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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語(12)

第一章 事業協力者の選考まで

3. 2015年10月−2016年6月        建替提案コンペの開催

9)臨時総会の開催と区分所有者意見

(1)臨時総会結果

 下表は臨時総会の決議の結果である。一見、前年9月の臨時総会と殆ど同じ様な賛成の割合に見えるが、棄権が多かったため、賛成が伸びなかった。逆に否決は前回に比べ半減している。棄権票が多かった事は臨時総会の通知方法等に問題があったのか反省しなければならないが、反対者が大幅に減った事は建替推進の活動が理解された事、また、今回の東京建物の提案に実現性の高さを感じられた事が大きいと思われた。

2016.06.23

イトーピア浜離宮建替問題 承認/否認数の推移

2014年11月の総会での建替推進決議以来の賛成/反対者の推移は下表の様になりました。

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建替推進委員会 

 漸く、事業協力者が決定した。これから本格的に建替提案を完成させ、建替決議を可決させると言う次の大きな使命が待っている。
 思い返せば、2014年のT社(コンサル)の建替提案説明会では、質疑応答の時間に、建替反対者が活発に意見を述べ、建替を無理に進めるのは理事長が業者と癒着しているんだろうと言った類の誹謗中傷が大声で飛び交ったりする陰険な雰囲気に包まれていた。2016年4月の建替提案説明会では前回の経験から、建替反対者が多く参加した日には荒れることを心配したが、それは杞憂に終わった。多くの参加者から、よくぞここまで建替推進を引っ張って来てくれたと感謝され、今後も頑張ってくれと励まされた。この2年間で流れが変わったことを実感した。

(2)区分所有者の反対意見とその対策

 次のステップに移る前に再度、区分所有者の考え方について考察してみたい。
①地震対策不要論者
 イトーピア浜離宮は鹿島建設が建てた優良マンションであり、耐震性に問題はないと主張する。耐震診断の結果を説明しても、その診断は信用できない。自分の友人であるイトーピア浜離宮を建設した鹿島建設の部長が当時の耐震基準以上の基準で建設し、耐震性に問題ないと保証していると主張する人物がいた。この人は勉強会、総会、臨時総会とあらゆる機会で同じ主張を繰り返しており、その意見に同調する人も居た。総会で、理事会としてその真偽を確かめるためにその友人に文章にて問い合わせ、文章にて返事をもらうので、その人物の名前と部署を教えて欲しいと依頼した。ところが、その人はその申し出を拒否し、それ以来、総会や説明会には出席することはなくなった。以来、地震対策不要論は鳴りを潜めた。ただし、口には出さぬが本音として、賃貸に出しているので、地震の怖さを経験しておらず、地震が来ても自分が被害に合うわけではないから、余計な費用は出したくないと考えている人はまだいるかもしれない。
②時期不適格説
 東京オリンピック招致が決定後、建築費が急騰し、高止まっているのは事実である。このため、建築費が適正水準まで下がるオリンピック終了後まで待つべきと言う主張である。一見、正論の様に見えるが、逆に、オリンピックは都心部の新築、中古マンションの価格を高騰させ、工事費の高騰を打ち消し、お釣りが来る状況である。現在はオリンピックの恩恵を受けている時期で、むしろ、オリンピック後のマンション価格の下落を恐れるべきで建替は急ぐべきと反論して来た。また、何より建替の最大の動機が地震対策である以上いたずらに時を浪費することは許されず、建替は急がねばならない。しかし、時期が悪いと反対する人を本当に説得するには低コストで建替を実現すべき最終提案で説得するのが最善の方法であろう。
③耐震補強、免震改修論者
 確かに、これらの方法は、引越しが不要で引越しをしたくない人には大きなメリットがある。しかし、これらの対策を取るためには区分所有者の3/4の賛成が必要だが、これらの手法には、建替に比較し極めて低い支持率であり、合意形成を得る事は現状不可能に近い。とすれば、永久に耐震対策はできない事になる。
④外国人区分所有者
 海外の区分所有者のイトーピア浜離宮の住戸の所有目的は投資であり、そうであるならば、建替コストとその後の資産価値の向上を考えれば、結論は明白であろう。しかるに、複数戸所有する海外居住者の中には一貫して建替に反対している人がいる。マンション内に部屋を賃借し事務所を構える不動産仲介業者(区分所有者ではない)が、部屋の賃貸管理を任されており、全てのコミュニケーションはこの不動産業者経由となっている。仕事を失わない様に海外区分所有者と理事会、建替推進委員会のコミュニケーションを分断して総会などでは勝手に議決権を偽造・行使し反対している。言葉の問題はあるが、彼らと直接コミュニケーションを取るのは事業協力者を含めた拡大推進委員会の重要な役割になるだろう。
⑤高齢の居住者(後継者あり)
 高齢で今更引越しなど面倒は嫌だ。どうせ長くはないのだから余計な苦労はしなくていいのなら地震で死んでも構わない。確かに心境はよく理解できるし、どの様に説得できるかわからない。しかし、東京建物を事業協力者として選考してから、少し状況が変わった様だ。自分の余生は長くなく、いずれ、このマンションを資産として子供達に相続しなければならない。その時に、老朽化して価値のない資産を相続するより資産価値のあるものを相続したいと考えを変えられた方も少なくないと想像できる。
⑥高齢の居住者(後継者なし)
 相続すべき親族がいない場合はどうだろう。コストを払って、4年間の引越しの苦労をして建替後のマンションに戻って来ても、周りには知った顔もなく、新しい、生活環境に馴染めるかどうかもわからない。まして、新築マンションに何年住めるか、帰って来られるかどうかもわからない。だったら、なぜ、建替をするのか?少数ではあるがこの様な人達を路頭に迷わせては建替は進められない。我々が本当に考えなければならないのはこの人達の事だ。
 ではどの様に、彼らに納得してもらえるだろうか?竹芝地区は老人にとって住みやすいところだろうか?確かに交通の便は良いだろう。しかし、老人の徒歩圏では日用品、食料品の買い物はできず、決して住み良い街ではないはずだ。
 だったら、彼らに新しい生き方を提案し、幸せな余生を送ってもらう事はできないだろうか。ライフケアマンションでの生活はどうだろうか?。そこでの暮らしは老人には楽しいのではないだろうか。その暮らしのための費用なら、転出補償金や建替後のマンションの売却で賄えないだろうか?。熱海など老人が生活しやすい適度に都会で適度に田舎と言ったリゾート地で暮らすのも良いのではないか?どうしても都会がいいと言うなら、生活利便性の良い下町での生活はどうだろうか?建替後のマンションを担保にリバースモーゲッジを使うのも費用負担を可能にする一方法であろう。何か、新しい生き甲斐を提供できないだろうか?そして建築期間中もしくは帰還を考えず新しい生活を楽しんでもらうことはできないだろうか?
 事業協力者のノウハウ、サポートが有れば、より良い提案が出来る様になるだろうか。

第一章 終わり



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