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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語(8)

第一章 事業協力者の選考まで

3. 2015年10月ー2016年6月        建替提案コンペの開催

5)建替提案コンペ1次選考

 2月後半に提案コンペ参加各社のプレゼンテーションを受け、より提案の理解を深め、本格的に提案の評価を行い、第一次選考を実施した。建替推進委員会の各委員が担当する評価項目を決め、担当項目につき詳細に研究、評価をお願いした。私自身は経済条件の評価を担当した。

(1)各社提案の収支予想

 各提案のベースになる、分譲販売予定価格や、工事費はそれぞれの見積もりにより、かなり大きな差があり、単純な比較は困難であった。従い、まず提案の本気度を探るため、提案の裏にある各社の事業収支を推定したみた。保留床分譲価格、建築費は各社バラバラで正確な比較はできないが、それらもデヴェロッパーの実力の内と割り切り、各社の設定をそのまま採用した。その他の費用は、これまでの、NF社(デヴェ)やT社(コンサル)の提案資料を参考にした。非常に大雑把な経費見積もりで正確性はないが、それでも各社の採算の裏側を憶測する事はできると考えた。
 これはあくまで建替事業に関する収支であり、保留床を一般分譲するデヴェロッパーの分譲事業とは別であり、収支が黒字である限り事業は成り立つ。
 ITは積極的な提案ではあったが、収支(採算)に全く余裕なく、不測の事態に対応できない恐れがある。AK、HKは収支(採算)に余裕がありすぎて積極性が感じられなかった。

(4位以下は省略)

(2)経済条項の評価

 更に、還元率、増床コスト等々の経済条項の比較を行った。AK、HKは残念ながら経済条件ではみるべきものが無かった。経済条件ではTK、東京建物、ITの3社が優れているが、IT提案は1Rの最低面積の取り扱いに不安要素があった。MJの提案は分譲販売価格、建築費が上昇しているが、2014年のT社(コンサル)の提案を踏襲していることが明らかだった。コストが大幅にアップしたように見えたが、権利変換率を面積ベースで100%として計算(修正)したためである。

(4位以下は省略)

(3)総合評価

 下表にあるとおり、20項目にわたり各担当委員に詳細に評価してもらい、その評価を推進委員会で討議し、最終評価を定めた。総合評価では経済条件で3位だったITが後退し、MJが3位に繰り上がったが、これはIT提案ではチーム構成メンバーにコンサルが含まれておらず、サポート体制に不安があることが低評価に繋がったためであった。

(4位以下は省略)

 上記の総合評価の結果、提案の優劣は明らかになったが、上位2社のみを1次選考合格とするか、3位までを含めるかについては委員会の意見が分かれた。MJの評価は低いが、唯一の財閥系の大手であり、一般の区分所有者はMJの参加に期待するところが大きいと思われた事、及び、MJが2年前のT社(コンサル)の提案を引き継いでおり、過去の提案との比較が容易になると考え、3社を1次選考合格にすることにした。

 しかし、いずれの提案も条件が異なるため表面的な費用負担においては、数字的に2年前のT社(コンサル)の提案に比較して誰もが納得できるほど魅力のある物にはなっていない。どうすれば経済条件の改善を得られるかを考えた上で、建替提案第2次コンペへの参加要請を行うことにした。

以上


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