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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語 (27)

第三章 マンション完成を目指して

3.コロナ禍の建替組合理事会の活動

 建替組合設立以後、理事会では権利変換手続き、居住者の退去と建物解体工事の着工、地下工事及び地上工事の開始、建築工事の監査、新マンションの管理規約の作成、新マンションの管理費及び修繕積立金の確定、オプションの設定、組合所有の保留床(1R住戸2戸)の販売、事業収支の精査、及び、それらに関連する事項の討議が主な活動内容になった。
 2020年3月以降コロナ禍による世間の自粛生活の拡大に伴い、理事会、三役会、分科会の開催は事業協力者側より最小限の人数が会議室に集まり、その他の事業協力者、理事会役員は全て自宅からのオンライン参加となった。また、e-mailによる決議も可能とした。理事会はこれまで通り2週間に一度開催され、三役会や分科会を含めるとほぼ毎週会議がもたれた(後に建設も順調に進み、討議事項が少なくなった時には月一度の開催になった。)。議論の効率が悪くなるのではないかと言う危惧に反し、当初より会議の効率は非常に良く、討議ではより活発に意見交換が行われた。常に密度の濃い会議となり、3時間−4時間に及ぶ理事会が終わった時はぐったりと疲れを感じるほどである。コロナが終息してもWEB会議の習慣は残したいと思い、建替マンションの理事会でもWEBによる会議への参加を制度として認める様に管理規約を作成しようと言う意見で一致したほどである。しかし、時には複雑な問題を討議しなければならない時はに沈黙が流れると、他者の顔色が読めず、すぐに自分の考えがまとまらないのか、それとも関心が無いのか分からず円滑な議論が進まないと感じる時もあった。従い、必要な時には少数で対面の討議をする時もあった。
 また、建替組合の総会、臨時総会も組合員の会場参加をできるだけ抑え、WEB参加を奨励した。決議もこれまで同様に議決権行使書によることとした。

4. 電力一括受電とインターネット接続の検討

 2019年4月に東京建物の関連会社である「つなぐネットコミュニケーションズ」がマンション向けインターネット回線事業シェアーNo.1の会社として理事会で紹介された。つなぐネットよりはインターネットの全戸一括契約で一戸当たり月額1,200円及び一括受電で専有部の電気代8%割引のセット契約が提案された。当然、セットで契約する事により、大きな割引を実現できると言う提案であった。この提案を受けて正直返答に困った。第一に提案が突然のことで、準備ができておらず、提案を受けたインターネット接続料や一括受電の料金や割引率が有利なものであるかどうかの判断が全く出来なかったからである。また、本来、この様な契約には複数の業者から相見積もりを取るのがこれまでのやり方であることから、つなぐネットの提案は参考資料として受け取り、これらの費用の検討を始める事にした。インターネット接続に関してはマンション販売のネット情報より同じ様な規模のマンションのインターネット接続料をチェックし、また、一括受電については新電力との料金の比較もインターネット情報を基に検証した。その結果、つなぐネットの提案はインターネット接続単体としても、また、一括電力単体としても決して魅力的な提案ではなく、また、セット契約の意味も無いことが分かり、それぞれ個別に検討することにした。

1)インターネット接続料

 色んな業者より見積もりを取ったが、最終的に3社が残った。月額料金は580円から650円となり、自分で調べたマンションの接続料よりも非常に有利なものであった。最後はK社と580円に料金を見直してきたつなぐネットの争いになった。K社は月額料金600円で1G X 5回線と回線数で優れ、つなぐネットは4回線ながら、ケーブルTVの基本料込みとなっていた。ケーブルTVの接続も当然契約しなければならず、その費用込みのつなぐネットの料金は非常に魅力的であった。しかし、回線数の差が気になり、東京建物の有明地区の3マンションの1回線あたりの住戸数を調べて貰った。理由はこれらのマンションに知人が生活しており、インターネット接続状況を簡単に調べることができるからであった。結果は3マンションで問題は発生しておらず、かつ、提案の4回線はそれらのマンションよりもはるかに好条件であることより、2019年9月にケーブルTVの基本料無料のメリットが付く「つなぐネット」と契約する事に決定した。
 イトーピア浜離宮では1Rが多く、表にある他のマンションと比較し、インターネット接続者の数で比較すれば、戸数での比較以上に有利だと思われた。高齢でインターネット環境が必要ない居住者も想定され、全戸一律で徴収されるこれらの費用はできるだけ抑えたかった。
 この様に安い料金を提示してくれたつなぐネットには感謝するが、それにしても最初の提示額はなんだったんだろうと思った。管理組合の対応次第では管理費の削減は可能という好例になるだろう。

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同じ4回線のマンションCの料金と比較しても半額以下の提示額であった。

2)電気

 東京建物は一括受電を採用するつもりであった。理由は、一括受電の場合は業者が変電設備設置費用(4千万円)を負担するが、東電もしくは新電力の場合はマンション側がこの設備費用を負担しなければならないからである。おそらく、最近の新築マンションでは建築費の削減より、一括受電方式が採用されているものと思われる。一括受電の場合は専有部もしくは共用部のみとどちらか一方の電気料金しか割引されない。理由は単純で両方を割引すれば割引率が低くなり、魅力が無くなるからである。また、割引率が低い理由は設備代の償却費用が必要だからである。ただし、償却が終了しても料金の割引は無いようだ。
 一括受電、新電力とそれぞれ複数社より見積もりを取り、比較した結果、共用部、専有部合計の電気料金は変電設備の償却費を入れても新電力が有利であることは明らかであった。しかし、東京建物の意向、また、賃貸を考えているオーナーにとって専有部の割引より共有部の電気代の割引を大きくして管理費を下げる方が良いとの判断もあり、議論は分かれた。しかし、東京建物の担当者の「一旦、一括受電で契約をした後、新電力に切替えようとすれば、区分所有者100%の賛成が必要になる。」との、一般管理規約の説明があり、新電力採用に決定した。理由は今後、電力供給制度はどんどん変わって行く時代であり、実質的に永久に変更できないと思われる一括受電に縛られるのは良く無いとの判断であった。
(注)一括受電とはマンション全体で、電力会社と高圧電力の契約を行うことをさします。一般的にマンションで各部屋ごとに低圧電気契約を行う場合よりも、高圧電力の一括受電の方が安価になるため、電気料金を引き下げることが可能になります。ただし、電力会社との電気契約は原則的に1構内1契約とされるため、マンションで一括受電を行った場合、個別の部屋毎に他の新電力会社との契約はできなくなります。また、新電力と契約する場合は高圧電力を低圧電力に変更する変圧装置の設置費用はマンション側の負担になります。

5. 建替マンションの名称の決定

 東京建物より建替マンションのネーミングの提案があり、ブリリアタワー浜松町、ブリリアタワー芝離宮、ブリリアタワー浜離宮、ブリリアタワー竹芝の中から決定することになった。周辺地区でウオーターズ竹芝、ポートシティー竹芝と次々とプロジェクトが完成し、竹芝はすっかり新しい街に生まれ変わっている。理事会では新しい街、進歩する街の象徴として竹芝を押す声が強かった。しかし、居住者は浜離宮以外考えられないと言う強いこだわりが有る様に思われ、竹芝と浜離宮の2択として2020年6月に区分所有者へのアンケート調査を実施し、それにより決定することにした。結果は201票の回答のうち、浜離宮が160票と有効回答数の約80%に達した。個人的には非常に残念だが、権利者に取っては自分たちで名前を選ぶことが出来たことは建替マンションへの愛着に繋がるだろう。

以上


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