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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語(3)

第一章 事業協力者の選考まで

2.2014年11月―2015年9月      建替推進決議承認まで

 

1) 理事長就任と決意表明

 2014年11月の総会の後、第36期第一回の理事会で退任されたK前理事長の後を受け、理事長に選任され、以後、理事長として建替推進を主導する事になった。下記は理事長就任に際しての所信表明である。

                        2015.01.17
マンション再生問題に関する私見/理事会運営方針
 残念ながら先の通常総会では建替推進決議案は賛成が75%に達せず否決されました。しかしながら建替の賛成は総会では67%、また、参加者、議決権行使者に限定すれば78%に達しており、賛成者の割合は第一回のアンケート調査以来、確実に増加しています。議案が否決されたことで建替えは白紙に戻ったと考えるべきか、合意形成のためには建替えが最も近道であり、そのため、更に建替案を掘り下げ、より多くの組合員の賛同を得られる提案をすべきか?私は組合員の合意形成のためには後者を理事会としての運営基本方針とすべきだと考えます。

 さて、第35回通常総会での議論等と通して、これまでの活動に関し、下記の反省点が見えてきました。
1) コミュニケーション不足
 一回の説明会だけでは多くの組合員の理解を得るには不十分だったのではないか?説明会以外の方法はないのか?
2) コストの問題

 T社(コンサル)の提案は他社の提案に比較し、有利な提案であったが、築35年でまだ使えるマンションをコストを払ってまで建替える必要があるかと言う意見や建替えの有利さは理解できても資金を出せない、出したくないと言う意見は理解できる。ならば、より低いコストで実現できる建替え案を提示することができないのか?
3) サイレントオーナーに対する働きかけ
 議決権の5%近くを占める外国人オーナーをはじめ、沈黙を保った組合員は15%に上る。これらのサイレントオーナーの意見を反映させない限り高率の合意形成は不可能。
4) 建替え期間3年間の問題
 今更他所に移りたくない、その期間の賃貸費用負担、または 従来得ていた家賃収入の枯渇等の問題への対応不足。
5) 高額のリフォーム費用の補償

 上記の反省点を踏まえ、1)の解消のためには勉強会の開催や電子掲示板を通じた意見交換、3)に関しては電子メールによる意思疎通が有効になると思います。2)、4)、5)はコストの問題が大きく、その解決のためには他人に頼ることよりも自ら知恵を絞りアイデアを出して行こうではありませんか。例えば、容積率800%が認められるためには何をすればよいか?新しく生まれ変わる竹芝地区の特性を考え、増床分を事務所やホテルとする複合建物とする事ができないか?等々。また、高齢者や、移転引っ越しを苦痛に感じる居住者への配慮も大きな要素になると思います。

                             以上

 後から反省すれば、建替推進決議の承認取得の失敗は作戦に緻密さが欠如していたことによる。建替反対者からは決議が否決された以上、他の方法を採用するべきだとの意見があるのは承知していた。しかし、結果的には無回答者が多く承認には至らなかったが、建替推進決議は議決権行使者の中では80%近い賛成を得た事は今後の進め方を決める大きな要因であった。緊急の対応を求められている地震対策のためのイトーピア浜離宮の再生には建替以外の方法は現実的にはあり得ないと言う信念を持って再出発する決意をした。

 そして、過去の反省から、区分所有者とのコミュニケーションの機会を増やし、充実させる事を重要なテーマと考えた。そのため、ITに長けた理事にお願いして、再生問題を考え、情報を共有し、意見を交換するための電子掲示板を開設した。また、再生問題全般を掘り下げて考えるための勉強会を開く事にした。理事だけでなくより多くの区分所有者にも一緒に考え認識を共有するため、いずれにも区分所有者の幅広い参加を呼びかけた。また、電子掲示板では勉強会、建替、地域再開発の情報を発信し、意見交換も行った。

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