はじめての編集〜完走した感想〜——続・編集後記

『Melt』編集部の学生がVol.2の制作を振り返る「続・編集後記」。本誌で書ききれなかったことや今改めて思うことをnoteに投稿します。

文:『Melt』編集部(Y.K)

最初に漫研の存在を知ったのは五月だったはずだ。ポスターが貼られているのを見つけて、漫画好きとしては入らない理由がなかった。しかし、美術大学の漫研なだけあって、どうやら漫画を読んで語り合うだけの会ではないらしく、自ら漫画を描く人が集まっているようだ。自分はよく漫画を読むだけの素人である。一度も執筆した経験のない自分に何ができるのだろうか。とりあえず、説明会だけでも参加してみることにした。サークルの大きな活動として、部員から漫画や文章の原稿を募集し、雑誌を制作するのだそうだ。これ以上ないくらいに興味を惹かれる内容だったが、自分は漫画も文章も経験がない上にネタも持ち合わせていない。残念だが今年の参加は見送って、また来年リベンジしようか。一年あれば漫画の描き方も練習できるし、ネタも上がるだろう、などと考えていた。

しかし、直後に自分の考えは一変する。雑誌の編集部員を募集するという告知がされたのである。これだ。編集作業など当然未経験だが、現状では漫画も文章も執筆できそうにない自分がこのすばらしき創作活動に関わる方法はこれしかない。すぐに参加希望の意志を伝え、未知の編集の世界に飛び込んだ。

何も分からぬまま最初の編集部会議に参加したが、ありがたいことに先輩方が懇切丁寧に作業の説明をしてくださり、自分も編集部の一員として活動を開始することができた。最初は文章の担当についていたのだが、訳あって執筆者の方が参加を辞退してしまう。ここで仕事がなくなったかと思いきや、漫画担当の補助役としての仕事を得ることができた。初めこそ他人の漫画にあれこれ口出しすることを躊躇っていたが、担当についた以上、ありったけのアイデアを出してやろうという意気で、後半は積極的に発言した。作者と編集者、意見をぶつけ合った結果、良いものが出来上がったのではないかと思う。初期の段階からキャラクターの設定がかなり練られている印象で、キャラの魅力が漫画の魅力を底上げするということを実感した。今後、自分の作品を描くときに参考にできそうな良い経験だった。

掲載作品を決める会議では編集部メンバーでネームを読んで評価を決めたのだが、作者さんがネームの裏で細かく決めていた設定を知っている身としては、「この漫画はもっと深い魅力があるのに!設定資料も一緒に見せたい!」と歯痒い気持ちになった。9月に入ってからは校正作業が行われ、主に文章の原稿を読み込んだ。普段から文章を読まないので、なかなか苦労したが良い刺激になった。初校正だったので勝手がわからず、事あるごとに先輩に質問していた点は申し訳ないと思っている。

そんなこんなで、漫画批評誌『Melt』vol.2は完成した。右も左もわからないまま参加したこの企画だったが、なんとか最後まで編集作業に関わることができた。振り返ってみれば、ここ五ヶ月近くは漫画だの文章だの編集のことばかり考えていたような気がする。長いようで短かった。少しずつ出来上がっていく過程がとても新鮮で、貴重な経験だった。これから人の手に渡るのだと思うと、ウキウキがおさまらない。

という訳で漫画批評誌『Melt』Vol.2、10月15、16日の芸工祭にて発売となります。御期待下さい。


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