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24.補給要請から1週間

・パソコンのご協賛を!

東京事務局にあてたFAX

北極海の氷の状態(オープンウオーターリッジ)及び天候、特に雲の動きを知る為、サテライトピクチャー(気象衛星からの写真情報)を現地で迅速に見たいと思っています。今後大場さんが直面する悪い状態に対処するためには、ぜひ必要であると判断します。

つきましては、以下仕様のパソコンを5月17日(土)までに必要と感じています。次回補給予定は、5月19日・20日・21日とフライト予約を入れているからです。日本で協賛してもらえるコンピューターメーカー及び協賛者を探して下さい。(現在ある資金は使いたくない、補給費用で残したい。)

日本からパソコン等を送ってもらうのは時間的に無理だと思いますので、金銭的な協賛もほしいと思っています。もし、コンピューターメーカーの協賛の場合は、こちらで購入し、それを使って情報を取っていることをアピールしてもいいでしょうし、協賛メーカー欄に載せるだけでもいいと思います。

又は、現地にある系列会社、代理店よりの納品でもOKです。取りあえず前回話のあったゲートウェイ社にあたってもらう事が、一番可能性があると思います。大場ベースキャンプの電話番号が決まりましたので連絡します。819-252-○○○○

寝室にセットしましたので、朝8時から夜11時の連絡として下さい。(但し、緊急は全く問題ありません。いつでもOK)

朝、電話で話した今後の予算をたてる事は非常に大事ですので、できれば5月17日までに集計しておくのがいいと思います。(未払い及び見込みを含む)


・不安――補給前夜


5月17日、午後11時45分、私は今レゾリュートからツインオッター機で2時間40分かかるユーレイカにいる。
大場さんからの3回目の補給要請「小アルゴス」を受信してから既に7日過ぎ、明日で8日目だ。先程、今回の補給機パイロットのダッグ機長から説明があった。

明朝8時30分にレゾリュートのモレックさんと電話で現地の天候の確認をし、フライト予定を考えている。但し北極海の天候は良くない。暖かくなってきているために雪が融け、それにより霧が発生し、下が見えない。だから着陸できない可能性が高い。そのため補給物資の投下の準備ができているかを聞かれた。

明日で大場さんは、8日間待つことになる。連絡のとれない場所で、これだけ長い期間待つのは、どんなに不安か知れない。緊急信号のイーパブも電池がなく、発信できない。小アルゴスの信号も出ているかどうか心配しているだろう。そんなことを考えると気持が落ち込んでしまう。

いくらかの救いは、私が前回投下した補給物資に入れているメッセージだけだ。そこには天候が悪い場合には、今まで8日間補給を待ってもらった例を書いてある。私の気持が落ち込んだ時は、これを読んでくれて大場さんのいる場所の天候が悪ければ、いくらかでも不安を打ち消す材料になってくれているだろうと思うことにしている。

とにかくここではファーストエアー社の判断に従うしかない。明日はドロップオフ(補給物資投下)のための荷造りと大場さん宛のメッセージ作り、トランシーバーで話すことを決めておこう。条件が整えば、朝9時に出発し、午後2時位には大場さんと会えるだろう。しかし最悪の場合は、前回と同じように投下のみ。食料・燃料のこと、凍傷のこと、融けだした氷のこと、とにかく心配するのは山積だ。


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