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ある宗教信者二世からきいた悩みごと

このところずっと、書いていいかどうか躊躇していた。
報道でもSNSでも、常識外れに高額な壺や印鑑、生活を維持できないほどの献金についての話は出てくる。
しかし、私が知り合いからきいた悩みごとのような話は見聞きしないので、やはり記録しておこうと思う。

その人とは、当時近所に住んでおり子どもどうしが同じ歳で、同じ幼稚園に通っているという関係だった。幼稚園への送り迎えの際に、話をするようになった。少女のような雰囲気の人だった。

ふとしたことから、今政界との関係を取り沙汰されている宗教団体の信者であると知った。驚き、戸惑ったけれども、今は教団と距離を置いているそうで、勧誘などはほとんどされなかった。いちど、「いいことが書いてある本を母が送ってきたの。読んでみる?」と言われたけど断ったらそれ以上勧められはしなかった。その人のお母さんが非常に熱心な信者だということだった。

あるとき、その人から、悩みごとを相談された。
「母がね、○○(その人の末の子。私の子と同じ幼稚園に通っていた)のことを養子にくれというの。私の子ども達は男の子ばかりだけど、母が産んだのは女の子ばかり。母は、自分は女の子しか産んでないから地獄に落ちるというの。」
全部日本語で言われているのになんのことか理解できないというのは、まさにこのことだった。
「私達夫婦は、桜田淳子さんが結婚したときの合同結婚式に行って祝福を受けたの。そのときにはもう結婚していて、上の子は生まれたあとだったけど、そのときにあの場所に行って祝福をうけて、そのあとで○○は生まれたの。だから、『神の子』は○○だけなの。だから母は、神の子である○○を養子にほしいというの。どうしたらいいと思う?断ると、母は、自分が地獄に落ちてもいいというのかと言いながら泣くのよ。」

理解できない話だった。

自分が産んだ娘に対して言うのか。
自分は娘しか産めなかったから地獄に落ちると。
かの宗教の発祥地は、儒教文化が根強いからか、男の子を産むことにこだわるときいたことはあるが。
そして、自分が産んだ娘とその子どもの親子関係を解消させて養子にくれと言って泣くのか?
それが神の意思なのか?

その人やその人のお母さん自身の考え方がどうこうということではなく、教団が刷り込んだ価値観であろう。その人のお母さんは地獄の恐怖を刷り込まれ、教団が刷り込んだ価値観を外して考えることができない状態になっているのではないか。
その人は、母親からと教団から刷り込まれて、どちらもマインドコントロールされているように感じられた。

その後、その話がどう決着したかは知らない。

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