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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語(1)

はじめに 建替えマンション着工

 2020年9月に建替マンションが着工しました。2014年11月にイトーピア浜離宮マンションの管理組合理事長に就任して以来6年弱の月日が過ぎていました。我々のマンションは築41年が経過していますが、管理組合の諸先輩理事達のおかげで管理はとても良好で外見はとても築古マンションには見えませんでした。しかし、2006年に実施された耐震診断の結果、耐震性能に問題がある事がわかり、以来、マンションの再生に取り組んできました。そして2011年の東日本大震災の体験が事業のより大きな推進力となりました。

 これまで事業が成功裏に進められたのは東京建物、シティイコンサルタンツ、松田平田設計と言う事業協力者グループに恵まれた事が大きいと思います。しかし、彼らに巡り合えたのは単なる偶然の賜物ではありません。理事会、建替え推進委員会の全役員がこの事業の主体は我々区分所有者であると言う強い自覚を持って活動したことにより生まれた出会いです。また、単に建替え決議の合意形成だけに満足せず、常に最善、最高のマンションを真剣に模索し続けた事により、互いの信頼関係、絆がより強固になったように思います。

 我々のマンションは立地に恵まれていました。しかし、ワンルームマンション、1LDK, 2DKを中心とした総戸数320戸のマンションであり、建替推進に当たっては固有の問題がありました。一つは、マンションの所有者の80%以上は海外を含む外部居住者であり、管理組合と所有者の間のコミュニケーションに問題がありました。このことは80%以上の賛成が必要な建替え決議の合意形成上の大きな障害でした。また、建替に必要な容積率増加の要件として、港区には建替後のマンションの専有面積が25m2以上で無ければならないという規制があり20m2の1Rの所有者は5m2の増床費用を負担する必要がありました。(この費用は最初に建替提案のあった2010年当時、856万円と試算されており、当時のイトーピア浜離宮の1Rの市場価格900万円と比較すれば大きな負担でした。)更に、事業計画の作成過程で想定外の問題も次々と起こりました。その都度、我々は事業主として知恵を絞り主体的に問題を解決してきました。

 今後、多くのマンションの所有者や管理組合が耐震性能や老朽化の問題によりマンションの建替を検討される事と思います。我々の体験が少しでも皆さんの参考になれば、役に立てればと考え、ブログを立ち上げる事にしました。

 初回は我々のマンション建替事業の概要の把握のため為に2020年10月6日に発表された共同事業者である東京建物(株)のプレスリリースをご覧下さい。

(注記)プレスリリースの文中に建替えの契機となった問題の一つとして建物の「老朽化の進行」と言う表現がありますが、これは誤りです。管理組合理事会の先輩役員の皆様の名誉のために訂正しますが、マンションの管理は非常に良好で建替の動機はあくまで耐震性の向上でした。

東京建物プレスリリース概要


都心大規模マンション(300戸超)建替えの先行事業 「イトーピア浜離宮建替事業」着工

発展著しい“竹芝”エリアにおいて職住近接の「住」を担う事業

 東京建物株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員:野村 均、以下当社)が事業協力者として参画し、東京都港区所在の「イトーピア浜離宮」(1979年竣工、JR「浜松町」駅徒歩5分、SRC造14階建、総住戸数328戸、店舗2区画/以下、本物件)マンション建替組合と共に進めている本物件の建替え事業(以下、本事業)において、本年9月26日、本体建築工事に着手いたしましたのでお知らせいたします。
 なお、本事業は総合設計制度活用後の容積率700%(現400%)を前提に、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律 」による組合施行にて進めています。建替え後は地上32階、住戸数420戸、保育園1区画の建物となり、竣工は2023年9月を予定しています。

 本事業地の位置する竹芝エリアは、複数の大型開発プロジェクトが進行しています。北側隣接街区では、店舗、オフィスを中心とした「東京ポートシティ竹芝」が本年9月に開業しており、浜離宮恩賜庭園に面した街区では、ホテルやオフィス、商業施設、劇場等の複合商業施設から構成される「ウォーターズ竹芝」が本年4月より順次開業しています。また、JR「浜松町」駅と竹芝ふ頭までを結ぶ屋根付きの歩行者デッキ(全長約500m)も整備中で、デッキ完成後は本事業地から浜松町駅まで信号を待たずに、また雨の日でもほとんど濡れずに往来が可能になります。このように、オフィスや商業施設等の開発が進む竹芝エリアにあって、本物件は職住近接の希少な「住」の場所として、studio(ワンルーム)タイプから3LDKまで、あらゆる世代の居住ニーズに対応した都心型住宅に建替えられ、更なる地域発展に貢献いたします。

【本事業経緯】
 本物件は、築年数の経過により、建物・設備の老朽化の進行、耐震性能の不適格箇所の存在の発覚等で再生が急務となっていました。本物件の理事会をはじめ、権利者の皆様の長年による努力の結果、2015年9月の臨時総会で、建替え推進決議の可決と建替推進委員会の設置が承認、2016年4月に行われた事業協力者選定を経て、同年6月に当社が事業協力者に選任されました。その後2019年11月に権利変換計画が認可され、この度、本体工事に着手いたしました。

【本事業の特長】

①住戸の多くがワンルームで構成される都心大規模マンション建替え事業
・本物件は、20㎡台のワンルームが多くを占め、40㎡台の1LDKや2DK、60㎡台の3LDK、店舗2区画で構成された住戸数328戸の大規模マンションです。このような都心大規模マンションの建替えは類を見ない形であり、本事業は都心部における大規模なマンション建替えの先行事例の一つとなるものです。 
・本物件は、特定緊急輸送道路沿道建築物の対象であることから、耐震診断と耐震化の状況報告が義務化されました。2006年の耐震診断2次診断調査の結果を受け、2018年3月には東京都より、「安全性の評価Ⅱ(地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある)」とする耐震診断結果を公表していました。
(※上記は震度6強から7に達する程度の大規模の地震に対する安全性を示す)

②オフィスや商業施設の開発が進む竹芝エリアにあって、職住近接の希少な「住」の場所として地域発展に貢献する事業
 本事業地周辺では、高層オフィスビルや商業施設、ホテル等を中心に開発が進んでいます。この利便性の高いエリアに、希少な420戸のマンションが誕生します。職住近接のまちづくりの「住」を担う事業として、本事業地周辺エリアの更なる発展に貢献します。

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③総合設計制度を利用し、安らぎを感じる緑地空間の創出と子育て支援施設の導入
 本事業は、総合設計制度を利用し、敷地内に緑豊かな公開空地を確保しているほか、屋上にはウォーターフロントの眺望を楽しめる約120㎡のテラスを計画しています。また、保育施設も導入予定です。

広場
屋上

【当社の役割】
 当社は、日本最大級のマンション建替えプロジェクトである多摩ニュータウン・諏訪二丁目住宅建替え事業(Brillia多摩ニュータウン)において共に取り組んだ、株式会社シティコンサルタンツ及び株式会社松田平田設計と協働し、事業推進における取組体制を提案してまいりました。事業協力者に選定されてから4年以上の歳月を費やし、組合理事会および地権者の皆様とともに事業を推進し、本年9月の着工に至っています。
 今後、取得する保留床を分譲予定であり、2023年の完成を目指して引き続き組合理事会及び地権者の皆様とともに本事業を推進してまいります。当社はこれからもこのようなマンション建替えを通じて、安全・安心・快適な住宅の供給と地域の発展に貢献してまいります。

【事業概要(予定)】

工事概要3

以 上


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