漫画描き、編集者になってみた——続・編集後記

『Melt』編集部の学生がVol.2の制作を振り返る「続・編集後記」。本誌で書ききれなかったことや今改めて思うことをnoteに投稿します。

文:『Melt』編集部(O.H)

漫画批評誌『Melt』に関わる活動は学生が中心ですが、なかなかに本格的な仕組みで作られているんですよ。批評にも漫画にも書き手に担当編集がついていたり、掲載する作品についての会議を開いていたり。今回私は、漫画の担当編集をしました。

編集部の一員として良いものを作りたい。そんな気持ちで制作に参加しました。色々な人の作品や意見に触れて、あわよくば自分の力にしたい! という気持ちもありました。

実は私も漫画家志望です。ちょうど漫研に入って各々の役割も決まった頃、ありがたいことに私にもプロの担当編集の方がつくことになりました。その方と電話で話をした時、はじめての経験でとても緊張していた私に「あなたはここを楽しんで描いていて、こういうのが描きたいんだね」と丁寧に言葉をかけてくださったことを覚えています。その指摘は、私が思っていたことを的確に表現していてびっくりしました。それからどこを直せば作品が良くなるかを優しく指導してくださったおかげで、とてもやる気が出て、不思議と緊張もやわらいでいました。

やっぱりプロってすごいや、と思うと同時に、「私にこんなことできるの……?」と不安になったことを覚えています。

実際、担当編集は簡単にできることではありませんでした。執筆者がどんなものを作りたがっているのか理解して、それに沿った上で作品が面白くなるような提案もする。そしてやる気を引き出させるような言葉の使い方をする。周りの方々に助けられながらでしたが、自分なりに探り探り取り組んできました。自分の一言で作品が良くも悪くも変わってしまう可能性があるというのは、正直責任を感じて怖かったです。一つ言葉をかけるのにも時間がかかり過ぎてしまって、向いていないのではないかと不安になることもありました。ですが、自分の発した言葉が執筆者が書き進められるきっかけになったり、それで相手が喜んでくれたりするとやりがいになりました。当たり前ですが、漫画において大切にしていることは人によって違います。だからこそ自分にはない視点も得られたのだと思います。

無事、担当している執筆者の作品ができあがった時は、本当に嬉しかったです。『Melt』も自分の子供みたいに愛おしいです。誰かと一緒にものを作るって、大変だけど楽しいなと実感しました。この活動に関わった他の方々もおそらく同じ気持ちだと思います。

そして、この活動をきっかけに漫画の話ができる仲間が増えました。これからもたくさんの方々の話をヒントにして、自分の力にしていきたいです。

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