君が綺麗になりすぎて戸惑う

君が綺麗になりすぎて戸惑う

寝癖も直さずに登校していた君が

今までよりも大人な装いになった時

今まではサイズの合わないガブガブの服を着て、

ガーリーという言葉とも違う、

別の意味での少女的だったけれど。

君が綺麗になりすぎて戸惑う

初めて会った時は、根暗感ダダ漏れだった君が

陽気な性格になった時

君がダーティーな雰囲気でいたから

知らぬ間に君にあやかって

陰険な発想を巡らすことに躊躇が少なかったけれど

君が綺麗になって戸惑う

君は綺麗になったね

今、世界から穢さが消えて行くところだよ

ボクも自分を憎むことをやめたら

誰も憎まなくて良くなったよ

おどろおどろしい   渦巻く因縁も

悟りを開いて断ち切ったよ

君が綺麗になって戸惑う

世界から穢さが消えていった世界に

未だ穢さを求めたがる理由（わけ）はどうして

調和のとれた世界   安心で安全な世界

やすらぎの音が響き渡る世界

都会の喧騒も   ピタリと止んで

静寂が響き渡る

きっと、世界の調和が完璧に取れた瞬間

ボクたちは、生まれる前の気持ちに戻っているのかもしれない

愛と平和が咲き誇る楽園に住んでいたボクたちは

自分と相手を区別する根拠を持たずに生きていた

そのうち、自分とは何かを知るために、

楽園よりも、波動が低い世界に生まれ変わることを自ら選んだ

君が綺麗になって戸惑う

世界から穢さが消えていくのに

ボクがボクである根拠が消えていくように感じた

ボクは   ボクであることを求めたためか

穢い考えを   再び持ち始めようとする

きっとそれは本能だ

消失することを回避する防衛本能かもしれない