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コルビュジエとアイリーンの作品群「キャップ・モデルヌ」見学

ル・コルビュジエの休暇小屋


モナコよりも少しイタリア寄りにある岬「カップ・マルタン」には、近代建築の貴重な作品群があります。
「キャップ・モデルヌ(Cap Moderne)」と名付けられたその一帯は保護されていて、ガイドつきツアーでのみ見学できます。

ル・コルビュジエはス言わずと知れた近代建築の巨匠です。
近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、自由な立面、水平連続窓)を提唱したり「ドミノシステム」という建築方法を発案したりしました。
コルビジェよって、建築はこれまでの石やレンガを積み上げる方法から、現代も続く鉄筋コンクリートの建築へと大きな転換を遂げました。

そんなコルビュジエが多くの時間を過ごしたのが、カップ・マルタンにある休暇小屋です。

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小屋の隣にはコルビュジエの友人によるレストラン「エトワール・ド・メール」(ヒトデ軒)があります。
壁画はコルビジェの作品で、本人の手形もありました。

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小屋と同様にコンパクトで、海の家みたい。

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マリメッコでしょうか、レトロなテーブルクロスがかわいいですね。
ここでコルビュジエたちがくつろいでいたのを想像すると、またかわいい。

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テラスからの眺めは最高! 遠くにモナコのまちを望む素晴らしいロケーションです。コルビュジエはこの海でよく泳いでいたそうです。そして、海水浴中に心臓発作で他界しました。ここはコルビジェの終の住処だったのです。

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休暇小屋とヒトデ軒から数メートル離れたところにあるコルビュジエの仕事用の小屋。なかはシンプルで、大きな作業机のみ。

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机の上にはコルビュジエのトレードマークである黒縁丸メガネが、分身のように置いてありました。

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コルビュジエが設計した宿泊施設「ユニテ・ド・キャンピング」。
5部屋あり、なかはかなり狭い(私の目算で3畳くらい)。それでも空間を合理的に活用していて、2名分のベッドや収納があり、風や通り道や光の差し込み方まで計算されていました。
ここの泊まったことのあるガイドのお兄さんは「最高の体験だった」と語っておりました。

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敷地内の木陰で団欒し始めるツアー参加者たち。初対面でもこうして友人のように話し出すのがフランス人。

ここは、コルビュジエとその仲間たちの小さなパラダイスだったのでしょう。

アイリーン・グレイの「E-1027」

コルビュジエのほかにもう一人、キャップ・モデルヌにある作品を手掛けた建築家がいます。プロダクトデザイナーとして活躍していたアイリーン・グレイです。
彼女はコルビュジエの小屋より先に、ここに自らの別荘E-1027を建てました。その空間づくりの才能は、コルビュジエが嫉妬したほどだったといいます。

E-1027をめぐるアイリーンとコルビュジエの物語については、映画『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』を観るとよくわかります。


ものづくりに情熱を燃やしたアイリーンの生涯が、静かで美しい映像とともに描かれていて、彼女の真の強さに惚れ惚れしました。私がキャップモデルヌに行きたいと思ったのも、この映画を見たからです。

しかし、残念ながら私が訪れたときE-1027は修繕中で見学できませんでした。
このブログを読んでいるどなたかが、いつか私の分まで見てくれるとうれしいです。

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キャップ・モデルヌの側にはビーチがあります。
まちから離れていて人が少ないため、みんなどこかプライベート感覚(実際、さらに奥には完全なプライベートビーチがある)。トップレスになっている人もちらほらいて、開放的な雰囲気でした。

空間づくりのプロであるアイリーンとコルビュジエが見つけたカップ・マルタン。
私もこんな気持ちのいい場所で暮らしたいなぁ。



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