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劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』感想① 全体&キラとラクス編

この記事は劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のネタバレを含みます。

劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を見てきました。長い感想を三つに分けて垂れ流していきますのでよろしくお願いします。

テレビシリーズから約20年の時を経て、時空を切り裂いてついに上映された今作。最高でしたね。一言で言えば今作のテーマは「愛」ぶっちゃけ「ラブストーリー」です。キラとラクスを中心に、アスランとカガリ、シンとルナマリアのいまいち曖昧だった関係にそれぞれ決着がつきます。ムウさんとマリューさん?あの二人はもう安定しているので大丈夫です。その辺が肌に合わないという方もいらっしゃるとは思うのですが、勿論『SEED』シリーズらしい人間の弱さや汚さも描写されており、「実にコズミック・イラだなぁ」という感じ。

そういえばSEED関連の時はサンライズのロゴに飛んでいくハロが通常の緑じゃなくてピンクちゃんなのいいよね。

以下あらすじ、公式サイトより引用。

C.E.75、戦いはまだ続いていた。

独立運動、ブルーコスモスによる侵攻……
事態を沈静化するべく、ラクスを初代総裁とする
世界平和監視機構・コンパスが創設され、
キラたちはその一員として各地の戦闘に介入する。

そんな折り、新興国・ファウンデーション王国から、
ブルーコスモス本拠地への合同作戦を提案される。

以上、公式サイトより引用。

ストーリーとしては、倒した敵の思想を次ぐ新たな敵が現れてそれを昨日の友も昨日の敵もみんなで力を合わせて、最後は主人公カップルの愛の力で打ち勝つ、という王道中の王道ストーリー。設定や兵器関連が結構複雑なので主軸はこれくらいシンプルでわかりやすい方がバランスがとれてるのかもしれません。おそらくファンの中には、もっとドロドロで陰鬱でたくさん人が死ぬような展開を予想期待していた方もいらっしゃるとは思うのですが、しかし我々は『水星の魔女』でハッピーエンドの良さを再確認したはずだ。大団円で良かったじゃないか。
主軸はラブストーリー。キラとラクスは運命的に出会い絆を深め慈しみ合っていたとはいえ、歴史の波に翻弄される中で「恋愛」関係、もっといえば所謂「性愛」を一足飛びに超越してしまったような関係でした。それにしっかりと決着を着けたのが今作です。この二人、「Desteny」での描写を見る限り、間男くらいでこじれるようなことはないと思うんですけど…。言葉にしないと伝わらないんだなぁということで。キラはともかく、ラクスは忙しいなか手ずから料理を作ったり、行動には移してたんですけどね。最終的にはGガンダムもびっくりのラブラブパワーで巨敵を打ち倒し、世界の平和は守られたのであった…ということでした。コズミック・イラが平和だったことなんてないけどね。

公式パンフレット記載の年齢。2月生まれのラクス、3月生まれのディアッカが、それぞれ同い年のはずのキラやイザークより一つ年上になってるので、4月くらいの話なのかな。テレビシリーズ時はその年に迎える年齢で全員統一されてたはず。そういえば桜も咲いてたな。プラントの植物が、地球の、北半球と同じ時期に花を咲かせるのかしらないけど。

散々言われてた女性キャラの唇問題。映像になってみると、私は、あまりにもぷっくり強調されてるカット以外はあんまり気になりませんでした。私は。

このご時世にユーラシア連邦の首都を焼き払うような映画をよく上映できたな。しかも大戦までは隆盛を誇っていたユーラシア連邦からファウンデーション王国が独立したことをきっかけに多くの国が独立を宣言したことでその国力がどんどん削がれている。なんか聞いたことある話ですね。世界の情勢に依っては上映中止もあったんじゃなかろうか。本当に戦争だの紛争だのは創作の中だけになってほしいものです。

BGM。『Meteor-ミーティア-』流れた時は泣いたなぁ。ラクスの物語らしく『静かな夜に』のアレンジが各所で使われていたり、『出撃!インパルス』のアレンジ曲で最終決戦に発進していくところは最高にテンション上がりました。

相変わらず、コズミック・イラはモブの命が軽いようで、しょっぱなからデストロイが街を破壊し、中盤で核ミサイル三発、レクイエムも三発?しかも今回は自作自演のマッチポンプで全て同じ勢力が撃っているという非道っぷり。ですが、核やレクイエムで人が問答無用で燃えていくところ「ああ、SEED見てるなー」って思いました。これぞコズミック・イラ。いや早く壊せあんなもん。今度こそ徹底的に。

またも国を焼かれかけるオーブ。完全に理不尽な要求をしておいて「従わないようなので10分後にレクイエム撃ちます」とか言われる。オーブが何したっていうんだ。いや、色々地下に隠し持ってはいたけどね。しかし、そこは経験値が違うのか、そのわずか10分の間に国民がきちんと列を成してシェルターに避難していくの訓練されすぎている。さすがオーブ国民面構えが違う。あの後速攻で報復の為と思われる戦艦打ち上げてたし。あれはクサナギかな。中立であり続ける為には、他国が手を出そうとすら思わないほどの圧倒的武力を持てば良いということは現実のスイスさんが証明してくれてますからね。昔のカガリならこれを良しとはしなかったろうけど、いい具合に強かになったんだな。

「デスティニープラン」を望む人はあの世界少なくないのかもしれません。ラクスも言っていたようにその気持ちまで否定することはできない。皆がみんな、キラたちのように強くないし、そういう人たちはオルフェの言う通り「目先の損得で足を引っ張り合う」。実際、導入すれば「自由」と引き換えに「平和」を手に入れられるかもしれない。その裏で多分たくさんのものを失う人も出てくる。それが私欲まみれの政治家とかならいいけど、そればかりではない。そこを国とプランはきちんとフォローできるのか。シビュラシステムもそうだけど、結局使い方次第、100%遺伝子頼りにしない、よほどのことでない限り従うかどうかは任意、みたいな部分的導入ならもしかすると有りなのかもしれない。

そしてPVでも出ていたアークエンジェル撃沈。作中で約4年、現実では20年、一緒に戦ってきた不沈艦。思ったよりちゃんとショックを受けてる自分が居ます。なんやかんやで不時着くらいで済ませてくれるものと思ってたのに、全武装使用不能にしてエンジン切り離し大炎上させた挙げ句、核爆発に巻き込む徹底的な撃沈ぶりでした。あー、寂しい。ブリッジクルーが退艦する時、古株二人が最後に残る艦長に敬礼していくのかっこいい。艦長席、あんな風に避難するんですね。あれ、アークエンジェルの残骸らしきものが爆心地の近くで見つかったって言われてたので、その後その残骸のところまで行くことすら当分はできないのかな、とか。汚染やばいよなぁ。落ち着いたら、さよなら言いに行けたりするのかな。いやそもそも戦艦にそんなことはしないのかな。ゴーイングメリー号の最後みたいな。

善し悪しというか、好き嫌いはあると思うんですけど、特に後半はオールスター登場のお祭り映画というか、ファンサ映画というか、同窓会って表現は巧いこと言うなぁと思いました。キラもラクスも色んなところでミーアやフレイ、クルーゼのことを思い出してましたね。ニコルは二回死んだ。いや、ニコルとトールのことは、キラとアスランの物語においては重要な転機だったけど。事前に「1カットだけ出る」と言われていたカズイは勿論、台詞こそないもののサイがガッツリ出ていたり、クサナギクルーが皆いたり、なんといっても「ニコルの戦術」「トダカ一佐仕込み」「戦術バジルール」。先の大戦で死んでいった仲間たちは今も皆の中に生きているんだなぁと、これだけでこの映画には価値があると思います。

・キラ
主人公。今回のキラは「Desteny」の頃のどこか悟ったようなキラではなく、「SEED」の頃の戦いの中で思い悩む人間らしいキラでした。ラクスのことが好きなのは明らかなのに、戦うことしかできない自分にはラクスの隣にいる資格がないと思っている。なんかいい意味で普通の20歳そこそこの男の子になったな、と。フレイのこともあって、恋愛方面に臆病なとこもあったのかなぁ、とか。「人は簡単には変われない」と憂うキラの横でハロが「オマエモナー」は可哀想すぎるよ、誰に似たんだアスランか。多分「SEED」の頃から思ってたであろう「君たちが弱いから!」を吐き出せて、頼れる仲間をきちんと頼れるようになって、「僕にはラクスがついてるから負けない!」ってなれて良かった。言えたじゃねえか…。キラ君、幸せになってくれ。
アスランとの殴り合い(殴り合えてるとはいってない)のシーン。20年の時を経て「やめてよね…」を返された気持ちはどんなだったのか。応じてくれるだけアスランの方が優しいのか、一発も殴られてくれないアスランの方が厳しいのか。
あと相変わらずベルトがいっぱいの服が好きなようで安心した。キラ君は変わってなかった。

・ラクス
ヒロイン。無敵。女神。キラのことが大好きで、キラの隣で一緒に戦いたくてコンパス総裁として再び表舞台に立った、にも関わらず、戦っても戦っても世界は平和にならず、それ故にキラの笑顔は減っていく。ラクスはラクスで無力感があったとは思うんですけど、そんな中でも料理を作って遅くまで待っていたり、会話を試みていたり。所謂「年頃の女の子」らしい一面を見せてくれたかと思えば、オルフェに押し倒されても毅然と拒絶したり、キラに最新装備を渡しにいくためにマリューさんを説得して自らパイロットスーツ着て戦闘参加したりと相変わらずラクス様してましたね。まあ、あのパイロットスーツのデザインはどうなのかとは思うんですけど。女神感出したかったのかなぁ。「必要なんだよ、そういう演出みたいなのも」ってこと?ラクスの衣装、シリーズが進むにつれて派手になりましたよね。陣羽織も初代が一番好きだなぁ。品とかわいらしさと勇ましさを併せ持ってて。「Desteny」の時のは本編で着てたのより、エピローグで着てたロングスカートみたいなタイプの方がすきですね。あれかわいい。衣装で言えば、今回はいつもの陣羽織だけでなく、会談用のスーツ、パーティドレス、私服のスカート、ピクニックのパンツスタイルとお色直しが多くて素敵でした。回想で穿いてたの結構短いスカートでしたよね。あとパーティの時、口紅の色違いませんでした?普段はちょっと抑えめですが、あそこは結構はっきりピンクだった気がする。

今回、その出生について少し明かされたラクス。「世界を導く者」として作られた、特別なコーディネイター「アコード」という存在でした。あのカリスマ性は遺伝子調整で作られたものだった。だけでは無いんでしょうけどね、もちろん。なんなんだろ、みんな1/f揺らぎとかで喋れるようになってるのかな。「SEED」の頃は「失敗作の他の兄弟たち」を犠牲に生まれてきたとか言われてたキラが今度は失敗作呼ばわりされるの皮肉が効いてるというか…。メンデルの研究所はまだまだ厄ネタ抱えてるでしょう。早めに膿は出し切った方が良い。

最後のシーンでラクスの指輪が宇宙に浮いてました。母親の形見で、今回オルフェとお揃いと判明したもの。捨てたのかな。オルフェとの繋がりを感じさせるアイテム、というか洗脳装置みたいになってたものなので、今回の流れで言えば捨てたくなるのも致し方ないけど、母親の形見でもあるし、ヤキンドゥーエの時にはキラの託したこともある指輪なのに。まあ、宇宙空間にヘルメットが漂ってても中の人は生還する世界なので、指輪くらい返ってきてもなんの不思議もないんですけど。

不満、というかツッコミどころは多々あったんですが、おおよそファンが見たいものを詰め合わせたいい映画だったと思います。スクロールのエンディング映像欲しかったなぁ。興行収入何十万円とかの記念で作ってくれたりしないだろうか。『去り際のロマンティクス』映画公開前はキラとラクスのどちらか死ぬんじゃないかと言われてたけど、ちゃんと聞いてみると普通にラブソングでしたね。二人で生きてください、幾久しく。

感想その②既存キャラクター編に続く

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