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一人の青年の物語 21.高校編

高校生活はあっという間で、もう一年が経過しようとしていた。
前のエピソードに書いてた通り、サッカー部を辞めようと思っていた。↓
一年前までは。   ↓

しかしとても辞める気にはなれなかった。
親友であるBに心を動かされたからである。

青年は、人は「成長」するということを全く信じない。その人が自分自身で「成長した」と言っても、なんて薄っぺらいものなんだと思っていた。

人は変わるものだとは思っているが、その本質は決して変わらないと思っていた。

高校の部活動では、中学のクラブチーム組と部活動組がいる。青年もBもこの部活組に属するわけだが、統計的に見て、クラブチーム組の方がサッカーは上手い印象がある。

今思えば、どこか青年は諦めてしまっていたのかもしれない。
どうしても、青年がこれ以上サッカーが上手くなる想像ができなかった。
同時にBも青年と同じ境遇であるために、
正直、Bも青年と同じ道を辿ると思っていた。 

でもBは違った。
Bはいつだって前を見て、先のことを見据えていた。
何より、サッカーを純粋に好きでいるのが伝わってきた。

Bは周りから評価されるようになってきた。
Bは明らかに「成長」していた。

青年とは違った。
Bと話すたび、Bのプレーを見るたび
「卑屈になってる場合じゃないぞ、やってやろうぜ!!」と言われてる気がした。

この頃は完全にBを尊敬してしまっていた。
親友なのに。

幼稚園からいつも肩を並べあっていた親友が遠く感じてしまった。
同じボランチ(ミッドフィルダー)で、いつも横で共に闘っていた、時には競い合っていたBに。

このままでいいのか?
卑屈なまま、諦めていいのか?
自身で限界を決めていいのか?
全力を出し切ったのか?

違う!!
そう思った。
あいつにそんな風に見られたくない。
あいつにこれ以上差をつけられたくない。

青年はあいつのライバルでいたいのだ。

Bに教えられた。
人は「成長」できる事を。
親友であるBが教えてくれた。

サッカー部を辞める事をやめた。
サッカーともう一度向き合ってみることにした。
辞める事を決めていて、1年間ただ待っていた時とは違う。

2年目から、プレースタイルを変える事を決めた。
今後後悔しないために、自分の全力を尽くすことをきめた。
Bに追いつきたい一心で。

今まで(中学)は体(身長)が大きい方だったので、その体格を活かしたプレースタイルだった。
相手にボールを取られても、身体をぶつけてなんとかなることが多かった。

しかし、高校に上がると、身長は平均的になり、身体も負けるようになった。
それにもかかわらず意地で、プレースタイルを変えないため、上手くいかないことが多かった。
足元も、当然下手だった。

そこで、身体を活かしたプレーは捨て、足元を練習し、パス精度や、ボールコントロールに神経を注ぐことにした。

極力身体任せのプレーを避けることにした。
プレースタイルを変えたことによる反動で上手くいかないことも多かった。

それでも、プレーに限界を感じることはなく、
日々「成長」を実感することができた。
自分で何か意識してやることは
最も効率的な「成長」である事を学んだ。

Bに追いつきたい。
それが青年のモチベーションだった。

結論から言うと、
Bに追いつくことはできなかった。
Bの方がサッカーを楽しんでいた。
Bの方がサッカーを好きでいた。
Bの方がサッカーの素晴らしさを知っていた。
たったそれだけの差
されどその差は大きかった。


後悔は微塵もない。
自分がサッカー部でいる間は常に最善を尽くしたと思う。

やっぱりあいつはすごい。
Bと一緒にサッカーできたことが心底嬉しい。
そして、青年に大きな変化が訪れる。
サッカーが好きだと気付けた。

1年前までサッカーを楽しいとは感じなかった。
しかしサッカーを見るのもやるのも好きだと気づいた。

サッカーの奥深さ、自由さ
サッカーを通して人は「成長」できると知った。
個人的な理由だが、
サッカー部キャプテンが人間的に好きだった。
ただひたすらにかっこよかった。

少し考えるだけでたくさん思いつく。

サッカーが繋いでくれたものは大きい。
青年を人としても「成長」させたのは間違いなくサッカーである。

高校2年から青年は少しずつ成長していく。
様々なことが変わっていった。

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