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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語(11)

第一章 事業協力者の選考まで

3. 2015年10月ー2016年6月        建替提案コンペの開催

8)第二次提案に関するQ&A集

 事業協力者最終選考の承認を得る為の臨時総会に先立ち、3社提案をより良く理解して貰える様に、アンケート調査で寄せられた質問に関するQ&A集を作り区分所有者に配布した。

2016.06.02
イトーピア浜離宮建替提案に関する Q & A

Q1.建替工事期間中の家賃補填、賃料補償

 本件に関しては下記のように多数の質問、ご意見がありました。
+居住者の転居先の家賃補償ができないか?引越し費用の補助は出ないか?
+居住者の転居先の家賃補償には反対、もし、家賃補償を出すなら、賃貸に出している非居住者への賃料補償も出すべきだ。
+居住者への家賃補填があるのに非居住者への補填が何もないのは不公平だ。
+過去の提案では家賃補償があったのでは?

A1. 建替推進委員会の考え方
① 今回の提案には東京建物だけではなく、他の5社の提案にも家賃補償、賃料補償は一切含まれておりません。その理由は
+様々な補償、高い還元率、低い増床コスト等の経済条件を検討するにあたり財源は一つです。つまり、色々な補償を出すとすれば、その分還元率が下がり、増床コストが上がります。
+また、家賃補償、賃料補償にしても各区分所有者の皆様の事情は様々で一部の区分所有者を対象にした補償になれば不公平が生じます。
+従い、今回の提案コンペでは皆様に提案の優劣をよりシンプルな形で理解していただくために、提案募集要項には、これらの補償を含ず、経済条件を還元率、増床コストに集約するという条件を付けました。
+今回の提案はあくまで事業協力者を選択するためのものであり、最終提案ではありません。今後、説明会、アンケート調査、個別面談を通して皆様の意見を集約して行く作業を実施しますが、その結果、これらの補償が必要となれば、不公平さが生じない条件にて提案を修正して行き、1年半の時間をかけて最終提案を作る予定です。
② なお、居住者の転居先の斡旋や引越し業者の手配等のサービスは各社より提案され、どのデヴェロッパーも自らの組織を通して真剣に取り組んでくれることを信じていますが、これはあくまでサービスの提供であり、家賃や引越し費用を補填するものではありません。費用は全て各個人が負担する前提です。
③ 2年前にT社(コンサル)より建替提案があり、説明会が開催されましたが、その時に居住者のみ転居先の(見做し)家賃の50%を補償するという条件があった事は事実です。その時の条件は
+還元率 85%
+5m2の増床コスト 7-800万円
+1ルームタイプの居住者への家賃補償額 : 約120万円(3年分総額、3.5万円/月)
+賃料補償はしない。
(一部条件は口頭での説明)でした。当然、これは区分所有者の間で不公平が生じる問題であったと思います。ただし、これらの条件は後に区分所有者との個別面談を通して意見を集約した後に修正するという前提であったため、理事会としては提案の修正を求めることなく、説明会の開催を先行させましたが、2014年11月の総会で建替推進決議が否決され、その提案は挫折しました。
④ T社の提案には様々な問題点がありました。
+T社はコンサルタントであり、提案実現のためにはデヴェロッパーを公募する必要があり、T社提案を受けるデヴェロッパーがいるかどうかは不明でした。
+T社提案は経済条件を有利にするために50%近い区分所有者が所有権を売却し転出すると言う前提で計算されており、これは、後のアンケート調査の結果(20%の区分所有者しか売却を考えていなかった。)と大きく乖離しており、提案の実現性は極めて低かったと思われます。
+また、実現性が担保されていない東京都の補助金322百万円を採算に入れていました。
5)上記問題点の分析の上、今回は建替事業のキーとなる、デヴェロッパーの選択を最初に行う、また、競争原理を導入し、コンペ制度により選考すると言う形をとりました。今後、東京建物を事業協力者として理事会、建替推進委員会と共に区分所有者の皆様の意見、希望を集約し、最終提案を作成して行きます。

Q2. 現在のワンルームの所有者が1LDKやそれ以上の広さに増床できないのか?

A2. ご希望の広さまで増床できます。ただし、価格には下記条件があります。
+所有の部屋の広さの25%までは(20m2の広さであれば、5m2までは)権利床取得価格(東京建物提案では270万円/坪)で購入できます。
+それ以上の増床は保留床取得価格(東京建物提案では413万円/坪)が適用されます。
+上記価格はいずれも平均価格であり、また、現時点での価格であり、将来変動する可能性があります。

Q3. 25m2程度の小規模住居ができない場合は、買取ってくれるのか?

A3. 提案書の図面はあくまで暫定的なものです。今後、皆様との個別面談やアンケート調査を通じて、皆様の要望を集約し、皆様の希望に沿う部屋を作って行きます。しかし、売却し、転出を希望される区分所有者よりは従前資産評価額(現時点では270万円/坪)で計算される価格にて買い取りが行われます。

Q4. 耐震構造は免震か制震か?

A4.皆様から寄せられた意見には制震でなければならない、逆に免震が良い等々見解が分かれました。制震、免震どちらにもメリット、デメリットがあり、推進委員会としても未だに結論は出せていません。しかし、非常に重要な問題であり、今後、研究を重ね、イトーピア浜離宮に最適な耐震構造を選択する所存です。

Q5. 各社の経済条項提案のフォームがバラバラで比較が困難。

A5. ご指摘の通り、6社の第一次提案では各社各様の提案様式が採用され単純比較は困難でしたが、推進委員会で統一フォームにて評価しました。第一次選考の結果の報告として皆様に送付した一連の書類の中にある、『イトーピア浜離宮建替提案 経済条項の評価』(2016.3.5作成)を参照願います。
また、皆様に送付した第一次選考通過3社の第二次提案では経済条件の比較が容易になる様に、下記、統一の条件にて提案書を作成する様に依頼しました。
1)区分所有者が再取得する床を権利床と定義し、権利床を低・中層階に限定する。
2)権利床以外の再取得可能な床を保留床と定義し、再取得価格を権利床価格と保留床価格の二重価格とし最低限必要な増床コストの低減を図る。
3)区分所有者の再取得率を80%(前回のアンケート調査結果に従う)とする。ただし、再取得する区分所有者は全て25%の増床の権利を有するとして面積ベースでは100% ( 0.8x1.25=100%)の再取得と仮定する。
しかしながら、各社にはそれぞれの販売政策があり、完全には我々の要望が聞き入れられず、下表の様な差異が生じました。

                  東京建物    TK               MJ
  再入居(再取得)率        ○                 ○                 ○
  権利床、保留床別価格       ○                 X                  ○
  権利床の位置(階数)       ○                 ○                  X
 
 上記より単純に経済条項の比較はできなくなりましたが、推進委員会としては採算面の分析を通してできるだけ正確に評価を行いました。まず、MJ社の提案は権利床を低中階層に限定しても還元率は80%程度に留まり、他2社とは大きな差が出ました。東京建物とTK社の提案は一見、TKが還元率では優位で東京建物が増床コストでは優位となりますが、もし、TKが権利床価格、及びそれに伴い、従前資産評価額を下げていれば、計算上、還元率は東京建物と同程度の100%前後に落ち、5m2の増床コストも減少していたと思われ、両者の経済条件の評価は拮抗していました。しかしながら、両者の提案には「多数を占める再取得を希望される区分所有者の立場を重視し、再取得コストをできる限り低減する」という姿勢に大きな差があり、これが多くの区分所有者が、東京建物提案を支持された理由であると思います。
また、東京建物のコストを低減するために権利床住居の仕様を変えると言う提案も好感を持たれた理由であると判断します。
以上
イトーピア浜離宮建替推進委員会



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