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11.地平線プロジェクト(9)三丈の塔誕生

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廃船の作品「龍骨」を作るために剥がされた廃船の側板や廃材は、最初、「龍骨」の周りに桟橋のような廊下を張り巡らす計画だった。この計画は蔡さんの中でうまく消化しきれないものだったのか、次なるプランへと変更された。

いわき市立美術館入口前のエントランススペースに置かれたヘンリー・ムーアの彫刻をすっぽりと覆ってしまう大きな堂を作るというものだった。この時、蔡はこれが決定打ですと言わんばかりの自信に満ちた表情で、このプランの内容を語っていた。しかし、これは美術館側からの反対意見が出て没になってしまった。

だが、こうした時の蔡さんの気持ちの切り替えと発想の転換は素早い。障害が起きた時、それを断念したり縮小したりするのではなく、翌日には全く違った着想の、よりおもしろさの膨らんだプランへと変様させ、筆ペンで書かれた図面を片手に現れるのだ。

こうして2転3転の末、いわき「三丈の塔」が誕生した。

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