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霧のエトルタ

恥ずかしいことに、現役を退くまでは「エトルタ」という地名をまったく知りませんでした。退職して欧米の美術館をよく訪問するようになってから、そこが、印象派画家クロード・モネの題材となったノルマンディーの小さな町であることを知りました。そこで2018年の春、ノルマンディーからブルターニュを巡る旅にエトルタを加えることにしました。

5月29日、ルーアン9:12発の電車を予約していたのですが、フランスではよくある鉄道ストのためにこれがキャンセルになってしまいました。そこで1時間早い電車に変更したのですが、これも約40分遅れて出発し、ル・アーブルに着いたのは9:50ごろでした。ル・アーブル発エトルタ方面のバス#24の出発時刻は10:12です。でも、まだ20分あります。駅前のホテルに急行し、そこにスーツケースだけデポジットして、駅に隣接したバスターミナルに戻りました。

バスは予定通り出発し、1時間ほど走って、11:15ごろエトルタ町役場Etretat/Mairie前のバス停に到着しました。

画像1エトルタの地図

バス停からは瀟洒な町役場の建物を右手に見ながら、Rue Monge → Bd. R. Cotyと北西の方向に町の商店街を約5〜6分も歩けば海岸に出ることができます。

画像2エトルタの町役場 (Mairie)(これは帰りに撮った写真で、時刻は午後2時50分を指しています)

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画像4海岸へと続く町の中心通り:クレープやシードルがいただけるレストランやお土産物屋さんが並んでいます。

海岸線は全長約1.5 kmあり、遊歩道テラスにはエトルタにゆかりの芸術家にちなんで、西から順に、ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)、クロード・モネ(1840-1926)、モーリス・ルブラン(1864-1941)、ウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)の名称が付与されています。モーリス・ルブランのみ「アルセーヌ・ルパン」で有名な小説家ですが、ご当地を舞台とした一シリーズがあることで知られています。

画家たちの題材となった断崖は、右側(北東側)のアモンの断崖(ファレーズ・ダモン)と左側(南西側)のアヴァルの断崖(ファレーズ・ダヴァル)の二つあります。どちらかと言えば、アヴァルの断崖の方が、そのわずか先に、尖った円錐形の針岩が見える分フォトジェニックです。

まず、北東のアモンの断崖の方向に歩き、この断崖の上からアヴァルの断崖を眺めることにしました。

画像5アヴァルの断崖の方向です。

画像6モネの作品の写真パネルが設置してあります。この絵画はディジョン美術館にあるようです。

画像7アモンの断崖の方向です。

画像8このモネの作品はオンフルールのブーダン美術館所蔵と書いてありました。

画像9アモンの断崖まで歩いてきました。

画像10振り返るとアヴァルの断崖が向こうに見えます。

ここから階段を登って、アモンの断崖の上に出ることにします。

画像11アモンの断崖上から見たアヴァルの断崖の眺め

画像12アモンの断崖上から見たアモンの断崖下の眺め

もう少しだけ先に歩くと、ノートル・ダム・ドゥ•ラ・ギャルド教会やナンジェールとコリーの記念碑などが見えてきます。このあたりから、霧がしだい次第に濃くなってきました。

画像13左に見えるのがノートル・ダム・ドゥ•ラ・ギャルド教会、アヴァルの断崖が霧の向こうに見えます。

濃霧のため視界も次第に悪くなってきましたので、そろそろ崖を降りることにします。

最初に海岸に出てきたところに戻ってきました。時刻はもう12:30も過ぎ、そろそろお腹も空いてきたので、このあたりのレストランで軽食を取ることにしました。

画像14シードル

画像15卵・ハム•チーズのガレット

食事が終った後、もう一度、今度はアヴァルの断崖の方向に歩いてみることにします。時間は13:30、あと1時間は海岸でのんびりできます。

画像16テラスの階段付近にはいつの間にか小学生たちが集まっていて、スケッチの時間が始まっていました。

画像17アヴァルの断崖の方向に歩いてみます。

画像18霧で視界は良くなく、針岩も崖の背後に隠れていきます。代わりにカモメが飛んできました。

エトルタの光景も十分堪能したので、お土産屋さんに立ち寄りながらバス停に戻り、15:05のバスでル・アーブルに戻ることにしました。

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さて、この機会に、この4、5年の欧米旅行で美術館を訪れた際に撮影した上記画家たちのエトルタの写真をハードディスクから抜き出してみました。

穏やかな海、嵐そしてその前後の海、朝の海、夕暮れの海、エトルタの見せるさまざまな表情が、三人の画家たちによって見事に描き出されています。

画像19ブーダン(アンドレ・マルロー近代美術館、ル・アーブル)

画像20ブーダン(アンドレ・マルロー近代美術館、ル・アーブル)

画像21クールベ(ワズワース・アテネウム美術館、ハートフォード)

画像22モネ(リヨン美術館、リヨン)

画像23モネ(ヴァルラフ•リヒャルツ美術館、ケルン)

画像24モネ(オルセー美術館、パリ)

画像25モネ(プーシキン美術館、モスクワ)

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wikiartで調べると、上記以外にもエトルタを題材にした多数の絵画が世界中の美術館に所蔵されているようです。以下のイメージはwikiartから切り抜いたものです。

画像26クールベ(オルセー美術館)

画像27モネ(オルセー美術館)

画像28  モネ(所蔵美術館不明)

画像29 モネ(所蔵美術館不明)

画像30モネ(大山崎山荘美術館、京都)

上の1点の他にも、モネのエトルタ1、2点が日本の美術館にあるようです。

さらに、こんなエトルタもありました。

画像31 モネ(所蔵美術館不明)


これぞ「モネ」って感じで美しいですよね!

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