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『紳士とお嬢さん』あれこれ

『紳士とお嬢さん』(韓国ドラマ)を録画して観ている。吹替だし、68話構成と長いので、作業中に点けておいて、聞き流しながらチラ見するような使い方もしている。これを書いている時点で58回まで観たところ。

注∶私は、ネタバレとか気にならずにレビューを読むので、自分でもネタバラシしてしまうと思う。

テンポが良くて、ヒロインや子役が可愛いし。軽い感じで楽しんでいる。
ストーリーも、エピソードも、そして、韓国ドラマの独特な表現方法も。

舞台は、ソウルだそうだ。
大都市ソウル。2023年上半期の人口は960万人を超えているらしい。

その人口の多さの割に、韓国ドラマあるあるなんだけど、すごく狭く濃密な人間関係の中で話は展開される。
昭和50年代に観ていた、石井ふく子プロデューサー、橋田壽賀子脚本のドラマ∶『ありがとう』を思い出すコミュニティの狭さ。父と娘(ヒロイン)がそれぞれ職探しして、やっと見つけたのが同じ財閥家の住み込み運転手と家庭教師だったり、その財閥家の亡き先代会長の後妻の娘と、ヒロインの兄(ステップファミリーなので兄妹血のつながりはない)が恋人同士だったりとか。ヒロインは財閥家の若き(会長としては比較的若き)会長(その母は先代会長の先妻)と相思相愛になるのであったりする。
いとこ婚も禁止の韓国で、悲劇にならないように血のつながり上は問題なく人間関係が組み合わせられている。
人数のとてつもなく多いソウルにいながらどんだけ狭いコミュニティで…。
…ご縁ですなあ…。


韓国ドラマあるあるだけど、独特な表現方法。

抗議の為に他人の住居を訪問(怒鳴り込み)しに行くと、住人はモニターで訪問者を確認し、「あら…!どうしよう…」と戸惑いながらも入り口を解錠する。
しかし、入り口までには行かず室内に立ちすくんでいる。
訪問者は足音も荒々しく踏み込んできて、いきなり観葉植物をなぎ倒したり室内のものを手当たり次第に投げ散らかしたりテーブルの上にあるものを左右に跳ね飛ばしたりする。それから住人をののしり始め、髪をつかんで引きむしり、遠慮会釈なく乱暴狼藉をはたらく。気が済んだら、あるいは、自分がくたびれたら引き上げる。室内に台風が入り込んできたようなありさまの中で、住人は嘆く。
警察呼ばないの?侵入罪とか、暴行とか、器物損壊とかの罪には問われないんだろうか?
そもそもまず、ドアチェーンをかけて少しだけドアを開け「ご用件は?」と訊くとか、部屋には入れないやり方にしないんだろうか?
そんなことしたら玄関の外でわめき散らされるからだろうけど。
「皆さぁん!聞いてくださいな!ここに住んでる女はね…!!」とか。

家族の結びつきは強く、情が濃く、あたたかいのだけれど、それは家族以外をどこか疎外し、ないがしろに扱って当然という考え方にもつながりうる。家族の中でも、より自分にとって身近な存在が無条件に優先される。それは、理屈なんかではなく当然にそうなのだ。ということは、理屈ではなく、自分から見て遠い方を疎外するのが当然となるのだろう。
韓国人俳優の演技力は素晴らしく、主人公でも悪役でも見事に演じきる。同じ俳優とは思えないくらいに、役そのものになりきる。
主役のときの優しい眼差し、美しい微笑み。
敵役のときの酷薄な表情、憎々しい嘲笑。
利害関係に照らしてマイナスと出たとき、日本人である私に向けられるのは後者であるのだろうと推測してしまう。そんな考え方をするのは寂しいことだけれども。

家族といえば、韓国文化圏で、親は親だというだけでかなり強い権威であるのを感じる。
親の方が明らかに身勝手な理屈を捏ねていても、「親に向かって…!」という言葉は子どもをひるませるようだ。
先日老母と口論になって、「それが親にいう言葉か!」と激昂した母に対して、「それが、『親がいう言葉』ですか?」と言い返した私などはとんでもない人非人と定義されそうだ💦(でも老母がとんでもない身勝手なわがままを言っていたので、たしなめずにはいられなかった)。親というポジションにしがみつきひけらかして上に立とうとするのではなくて、論理的正当性、まともな価値観、思慮深さに裏打ちされた発言で尊敬させてほしい。

配役について。
ヒロインと相思相愛になる若き財閥会長(ヒロインよりはかなり年上だが)を演じるのはチヒョヌ。
会長夫人の座を狙って策略を巡らし、一度は婚約者にまでなりおおせる意地悪な敵役チョ室長を演じるのはパクハナ。
『悲しくて 愛(原題は、悲しいとき愛する)』で共演し、チヒョヌに護られる可憐なマリ(手術前)を演じたパクハナが、こういう役どころを演じるとは…。韓国俳優の演技力は素晴らしいのだ。

私が特に好きな登場人物(脇役)は、キム室長。
冷静で美人で職務に忠実で、ちょっと何考えてるのかわからなくて、「報告します」とノートに書き込んでいる人。
会長の義妹セリョンと家政婦のおばさんも好き。





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