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マンマン堂✕マソマソ堂 【マンマソ堂々対談】

2021年末、まんだらけシール横丁に突如として現れたマソマソ堂の「元祖!浮世絵マソシール」。
これは私マンマン堂の「浮世絵マンシール」を曖昧な記憶でパロったこっ酷いイラストと、浮世絵マンをサゲてマウントを取ろうとしてくる裏面コメントの組み合わせによるバチバチな内容のパチシールでした。

マソマソ堂の「元祖!浮世絵マソシール」


このマソマソ堂は告知のため短期間Twitter上に生息していましたが、シールが発売された直後に大林宣彦監督『ねらわれた学園』から薬師丸ひろ子が「うちへ帰りましょ」と繰り返し唱えるクライマックスシーンの切り抜き動画を投稿したあとアカウントを消して失踪。
そのまま人々の記憶から忘れ去られるだろうと胸を撫で下ろしていたところ、DOMMUNEとまんだらけの自作シールコラボに際してしれっと新作シールを出しやがったのです。

けじめをつけるべきだと判断した私マンマン堂は、とある業界関係者のコネを利用してマソマソ堂と会う約束を取り付けることに成功しました。

2022年7月某日、先方の指定した脳内某所にあるマソガ喫茶「茶番」にて初対面。その記録の一部を抜粋してここに残します。


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マンマン堂(以下マン) えーと初めまして、になるのかな
マソマソ堂(以下マソ) そうだね、シールではコラボしてるけど会うのは初めてだね
マン コラボじゃねえし!そっちが勝手にパチシール作ってるだけだし!
マソ ウケる(笑)
マン ずっと聞きたかったんだけど、なんで浮世絵マンをパチシールの題材にしたの?もっと人気のあるシールはたくさんあるんだからそっちのパチシール作れば良かったじゃん
マソ 人気のあるシールのパチなんか怖くて作れないよ
マン まあ、確かに。それで落ち目の浮世絵マンを選んだと
マソ そうそう(笑)
マン はっきり言うなや!
マソ いや、真面目に話すと、きっかけをくれたのはマンマン堂さんあなただよ
マン 何それこわい!なんで!?
マソ 一時期さ、浮世絵マンが高値で転売されてるのを知ってツイッターで怒ってたじゃんYOU?
マン ああ、ハイハイ。いま思い出すと恥かしいけど怒ってた。限定品じゃなくて販売中のシールを割増料金で売ってたから流石にそれはないんじゃないか?って。転売屋に直接メッセージ送ったりしてたね。転売屋が扱ってる他の物を購入して人物特定したり
マソ で、その時に「転売するくらいならマソマソ堂とでも名乗ってパチシール作るくらいのことしろや!」みたいなツイートしてて
マン うん
マソ それを見た時に「面白そうだし、もうこれ公認だろ」って思ったからマソマソ堂を立ち上げたの
マン 公認と捉えたわけね(笑)
マソ そんな気はなかった?
マン うーん、出来上がってきたものが面白ければ公認かな
マソ 基準が曖昧(笑)
マン 基本的に「怪我したり損する人がいないなら面白ければオッケー」みたいなスタンスだから
マソ マンマン堂としては損することにならないの?
マン 面白いことに出会える方が得じゃない?
マソ 面白さが損失を上回るなら自由にやれと
マン うん。転売の何が腹立つってクリエイティブな行為が伴ってないからなんだよね、自分の場合
マソ 転売屋にそれを求める?笑
マン ニッチなジャンルの転売なんて目利きの才能すら必要ないんだから生態系に大きく食い込む以上は何かしら貢献すべき。めちゃくちゃ面白い紹介文を書くとか
マソ 正規の売買を妨害しておきながら横流しするシールの魅力をアツく語る転売屋(笑) 
マン だってあいつら、こっちが苦労して作った告知画像まで流用したりするんだぜ。しかも酷い時は変な場所でトリミングしやがったりしてさ。ピクセル単位でさんざん位置調整とかしたものを無慈悲にバッサリ!
マソ ある意味クリエイティブじゃん(笑)
マン 意図があるならまだしも頭使ってないだけでしょ?何も面白さを生み出してないことに利用されるのがとにかく嫌
マソ 改造とかしてくれるなら転売してもいいと
マン 面白ければ
マソ だからその基準かなり曖昧だって(笑)
マン それくらいの決定権ちょうだいよ!ネタ提供してるんだから(笑)

対談は終始リラックスムードで進んだ


マソ ははは。それで、マソマソ堂のシールはどうだった?
マン 面白かったかってこと?
マソ そう
マン シール的には面白いのも面白くないのもあったけどアプローチとしては面白かったかな
マソ はい、公認!
マン いやいやいや(笑)
マソ 面白かったのと面白くなかったのの違いって何なの?
マン うーん、元ネタからの飛躍がうまく行ってるかどうかかな
マソ 飛躍は重要だね
マン 怪童丸がサイボーグみたくなってたじゃん
マソ 坂田丸ね

マソマソ堂「坂田丸」とマンマン堂「坂田怪童丸」


マン うん、坂田丸(笑)名前は全部良かった(笑)
マソ あはは、ありがとう(笑)
マン うろ覚えのまま怒られない程度にヒネったって感じで好みだった
マソ ああいうのは雑な方がいいでしょ
マン だね。で、話を戻すと、坂田丸は元になってる怪童丸だと大きな鯉を掴んでるんだけど、それがパチだとバズーカ化した腕になってたじゃん
マソ 他にも胸ビレが羽根になってたり、尾ビレが坂田丸本人の足になってたり。元の絵で鯉の部分がメカに見間違えられてる
マン そのルールは気づかなかった(笑)でもあの「わかるっちゃわかるけどそれはないわw」みたいな食い違いぶりは面白かったな
マソ しかも旧ビックリマンの『金太ロボ神』も連想できるでしょ
マン そこまで考えてたとはビックリ!
マソ これは今、話しながら考えた(笑)
マン なんだよ!ビックリして損した!

「ビックリ損」


マソ でも今の感想はすごく嬉しい。マソマソ堂のテーマって「見間違い」だから
マン なるほど
マソ 実際あれ描く時は頭をからっぽにした状態で元のシールを薄目で見ながら、かなり頑張って見間違えてるからね
マン 「頑張って見間違えてる」(笑)
マソ 正解が一つであってたまるか!っていう執念ですよ
マン どゆこと?
マソ なんか今ってさ、正解が必要ないものにも無理矢理一つの正解をでっち上げてそこに当てはめて安心してる感じしない?
マン 全然わからない(笑)
マソ うーん例えば「魅力のある絵」の基準って様々だと思うんだけど「こういう絵が魅力のある絵です」みたいな型が出来上がってて、描く方も見る方もみんながその型に近づけようとしてる感じとか
マン そう?
マソ アニメ系イラストとか如実にそうじゃない?前まで個性のあったイラストレーターが一般的な型に近づけることで無個性になるって事が増えた印象を受ける
マン 時代性とか流行の話じゃなくて?
マソ もちろんそれもあるだろうけど、ちょっと目に余ると言うか。映像の演出もそうかな。こっちはユーチューバーの増加と編集ソフトの進化がモロに影響してると思うんだけど
マン 全体的に底上げになったってことじゃないの?
マソ それで言うなら天井の高さも決まっちゃった感じ。天井突き破ったり屋根裏に住んでたり床下這いつくばってたり大黒柱舐め回してたりっていう異質な表現が見えにくい
マン 最後の例えおかしくない?笑
マソ とにかく画一化が著しいってこと
マン でも確かにネット上はそうかも。イラストに関して言えば写実表現だったり既製品に近い表現だったりが喜ばれる印象は受けるね
マソ 良質ではあるけど飛躍がない
マン まあ技術が進歩したからこその斬新な表現もたくさん生まれてるから一概には言えないけど
マソ 何でそうなったかって考えると評価する側に知識が必要なくなったからじゃないかって気がしてて
マン ほう
マソ だいぶ前に細田守と渡辺信一郎の対談かな?「ヲタクの質が変わった」って話をしてて当時かなり共感した記憶があるんだけど、それはかなり影響してると思ってる

※マン注:ここからマソマソ堂の主観による負け惜しみのような考察が延々と続くので割愛します。

趣味の話題で盛り上がるマソマソ(左)とマンマン


マン 「評価する側に知識が必要なくなった」っていうのは昨今の情報番組なんかで専門家ではなくタレントばっかり顔を並べてる感じにも近いのかな?
マソ 20年以上テレビ番組を観てないからわからん
マン えー!それで生きていけるの?
マソ 勧められたドラマとドキュメンタリーは何度か観た
マン 観てんじゃん!
マソ 『アンナチュラル』と『あのときキスしておけば』は良かったナ
マン いやだからテレビ番組観てんじゃん!しかも井浦新ばっかり観てんじゃん!
マソ (無視)トレパクなんかも「似てるか似てないかでしか判断できない人のお手軽快感ツッコミポイント」として暴走してる怖さがある
マン トレパクに関しては複製の精度が上がったからとか権利問題への意識が昔よりしっかりしたからって理由が大きいと思うけど…
マソ 話を戻すと、マソマソ堂のテーマを「見間違い」にしたのはもちろん昔のパチシールの雑さへの憧れが第一にあるんだけど、それだけではなくて、不正解として片付けられてしまうような歪なものをひとつの答えとして成立させて選択肢の幅を増やしたいという想いもこめた
マン あのふざけたシールからそこまで読み取れないよ(笑)
マソ いや、もちろん買ってくれる人はそんなこと考えないで「バカだなー」って楽しんでくれれば良いんだけど
マン 実際バカシールだからね(笑)
マソ 今は瞬発力で単語に反応する時代だから「バカだなー」だけでも成立するように作ってはいるけども、シールの外に広がる意図なんかを含めて流れを文脈として捉えた時に壮大なバカワールドが広がるような仕掛けも施したつもり
マン 本気でふざけてるんだと
マソ そうそう
マン しかも手描きシールの大家けいぞさんが『チョウジ』とかいうパチシールのパチシールをぶっ込んできてとんでもないことになってたよね(笑)

メタモルフォーゼする「浪裡白跳張順」
(左からマンマン堂、マソマソ堂、けいぞさん作)


マソ あれは面白かった!
マン パチのパチはもはや本家なのでは?っていう妄想がはかどったりして楽しかったね
マソ あれは事前に打ち合わせとかしてたの?
マン あるわけないじゃん(笑)
マソ マンマン堂も即座に『いないチョウジ』っていうネタを投げ返してたからヤラセかな?って(笑) 

「いないチョウジ」


マン もうね、変化球でキャッチボールしてる気分(笑)
マソ 燃える魔球に消える魔球で返すみたいな(笑)
マン 愉快な思考の飛躍を軽やかに提供してくれるけいぞさんには感謝しかないね
マソ 感謝と尊敬。アーメン
マン そんな鬼才けいぞさんの『自作スリーブセレクション②』は在庫あるうちに買わなきゃだよ☆
マソ 以上CMでした



マン で?DOMMUNEとまんだらけのコラボシール企画で復活したのは何で?
マソ 何で?って普通乗っかるでしょこんなもん
マン こんなもん、って(笑)
マソ 去年のドミューン自作シール企画の時に『坂田怪童丸』がドミューンマークを持ってる『坂田怪どみゅ丸』っていうシール作ってたじゃん

マンマン堂「坂田怪どみゅ丸」


マン 超能力ボーイズのユリ・ゲ郎さんが旧ビックリマンのお守りシール『たての助』の持ってる盾をDOMMUNEマークに置き換えた『どみゅの助』っていうマッシュアップ系の傑作瞬発力シールがまずあって、それのオマージュとして密かに作ってたやつだね
マソ それ思い出したから「もってこいのやつあるわー」って
マン 軽いな(笑)
マソ うちは元になる浮世絵マンさえあれば薄目で寄生するだけだから
マン 薄目で寄生(笑)
マソ 薄目で頑張って見間違えたら恐竜みたくなった
マン 出た、「頑張って見間違え」(笑)てか、これ恐竜タイプだったの?

マソマソ堂「怪ドムムネ」


マソ 盾の部分が顔でそこに緑の首がつながってる感じ。体の目は胸についてる
マン ところで名前はドッムネじゃないんだね
マソ そこは迷ったんだけどドッムネってただの変換ミスだから「見間違い」っていうテーマからは外れるんだよね
マン 変なところで律儀(笑)
マソ 自分ルールを厳守するのは基本でしょ
マン ドンムネでもなくドムムネ
マソ 名前を決めるときは頭の中で別人格を想定した何人かに集まってもらって『DOMMUNEスペル読み間違え大会』を開いて公正に多数決で決めた
マン 薄目で「頑張って読み間違えた」わけだ
マソ おっマソマソの流儀がわかってきたじゃん。次にマソマソ堂になるのは君だ!
マン うるせえ!笑


マン これ裏書きのネタはバイキング?
マソ そう。ドミューンの電気グルーヴ特集を売名行為だって言って叩いたあのバイキング
マン 無知と不勉強を武器に他人を叩くっていう破廉恥な行為をメディアがあそこまであからさまにやる、って事はショックだった
マソ ドミューンと正反対だよね
マン ツイッターなんかだと日常茶飯事だけどテレビがそれを堂々と…って、やっぱりテレビ見てんじゃん!
マソ ネットニュースで知ったんだもん!
マン そういえばツイッターはすぐにやめちゃったね
マソ 「マンマン堂をおちょくる」っていう目的を果たしたからもういいやって
マン 本人を目の前に堂々とそういうこと言わないで(笑)
マソ いやいや、本人も何も、俺がお前でお前が俺じゃん(ドーン!)
マン アンタあの娘の何なのさ!(ドーン!)
マソ そっちも一回ツイッターやめてみたら?
マン あー。でも楽しみにしてくださってる方に向けて新作シール作ったとき告知したいからなー
マソ 告知なんかしたってしなくたって売れねえよ!
マン おいっっ!!!

最後は肩を組んで記念撮影(港にて)


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以上がマンマン堂とマソマソ堂という因縁めいた二人の初対面の記録となります。
この数日後、マンマン堂も試しにツイッターを一旦やめることになるのですが、それはまた別のお話。

ツイッターはこのままやめてもシール作りはまだやめない!!


ところで、8/13㈯に中野サンプラザで開催される地球最大規模の自作シール即売会『さん家祭り』に参加される「バブルガムカンパニー」様の新作シールの裏書きを担当しました。※キャッチコピー以外の本文のみ

マンマン堂は裏書きに拘って活動して来たので、そこを評価してご依頼くださったことに感謝感激。
実はバブルガムカンパニー様は今回新作を発表するシリーズ【絵師ドルぷろじぇくと!】を立ち上げる際に、『浮世絵マン』を作っていたマンマン堂にわざわざ挨拶してくださった大変律儀な方で、こうして正式にコラボできたことは非常に感慨深いです。


今回の裏書きを書くにあたっては、「浮世絵師の魂が現代のアイドルに憑依して活動する」という趣向や世界設定、キャラクターの性格についてなど詳しく書かれたとても丁寧な設定資料を頂戴しました(まだ公開されていない裏設定なども含む貴重なものです!)
日中の空き時間という空き時間を使ってそれを熱心に読みこみつつ題材となる浮世絵師についても改めて調べ直し、夜に帰宅後PC上でタブを常に20個くらい開きながらスマホも走らせてアイドル七人分の裏書きを四夜程度で一気に仕上げました。

浮世絵や音楽などのネタをふんだんに盛り込みつつもアイドルキャラクターの爽やかさと勢いに助けられて『浮世絵マン』ほどクドくならない良質なバランスで書けたと思います。
裏書きのクオリティはシールの価値としてあまり重要視されない部分みたいですが、今回の裏書きは、はっきり言って自信マンマン堂です!

バブルガムカンパニー様のtwitterで写楽さんの裏書きが読めますがこれはおとなしい方で、全体的にもっと暴れていますので是非7枚すべて集めて読み比べていただきたいです!!
浮世絵の知識、音楽の知識に加えシール内の世界設定もわかると3重に楽しめる仕組みなので興味を持たれた方はバブルガムカンパニー様に訊ねてみてくださいね♡


それでは皆様、待ちに待ったであろうリアル交流イベントを存分に楽しんできてくださいませ〜!
自分は諸事情あって15日まで人間的な生活を送れない状況なので見送りま〜す☆

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