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子会社で企業不祥事が起っているのはほんまでっか? 第1話 「いつの世にも悪は絶えない」


 江戸時代を舞台にした時代劇、鬼平犯科帳のテレビは毎週この台詞から始まっていた。

 時は令和。日本企業の不祥事のニュースがマスコミを賑わせることも多い。最近(2021年6月~7月)でいえば、三菱電機の不正検査、カッパ寿司のデータ取得不正・・・。フィクションの世界だけでなくリアルの世界でも「いつの世にも悪は絶えない。」のだ。 

 こんな悪(不祥事)について、日本取引所自主法人はこんなことを言っている。
「近年、上場会社における多くの不祥事が表面化し報道されています。業種を超え、規模の大小にかかわらず広がっている現状です。これらの中には、最近になって発生した事象もあれば、これまで潜在していたものが顕在化した事象も見られます。いずれにせよ、これら不祥事は、その社会的影響の広がりに加え、当該企業の社会的評価を下げ、業績に悪影響を及ぼし、株価の下落も相俟ってその企業価値を毀損します。さらに、上場会社の間で不祥事が頻発するような資本市場は、コーポレート・ガバナンスが機能していない市場とみなされ、その信頼性を失うこととなります。
日本取引所自主規制法人は2016年2月に『不祥事対応のプリンシプル』を策定し、実際に不祥事に直面した上場会社の速やかな信頼回復と確かな企業価値の再生に向けた指針を示しました。しかし、不祥事がまれな事象でなくなった現状において、不祥事の発生そのものを予防する取組みが上場会社の間で実効性を持って進められる必要性が高まっています。そこで、不祥事発生後の事後対応に重点を置いた上記プリンシプルに加えて、事前対応としての不祥事予防の取組みに資するため、今般『不祥事予防のプリンシプル』を策定しました。上場会社においては、これらのプリンシプルを車の両輪として位置付け、実効性の高い取組みを推進していただくことを期待しています。」※1 

 簡単に言えば、「不祥事が発生すると企業価値を毀損しちゃうから、頑張って予防しましょうね。」ということだ。 

 そして、このプリンシプルの中に、

  [原則5] グループ全体を貫く経営管理
グループ全体に行きわたる実効的な経営管理を行う。管理体制の構築に当たっては、自社グループの構造や特性に即して、各グループ会社の経営上の重要性や抱えるリスクの高低等を踏まえることが重要である。
特に海外子会社や買収子会社にはその特性に応じた実効性ある経営管理が求められる。
と書かれている。

 これも簡単に言えば、「親会社だけじゃなくて子会社の不祥事も予防しましょうね。」ってことだ。

 内容自体は、正論ぽいんだけど、リスク管理にもコスト(ヒト、時間)がかかる。そもそも各企業は限られたリソースの中で経営してるんだから、 

 子会社で不祥事が起きてるなら「グループ全体でリスク管理しましょうね。」って言われたときに「はいそうですね。」「しょーがないね。」になるんだけど、

 そうでないなら「そこまで力入れなくてもいいんじゃない?」「やらねーよ!」ってことになる。 

 こんな問題意識から、定量的に子会社で不祥事が起きているかを分析してみて、このプリンシプルの原則5が言ってることに「Yes」or「No」の答えを出してみたい。というのが本連載の趣旨である。

  次回、この命題を検証する前にリスクマネジメントの考え方について簡単に述べようと思います。

 ※1 「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」の策定について(日本取引所自主規制法人 2018年3月30日) 

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