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9.北極点までのカウントダウン

・資金バックアップお願いします 

4月10日 AM6:30  ――山形放送にあてたFAX

大山様のメッセージFAX届きました。又、最上中学校よりのメッセージありがとうございました。大場さんも地元中学生の*激励メッセージを読めば、元気づけられると思います。

(*激励メッセージ…私は山形放送の取材を受けた時、地元中学生からの大場さん宛のメッセージを北極点での補給時に大場さんへ渡すことを提案し、山形放送の大山様が手配してくれたものだった。)

さて、大場さんの現在の状況は、
日本時間 4月10日2:35AM  カナダ時間 4月9日12:35PMで、北極点までの距離192.210㎞の位置にきています。

非常に早いペースです。1日20㎞以上のスピードで、このままならカナダ時間で4月18日か19日には、北極点での補給要請がでるのではと予測しています。現在の早いペースは、ソリに積んでいる食料、燃料等が前回補給時、3週間分だけだったため、積荷が軽いのと、氷の状態が良いからなのではないかと想像しています。

前回補給時の大場さんから私宛のメッセージをFAXします。昨日は無線機、アザラシの冷凍肉を除き、ほとんどの補給物資を調達し、梱包が終わりました。いつ小アルゴスの補給合図がきても、すぐに行動できる状態になっております。現在大場さんについての心配ごとは次の2点です。

1.鼻と指の凍傷の状態
  前回補給時のパイロットの話では、かなりひどいようです。
2.北極点以降の費用のこと
 こちらに来て感じることは、北極点以降のカナダ側は、例年と違い相当氷の状態が悪いようです。ここテリーさんの所は、オランダ隊(4人)、河野さん(単独)、イギリス隊(1人)、イギリス隊(リレー)、北磁極チャレンジ(イギリス人6人)とたくさんのチームがおり、皆無線を使って交信しています。こちらの情報では、例年カナダ側北緯84度を越えると氷の状態が良くなるそうですが、今年は北緯86度を越えても乱氷、リード(氷の割れ目)が続いているようです。この状況ですと、大場さんが当初予定していた北極点から補給なしでのカナダ到達は、ほとんど無理ではないかと思ってまいす。ロシア側でも当初準備していた食料、燃料等が重すぎる為、途中で降ろしています。前回の補給時、パイロットが預かってきた大場さんの日記を読むと、

・ 3月  5日 内ぞり(8K)、カロリーメイト50ヶおろす
・ 3月  8日 熊と出合い熊よけスプレー2本使用
・ 3月14日 ストーブ(予備)1台、GPS(予備)1台、手袋、予備装備一部おろす
・ 3月23日 フライシート、燃料2リッターおろす

等、装備品も極限の状態で歩いているようです。これはカナダ着を5月下旬頃としないと氷が溶け始めるため、途中断念せざるを得ないことを避けるためのスピードアップの方法と思われます。

このようなことを考えると、カナダ側で少なくとも2回、できれば3回の補給体制を準備し、北極点で大場さんと打ち合わせをしたいと考えております。ちなみにカナダ側から北極点到達を目指す河野さんは、同時期にカナダ側を出発し、現在北緯86度をちょっと越えたところです。既に3回補給をしています。オランダ隊は、夕べの無線では、北緯85度位の位置で、各隊苦戦中です。

その中で大場さんの現在の状況はすばらしいことです。後半の補給準備がうまくいけば、世界初の単独横断も十分可能ではないかと思います。そこで御社のお力で是非資金カンパをお願いしたいと考えております。200万弱の予算があれば1回の補給ができます。山形県民の熱き思いを大場さんにご支援ください。よろしくお願いいたします。

他のチームは電話も専用回線を入れ、専用オフィスを構え、無線交信をして準備しています。大場さんは1番少ない予算で、一番がんばっています。こちらからの電話やFAXについても、1回毎にテリーさんに頼まないと送れない状態で、連絡が遅くなってしまい申し訳ありません。私は毎日2時間から3時間、寒さに慣れるのとビデオ撮影のトレーニングをしています。

デジタルビデオは、マイナス20℃からマイナス30℃位まではスムーズに動いています。他チームの回線とインターネットをお願いして借りることができれば、静止画像は送れるようです。ある程度の費用は必要と思います。補給準備が徐々に忙しくなってきています。体調を整えて頑張りたいと思っています。皆様に宜しくお伝えください。


・北極点到達後の補給について

4月10日 PM9:45  ――東京事務局へのFAXより

資金について、補給品について、FAX読みました。補給については、北極点以降2回することで準備をしたいと考えています。その理由は、前回FAXした通りです。その時期は、5月5日、5月22日前後の2回、詳しくは北極点で大場さんと打ち合わせの上、決定したいと考えています。もし着陸できない場合は、手紙と無線機の2本立てで決定したいと思っています。着陸できる場合は、今回梱包の半分は持ち帰ることができるので、次回補給分は間に合うと思います。

着陸できず、補給品を空中より投下する場合は、すぐに誰かにレゾリュートまで、物資を持って来てもらう必要があります。事前に、手配してもらった方がよい物を書き出します。古川君に手配してもらってください。スポンサー様の補給物資提供のお願いについては、文章にしてもらった方がいいと思います。大場さんのサインはいりません。北極点以降の資金が足りない場合についての文章を作ってください。

手配してもらいたい物
1. ペミカン 16(特製食料)(私の会社へすぐ送ってもらうこと)
2. つまんでベーコン 15
3. ベビーカルパス 5
4. 納豆汁 24
5. ポタージュスープ 20ヶ入り 2
6. ラーメン 30個
7. GPSの電池 1 (石井スポーツ)
8. ストーブ(コールマンピーク1モデル533-700)2台、オプションパーツ 2 ジェネレーター 2
9. マッチ (マッチの先に白い発火物が着いた物 木や鉄に擦ると着火するタイプ)10ヶ
10. スキーのシール(タヌキスポーツ)

現在気がついている物です。レゾリュートでも、時間があれば手配できる物もありますが、上記の物を手配し、私の会社に集めてくれるよう古川君にお願いします。

北極点補給後、最終的に決定をして、足りない物を手配し、4月末までにはレゾリュートに持って来れるような準備をお願いします。格安チケットも予約(最終決定は北極点補給後)だけはしておいた方がいいと思います。山本(由)様に相談して下さい。来れる人が誰もいない場合、古川君に来てもらうので、パスポートをすぐに取れるようにしてください。

心配していた無線機も、14日に入手する予定です。北極点以降の補給は、ピーターさんに少々の費用を払えば、快くやってもらえるよう頼んであります。小アルゴス受信後、次回補給で大場さんが無線機を持てば、ブラッドレー社と無線で話ができ、補給は問題なくできそうです。現在使用中の大・中アルゴスをどちらか1つ回収したいと思います。どちらを回収するか意見を下さい。
 
 * 間中さんへ もう一度補給品を持って、レゾリュートへ来ませんか。宜しくご検討ください。英語ができる人がいいですし、頼りにしてますので

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