夏休みを代償に得られた経験——続・編集後記

『Melt』編集部の学生がVol.2の制作を振り返る「続・編集後記」。本誌で書ききれなかったことや今改めて思うことをnoteに投稿します。

文:『Melt』編集部(S.Y)

漫研の存在は、友人の一人から教えてもらいました。編集をメインとする文芸学科のゼミに所属する私としては、参加するしかないと即決でした。

と言っても、実のところ私は3年にもなっていながら自分の編集技術や文章力についてあまり自信が持てていませんでした。入学当時はなんとなく文章系の進路がいいかなあと中途半端な気持ちで文芸学科へ入学し、具体的にどうしたいかもよくわからないまま月日が流れていきました。課題の中で文章を書いたり編集作業をこなしたりしていくうち、自分って思ったよりできないなあとモヤモヤが募っていきました。そんな中知ったのが漫研の存在でした。

それは自分が文芸学科だから、という自信に満ちたものではなく、少しでもできるようにならなくては、という焦りのようなものからでした。それに加え、漫研に所属して冊子の制作に携わった実績が残れば就活に利用できる、と邪な気持ちがあったのも正直否めません。

打ち合わせでは、少しでも話を理解してさらに広げていけるように、図書館から関連した本を大量に借りて読みふけりました。普段は読まないタイプの本だったので理解するまで時間がかかり、何回も読み返すことになりましたが、その分たくさんの新しい発見がありました。と言っても、完全に理解したわけでもない付け焼き刃の知識でしかなかったため、もっと良くするためにここをこうしてみるのはどうですか、と意見するのはかなり抵抗がありました。お門違いのことを言っていたらどうしようとか、自分なんかがこんなことを言って大丈夫なのかとか、とにかく神経をすり減らしたのを覚えています。

当時は車の免許を取ったり、ゼミの授業の一環で飛島に取材へ行ったり、多忙期と重なってもいたので色々と消耗していました。打ち合わせは対面よりもLINEでのやりとりが多く、この文面だと冷たく見えるのではないかと、普段なら考えないことまで心配しすぎて作業が遅れ気味になったのは反省点だなと振り返ってみて感じました。飛島の旅館の中でパソコンと資料を広げてひぃひぃ言いながら画面と睨めっこしていたのはいい思い出です。

編集担当としてきちんと役目を果たせたのか、不安がないといえば全くの嘘になりますが、この制作を通して間違いなく成長できたと言えるでしょう。一皮剥けたような気持ちです。今までは自分の意見を言うのに余計なことを考えすぎて結局何も言えずじまい、ということが多かったのですが、案外好き勝手言っても大丈夫そうだなあと、いい意味で拍子抜けしました。頭の中で考えているだけでそれが伝わるわけでもないし、些細なことでも、反対されそうなことでも、一度自分の考えとして伝えてみようと思えるようになりました。これは自分にとってとても大きな成長です。

この編集後記を書いている10月現在、やることが目白押しですっかり参っていましたが、思いの外前向きに取り組めそうな気がします。これからは存分に自分の意見を伝えて、存分にぶつかり合って揉めまくっていこうと思います。

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