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1.出会い

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1996年・夏。

私がたまたまつけたテレビ番組に大場さんは出演していました。
テレビで見た、冒険家・大場満郎に興味をもち、数回逢っているうちに、いつの間にか私が大場さんの「世界初北極海単独徒歩横断」と言う偉業のサポートを引き受けることになったのです。

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・初めて見た「NHK人間マップ」

大場さんを知ったのは、NHKのテレビ番組だった。
スイッチを入れると雪の上をそりを引きながら歩く映像が流れていた。その後、ねじめ正一氏がいろいろな話しを聞いてゆく。

冒険者は、最上川で練習してアマゾン川をイカダで下った話や北極横断を3回失敗して4回目挑戦の準備をしている事を熱っぽく話していた。

今になってその時の私の気持ちを思い返してみると、印象に残っているのは、明るい人ということ。自分のやりたい事を、自分の出来る事からやっているということ。それも足の指、手の指がなくてもあきらめない。爽やかさを感じたような気がする。お金を集める事もコツコツやっているようだった。


 大場 満郎

みょうに気になって名前を覚えた。
これが大場さんとの出会いだった。
テレビの中の大場さんは、誠実でねばり強く、自分のしたい事にチャレンジしている喜びにあふれてみえた。番組の途中から録画をした。
時期は1996年の7月だったような気がする。大場さんは3回目の挑戦に失敗してまだ、数カ月しかたっていなかった。


・ 足りないのは「ソリ」とお金

「人間マップ」の番組はをみて2ヶ月たった。
その間に2回ほど録画したテープをみた。不思議な事に、見直す度に気になる気持ちが増しているのを感じた。何人かの人にも話した。
「今、大場さんは順調に準備進んでいるのかな・・・」と話題にすると、「NHKに電話して聞いてみたら」と言われすぐ電話した。

「7月頃放映された番組に出ていた大場満郎さんの連絡先を知りたいのですが?」

番組担当者と話す事ができ、電話番号を教えてもらった。


志賀 「もしもし大場さんですか、人間マップという番組を見て応援したいと思って電話しま した。準備は順調ですか?足りないものは何ですか?」
大場 「ありがとうございます。足りないのはソリとお金が一番ほしいです」
志賀 「FRPのソリなら私の友人の会社で作れると思いますが、紹介しましょうか?」
大場 「ぜひ宜しくお願いします。いつでも出かけて行きますので、都合を聞いて下さい」

  こんなやりとりがあったのが1996年9月頃だった。


「ソリ」の製作を担当したJON72(株)スタッフ一同

大場さんの講演後の記念撮影

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大場さんのそりを造るために茨城県にあるJon72の鈴木武社長と会う事になった。Jon72のFRP製造技術(ハンドレイ)は高いレベルであり、大場さんの要望にも十分答える事ができると思われたが、私が電話をすると鈴木社長は、「命にかかわるような道具なので会っていろいろ聞いてみてから返事したい」と言った。
大場さんを鈴木社長へ紹介するために常磐線磯原駅前で待ち合わせた。乗り降りの少ない駅だったが大場さんは目立った。思ったより小柄なのが印象的だった。駅前のベンチで二人で座りちょっと話した。

大場さんがもう一つの要望していた資金援助として、100万円の小切手を「これどうぞ」と大場さんに差し出した。
大場さんは、「これは何ですか」と聞いた。「これは私の会社東北機工が北極海横断のスポンサーになるものです」と答えると、大場さんは何を感じたのか、「ちょっと待って下さい、帰って相談してみます」と言った。

私は何度も考えて決断して用意した資金であり、喜んで受け取ってもらえると思っていたので、ちょっと拍子抜けしたような気持ちで小切手をしまった。
(その後連絡があり、気持ち良く使ってもらう事になるのだが)


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