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酸化は変化なのかもしれない

空気と触れて劣化する。醤油の保存方法の説明でよく言われがちな表現です。空気と触れることで醤油の色が濃くなり、風味が落ちるというわけです。

ただ、酸化すること=全てが悪いことかというと、そうではないような気がします。複数の醤油の生産者が口にするのは「劣化でなく、変化」というニュアンスです。

先日訪問した愛知県の中定商店さんでは、豆味噌と溜醤油を仕込んでいます。豆味噌は桶に入れて踏み固めます。空気が入らないようにすることが目的なのですが、溜醤油の場合はそうはせず、底に溜まった液体をすくって重石の上からかけて循環させます。

「三年たってようやく納得の味になってくるんですよね」。この汲みかけ作業は、循環させながら、空気と触れさせているとも言えると思います。

醤油は搾った時が一番おいしいと表現するつくり手がいれば、少し時間をおいたほうがいいというつくり手もいます。酸化は劣化ではく変化と捉えると、違った見え方がありそうです。

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