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#3 貴重な読書体験と希少な友人を与えてくれた本の話

毎日更新する予定ではなかったのですが、書こうと思った時に書いておきます

もうとりあえず慣れるまでは量産スタイル笑
3日坊主も、3日続いたんだから偉いじゃないかということで。
前回好きな本を挙げたので、とりあえずその思い出話をするという感じで15回分はもつな。うん。

と思っていたら、丁度いい「思い出話」があったので書いておこう。

シャーロット・ブロンテ
『ジェーン・エア(原題 Jane Eyre)』

幼くして両親を亡くしたジェーンは、叔母の家に引き取られることになった。そこで待っていたのは叔母家族からの冷たい仕打ちの数々。逃げるようにして寄宿学校に入るが、そこでもジェーンの逆境は続く。そして成長したジェーンは家庭教師として赴いた新天地で、運命の出会いをすることになる。世界中で読み継がれるシャーロット・ブロンテの代表作。
(amazonより引用)


改めて概要を見直して、そういえばこんな話だったと思い返している。でもこの物語の見どころは、ここで書かれてる前半の前半じゃなくて、この「運命の出会い」のあとなんですよ!!!!!!!!
と、amazonさんに声を大にしてアピールしたい。

じゃあお前さんが書きなさいよ、と全読者が思うんだろうけど、そんな語彙力も体力も無いので大人しく黙ります。

この本との出会い

、、、は、大学4年の英文学の授業。大3の夏から大4の春まで留学をしていたんですけれども、帰国後、せっかくアメリカで勉強してきたんだしyouも一緒に授業受けちゃいなYo☆と教授に声をかけられて、後輩の文学の授業に参加することになったのが始まりです。

そこで扱っていたのが、このJane Eyre。帰国後もろもろ落ち着いてやっと出席し始めた頃には、私を除いた授業で冒頭部分はあらかた読み終えたタイミングだったんですよね

文学の授業は、予習としてその時間の該当箇所を30ページくらい読んでおかなきゃいけないのですが、教授に次はここからだYoと言われたのが、ちょうど「運命の出会い」くらいだったという。
(「運命の出会い」というのはamazonさんの言葉を借りているだけで、そういう章が存在するわけではない)

途中から読み始めたのにのめり込んだ

そんなわけで導入部分はさらっと、大急ぎで、しかも英語で流し読みした程度なので、ストーリーがほぼ頭に入っていないまま主人公が運命の人と出会っちゃったわけなんですが

そんな適当な読み方でも、しっかり魅了されてしまったのです。

この、「運命の出会い」前後の展開も、若干シンデレラストーリー味を帯びていてそれはそれで面白い。ただ、幸せになりましためでたしめでたしで終わらないところが、この物語の魅力なんですね

私が留学から帰ってきたばかりで、困難に立ち向かうとか、茨の道を切り開くとか、そういうJaneの境遇にちょうど自分が重なった、というのも大きいのでしょうけど。

まあそんなこんなで、ぐいぐいと読み進めていったわけなんですね。

いよいよ感動のシーン

作中、感動ポイントは何度か訪れるんですが、事件が起こったのは、まあだいたい前半と後半を大きく分つあたりの「別れ」のシーン

ネタバレにならないようにざっくりと、なんとなくの記憶で(※おぼろげな記憶によるフィルターあり)説明をすると、

主人公Janeは、家庭教師として働いていたお屋敷で、そこの主人のおっさんと恋に落ちるんですね。
これがまたとんでも無く歳の差恋愛で、しかもこの主人、配偶者もおらず屋敷に篭っているくらいなので、まあそこそこの曰く付き。恋が始まった段階で翳りを帯びている。

それでも恋に落ちた2人、これから一緒にいたいなあなんて思っているんですが、何やらおっさんの方にはとんでもない秘密があるらしい。
そしてそれは、どうやらこの屋敷に関するものらしい。。。。
そこからうんぬんかんぬんあって、ついにJaneはおっさんの秘密を知ってしまうのですが、その秘密っていうのが、彼女がそれを知ってしまった以上、その屋敷に留まれないようなものだったんですね。

立ち去る覚悟をしたJane
そばにいて欲しいおっさん

問答を繰り返し、二人で涙を流し、埒があかなくなって後日に持ち越したその明け方、Janeはおっさんに黙って荷物をまとめ屋敷を後にする、、、のですが

もうこのシーンが切なすぎて!!!!!!!!


英語って、字面で楽しむ日本語と違って、どちらかと言うと音で楽しむ言語だと思っているので、私は英語を声に出して読むのが大好きなのですが、

このシーンを読みながら感極まってきた私は、突然、声に出して読みたくなったんですね。

内容を、音と文字で味わい尽くそうと思ったんでしょうね。

あ、これ内容を味わうにはほんといい方法なので、是非みなさんにもやってほしいんですけど。

とにかく、Janeとおっさんの問答あたりから声に出して読み始めた私は、もう感情移入しまくってしまい

「ジェーン!!!」
「ロチェスター!!!!(おっさんの名前)」
「ジェーーーン!!!!」
「ロチェスターーーーああああ😭😭😭😭」
(実際にこんな台詞だったかどうかは不明)



と、咽び泣きながら読み続けているうちに

クライマックスで大号泣。


世田谷のワンルーム。
壁に向かって一人、劇場さながらに小説の一節を音読している22歳。
壁の薄い部屋だったので、もしかしたら、何か叫びながら咽び泣く声は、外まで響いて誰かに聞かれていたかもしれませんね。
よくもまあこんな奴が結婚できたなと思いますがそれはまた別の話。

とにかく、音読したら感情移入しまくっちゃって泣いちゃった物語は、後にも先にもこれだけだったので、

そう意味では貴重な読書体験をさせてくれた大切な一冊です。


あ、ちなみに最後までちゃんと読んだし、後半もめちゃくちゃ面白いしめちゃくちゃ共感したので、単純に内容だけ見ても大好きな本です。


この話をしたら友達が出来た

これは後日談なんですが、

この「音読してたら感情移入しすぎて泣いちゃった話」をどーしても誰かに聞いて欲しかった私は、次の日学校でたまたま遭遇したほぼ初対面の友達Yくんに向かって、決して短くはない時間をかけて懇々と、熱を込めて語ってしまったんですね。

今考えるとだいぶ変人ですね。(震)

大して仲も良く無い友達の友達くらいの奴から、普通の人なら結構引くような話を聞かされたYくんは私のことをかなり頭のおかしい奴だと思ったらしいのですが

元々結構頭おかしい系の人間が周りに多かった、懐広めのYくん。柔軟に私を受け入れ、

私に「じゃあお前のことは今日からジェーンって呼んだるわ」と言い放ったのでした。

その日から卒業まで私はYくんにジェーンと呼ばれ続けましたが、

特に違和感はなく、

むしろこんな変人(と彼は言う)を受け入れてくれる希少な友人Yくんは、

今でもオンラインで飲み会しちゃうくらい、私の大切なお友達になりました。


飲み会のたびに、このJane Eyreネタは話題にされ、そのたびにお腹を抱えて笑ってくれる仲間がいます。


自分は特に狙ってはいないけど、後から考えたら結構頭とち狂ってたなっていうエピソードは、人間2〜3個は持っておいた方がいいかもしれませんね。



というわけで、私に貴重な読書体験と、稀有な友人Yくんを与えてくれたJane Eyreを、これからも愛し続けていこうと思うのでした。



おしまい。