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ブリリアタワー浜離宮の誕生物語 (24)

第二章 建替決議承認まで

11. 区分所有者の意向の変化

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 上表(単位%)は2016年9月の建替推進委員会の第一回状況説明会の時に実施した要望調査以来の区分所有者の意識の変化を表したものである。2018年7月の建替実施計画案の説明会の前には建替賛成者が8割を超えていた。ただし、依然として態度保留者も1割を超えていた。
 7月の実施計画案説明会には悪天候にも関わらず過去最高の141名(49.6%)区分所有者が参加し、いよいよ関心が高まってきたことが実感された。意向調査の結果をもとに決議集会に向けた票読みを開始、区分所有者ベース、議決権ベースとも賛成見込みが85%を超え、可決見込みが高まった。しかし、浮動票もまだ7%と高かった。票読みを間違え、否決されれば建替推進は後退し、再度の建替決議上程までには長い長い時間が必要になる。シティーコンサルタンツは浮動票をなくす為、態度保留者に対し建替えに対する賛否に拘らず建替決議への参画を懸命に促した。その結果、賛成派は90%を超えると期待できるようになった。しかし、反対運動を続ける館内不動産業者に不動産管理で世話になった権利者の中には彼らを信頼している人もおられ、無視できない影響があると覚悟せざるを得なかった。また、反対派理事は確実に反対が20%を超えると確信していた様子であった。全く油断できない状態が続いた。

12.2018年7月 建替計画実施案説明会

 説明会にあたり区分所有者への下記のメッセージを発信した。
(前略)
 この間、熊本、最近では大阪で大地震が起こりました。また、関東では最近千葉で地震が頻発しており、大地震の前兆とする説もあります。この様に地震は何時起こるか分からないと言う思いより、2014年11月以来、常に全速力で走って来ました。我々の現在の立ち位置は、皆様のよくご存じの箱根駅伝に例えれば、今は最も苦しい箱根の山道を登り切り、あとは建替決議と言う往路の箱根のゴールを目指すところと言えるでしょう。まだ道半ばではありますが、決議の後は、確信を持って竣工と言う大手町の復路のゴールを目指す事になります。

1)建替計画実施案作成における基本理念

 さて、これまで計画案を作成する上で、常に念頭に置いていた2つの『最小化』と言う基本理念があります。一つは『不満の最小化』(真の公平性)です。どの様な条件設定でもそれによって有利になる方がおられる反面、不利になる方もおられます。後述の権利床の増床に関しても、増床の権利を認めれば、コストが掛かっても増床を望まれる方は多いと思います。しかし、増床で満足される方以上に権利変換の費用の増加で不満を持たれる権利者の方が多いでしょう。これでは、公平であるとは言えず、80%の賛同を得ることは不可能です。皆様より多数の意見を頂いた住戸選定における優先ルールも同様です。最大限の公平性を追求するためには満足の最大化よりも不満の最小化がより重要であると言う理念のもと、条件、ルールを設定して来ました。この実施計画案を読んで、多くの区分所有者の皆様に満足して頂く事より、全ての区分所有者の皆様に大きな不満がなく、納得して頂けることがより重要であると考えています。もう一つの最小化は『権利床面積の最小化』です。要望調査でいただいたご意見では「なぜ自由に増床する権利がないか」と言う不満が見受けられました。なぜ権利床面積の制約が必要になったかを理解して頂くために、また、建替計画実施案に至るまでに推進委員会が直面した問題点とその対応策に就き、より良く理解して頂ける様、建替組合の事業収支の展開を面積ベースでの権利返還率と関連して下段にて説明させていただきます。

2)事業収支の推移と権利返還率の変化

(説明省略)

3)工事費と分譲販売価格

 多くの区分所有者の皆様から工事費が高騰している現在は建替えには相応しく無く、時期を待つべきだと言う意見をいただきました。その度に私は、単に工事費だけで判断すべきでは無く、常に分譲販売価格と一緒に見なければならない。マンション販売価格は工事費以上に上昇しており、正に今は建替の適宜だと説明してまいりました。この事は、上記の建替提案及び計画案の推移を見ていただければ理解していただけれと思います。上記の表の2010年のNF社の提案とこの実施計画案を比較して見ますと、工事費は29%上昇していますが、分譲価格は86%の上昇となっています。2014年の計画と比較してみると工事費の上昇は5%に対し、分譲価格は41%の上昇となっています。やはり、現在の建替計画の経済条件は、この分譲価格の高騰に支えられていると言えます。
<参考資料:港区内のマンション工事費と分譲販売価格の推移>

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以上、説明が長くなりましたが区分所有者の皆様に賛否の判断にあたり、この建替実施計画案をより良く理解していただくための一助となれば幸いです。

13.  2018年10月 建替え決議集会(第40期 第一回臨時総会)

1)建替え決議

 不注意や書類の不備による無効票をなくすため、議決権行使は事前に書類にて提出を求めた。(これに反対し、決議集会当日に議決権行使を望む権利者もおり、強制ではなかった。)そして事前開封し、不備のある行使書には返送し、修正を求めることとした。また、開封作業は顧問弁護士が行い、希望される権利者には開封作業に立会いを認め、また、開封作業は不正が行われないようビデオ撮影して記録に残すことにした。

2)臨時総会

 いよいよ決戦の時がきた。予想以上の盛会となった。大きすぎるように思えた会場も満員になる程で、正確な記録はないが、7月の説明会の141名を遥かに超える参加人数となり、地方から出席された区分所有者の方も多かった。この参加状況を見たとき、建替決議の可決を予感した。反対派の管理組合理事も参加していたが、反対意見の表明なども無く、順調すぎる程に議事は進行し、無事、建替決議は可決となった。

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3)建替え決議結果

区分所有者数 総数 284: 賛成 243 (85.6%)、 反対 31 (10.9%)、その他 10 (3.5%)
議決権数   総数 416: 賛成 354 (85.1%)、 反対 48 (11.5%)、その他 14 (3.4%)

 90%以上の賛成票獲得を目標としてきており、結果は85%の賛成に終わり、決して満足できるものでは無かった。実施計画案説明会以来、賛成に回った浮動票もかなりあったが、逆に館内不動産業者の妨害により賛成から反対に回った権利者も多かったものと思われた。

4)建替決議の報告

 建替決議の承認を受け、2018年10月23日付けにて下記メッセージを区分所有者に発信した。

 本日開催されましたイトーピア浜離宮の臨時総会におきまして、建替決議が可決された事を報告させていただきます。会場に入りきれない程の区分所有者の皆様、また、地方よりも多くの方に参加して頂き、大盛況のうちに臨時総会を終える事が出来ました。可決は皆様よりのご支援のおかげです。心よりお礼申し上げます。
 しかし、可決できたものの、賛成は85%に留まり、目標としていた90%に届きませんでした。この結果を真摯に受け止め、反対された方々の意見に耳を傾けこの建替計画において改善できるものは改善して行きたいと思います。
 建替推進の活動は今日で終わりではありません。むしろ漸く道半ばと言うところです。今後とも皆様のご支援、ご鞭撻のほど宜しく御願い致します。

 事業協力者である東京建物様には度重なる条件の改悪にも拘らず、この建替事業の成就のために自らの身を削り、また、リスクをとって経済条件を維持して事業成立に協力していただきました。ありがとうございました。シティーコンサルタンツさんには我々の手足となり、痒いところに手を届かし、骨身を削って我々の活動を支えて下さいました。ありがとうございました。松田平田設計さんには常に時間に追われる中、我々の無理難題にも耳を傾けていただき、真摯に対応いただきました。ありがとうございました。建替推進委員の方々、管理組合理事・監理の方々、休日返上での活動、予想した以上のハードワークでしたが、根をあげず、頑張っていただきました。ありがとうございました。
 
 これまで建て替えに反対されてきた方々、最後は感情的な対立になった事もあったかと思います。しかし、今日で道は一本になりました。これまでの感情は水に流して共に建替に参加していただければと思います。我々は居住、非居住を問わず、賛成、反対を問わず、建替により精神的、物理的な苦痛を強いられる方々に対し、少しでも苦痛を緩和できる様、サポートをさせて頂く覚悟です。お互いに胸襟を開き、話し合って行きたいと思っていますので、今後とも建替相談室にはどんな事でも構いませんので、気軽に立ち寄り相談して下さい。

第二章 終わり


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