディングだったと思います。ゲームの最後の一枚絵、桜の両隣が凛とライダーで、「士郎が隣じゃないんかい」ってなった身からすると、二人の後ろ姿で終わるのは嬉しかったです。
もう一つ、エピローグで桜の目の色が変わってましたよね?青っぽくなってたというか、地下空洞での凛の目の色に近かったように思います。桜の髪と目の色は、元々は凛と同じだったのが間桐の魔術を仕込まれるうちに変貌してしまった、ということなので例の修練(という名の虐待)が無くなって、更にライダーの魔術の手ほどきも受けて魔力とか色々安定したから、ということでしょうか?

総評としてはもう凄い良かったとしか言えません。本当に良かった。強いていうならやっぱり桜の季節に見たかったけど、そこは仕方がない。私の心の中に桜は咲いていました。それくらいいい映画、いい作品でした。監督をはじめとしたスタッフの皆様、キャストの皆様には感謝しかありません。イリヤルートが見たいなぁと思いますが、次はやっぱりホロウでしょうか?とりあえず大人しく十二月のキャメロット映画を楽しみにしようと思います。

ここまで長文をお読みいただきありがとうございました。

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