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子どもの声にも耳をかたむけたい

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所に作業療法士として勤務する身内がいる。利用する子どもたちには、社会生活に於いてなにかしらの不都合が日常的に生じることが多い。療育によって、社会生活に於ける摩擦や不都合を軽減していけること、それが事業の目的のようだ。

利用児の中に、マスクを拒否する4歳児がいるという。4歳…。いやがって当然だと思うが、社会的にはマスクを推奨される年齢に入ってしまう。これまではただ拒否していたその子が、「マスクのにおいがいやなんだ!」と言葉にして言ったという。
よく言えたと思う。違和感を言語化してくれたおかげで、スタッフたちは理由を知ることができたらしい。

それでどうしたか。

10数えるあいだ。  いやだ!
それなら、みっつ数えるあいだ。  いやだ!

短い時間を区切ってマスクに慣れさせようとしたらしい。複数の利用児を同じ空間で預かる場としては感染症予防対策に神経をとがらせるのは無理もない。現時点ではマスクの着用は符号化している。しかし………。

それ、かわいそうだよ。幼児の場合、脳の発達があるから大人とは比較にならないほど酸素を必要とする。相手の口の動きで言葉を学び、表情を読み取ることでたくさんの情報を得ている。児童の発達において、今の社会のマスクの常時強制の害を指摘している医師もいるくらいだよ。そして、マスクのにおい。鼻と口を覆われることの不快感。目には見えなくても、素材が布でもウレタンでも、不織布なら尚更、製造に使用されている化学物質を吸い込むことの害も無視できない。嫌がっているのなら尚更でしょう。かわいそうに。

そうは言ったものの、20代の作業療法士ひとりに何ができるかといえば…。
せめて高圧的な強要ではなく、その子を怖がらせないように配慮しつつ着用を求められる場面ではそれに合わせられるように練習の機会を作る…くらいしかできないだろうな。

マスクは適宜利用・活用するには便利なものだと思うが、現状では『お上のお達しに有無を言わず従う人間か?それとも逆らいやがる人間か?』の判定ツールとして大きく機能しているとみえなくもない。

子どもは大人のミニチュアではない。からだもこころも。
………子どもたちがしあわせな社会、ちいさな声にも耳を傾けてみんなのしあわせを考える社会、なにがほんとうのことかを考える社会でありたい。

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