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神須屋通信 #23

ふたつの国葬

0901(木)雨・曇
●今日から9月。コロナ感染者は減少傾向ではあるが、その歩みは遅い。政府は、全数把握の見直しをするかどうか、いまだに結論を出せない。岸田総理は、旧統一教会問題で頭がいっぱいか。●番組録画を見たり、Netflixで「ウ・ヨンウ弁護士」のドラマ1話分を見たりして過ごす。●今日から、kindleで、亡くなったゴルバチョフの評伝を英語で読み始めた。

0906(火)晴
●今日も暑い日。台風は北に去った。●天王寺へ。あべちかの喫茶店「promenade」で昼食。サラダブレッドとカフェオレ。●食後、地下鉄谷町線で東梅田へ。大阪駅周辺のビル建設の進捗状況を「視察」。その後、淀屋橋へ。竣工したばかりの日生淀屋橋ビルや、川沿いに建設中の三菱銀行のビルの鉄骨組などを見物して天王寺に戻った。●ジュンク堂書店で本を数冊購入。●その後、中国語教室。辞めたかと思っていたYさんが、二ヶ月ぶりに、今日から復帰。嬉しいことだが、なんと、休んでいたのは、コロナに感染したからだったそうだ。軽症だったので、自宅待機中ただただ退屈だったそうだが、その間、役所から食料の支援があったという。身近な人からコロナ感染の話を聞いたのは初めて。●政府は、野党やメディアの要請に抗しきれず、国葬の費用を16億円程度と公表した。それで収まるかどうかは、わからない。五輪の例もあるし。●イギリスの新しい首相に女性のトラス氏が就任した。サッチャー2.0と呼ばれているそうだ。

0907(水)晴
●おおたか静流さんが亡くなったそうだ。69歳。ガンかな。若すぎる。あの独特な声が懐かしい。●円安ますます進行。144円。数十年ぶりとか。インバウンドを呼びこむチャンスだが。●WILLIAM TAUBMAN "GORBACHEV HIS LIFE AND TIMES" 読了。ゴルバチョフが死去の知らせを聞いて、読書の予定を変更して買って読むことにした。kindle版で読んだので厚さは分からなかったが、紙の本だと、二巻本でとても分厚い本だろう。時間的にも体力的にも、とても隅々まで精読できないので、興味のある部分だけを読んだ。地方の貧しい家庭での出生からモスクワ大学進学、生涯の伴侶ライサとの出会い、そしてソ連のトップに至るまでと、ライサ夫人との死別を含む、権力の座を追われた後の生活。その間の権力の座にあった時代のことは、同時代に生きた私は、リアルタイムで報道で知っていた。その背後で何があったのかは、またの機会に読むことにしよう。ゴルバチョフは、その全盛時代においては、「ゴルビー」と呼ばれ、特に、日本を含む西側の世界で圧倒的な人気を誇る指導者だった。人類の希望だったと言ってもよい。その意味で、国は違うが、オバマ大統領の先駆者だった。オバマは結局何も世界に業績を残せなかったが、ゴルバチョフは違う。彼は、ほとんど独力で冷戦を終結させ、東西ドイツ統一の道を拓いた。しかし、ソ連の崩壊は彼が意図したことではなかった。ソ連を崩壊させ、その後のロシアを大混乱に陥れて、後のプーチンの登場を用意したのは、ゴルバチョフではなく、エリツインである。あまりに理想主義者であり知識人であったゴルバチョフは、あまりにも西洋的でありすぎ、典型的ロシア人であったエリツインに敗北した。ロシアの人々の支持を得られなかったのである。リベラルの運命かもしれない。いずれにしても、ウクライナ侵攻の最中に、ゴルバチョフが亡くなったは皮肉なことだった。今こそ、ロシアには新時代のゴルバチョフが必要だ。でも難しいだろうな。ゴルバチョフの出現は、20世紀の奇跡だったのかもしれない。この興味深い評伝を読みながら、毀誉褒貶において、ゴルバチョフは明治維新期における徳川慶喜に似ているなと思った。その歴史的評価は、まだ定まっていない。

0909(金)曇
●朝一番のニュースは、エリザベス女王死去。96歳。数日前に、新首相を任命する元気な姿を映像で見たばかりだったので、驚いた。年齢を考えれば大往生。現代史の生き字引。もし回想録があれば読みたいものだ。●本郷和人「歴史学者という病」読了。新書による現役学者の自叙伝というのは、神戸大学の木村幹さん以来、トレンドになるのかも知れない。現代の国立大学での文系学者の生きづらさは、木村教授も本郷教授も共通のようだ。それにしても、大学院の学生で司馬遼太郎はバカだという人間がいるとは驚いた。司馬さんは小説家だよ。歴史研究者と歴史家は全く別物である。

0913(火)晴
●午後、ジョーシン電機へ、家内の買い物につきあい、その後、生協で買い物。●帰宅後、Netflixで韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の第16話を見た。たまたま見始めたドラマを、他にやるべき事が多くあるのに、最終話まで見てしまったのは、もちろん、このドラマが面白かったから。自閉症の天才弁護士を主人公にした話など、誰が考えつくだろう。見事な脚本に感心するばかりだが、このドラマの成功は、脚本だけではなく、主人公を演じたパク・ウンビンさんの魅力と見事な演技があったからだ。韓国演劇界の奥深さを思い知らされた。韓国の映画もテレビドラマも面白い。映画「パラサイト」のアカデミー賞に続いて、今日、テレビドラマ「イカ・ゲーム」がエミー賞を複数受賞したように、いま世界を席巻しているのも当然だ。●フランスの映画監督、ゴダールが亡くなった。91歳。私の若い頃にはすでに神格化されていたが、最近は、フランス映画自体が見られなくなっている。フランス現代思想はまだかろうじて生き残っているようだが。違うかな?もう十年以上前のことだが、久しぶりにゴダールの代表的な映画を見直そうとした時、主人公がのべつ間も無くタバコを吸っているので、気分が悪くなって、途中で見るのをやめた事がある。学生時代に最初に見た時には平気だったのに、どうしたことかと不思議だった。●ヤクルトの村上選手が55号ホームランを打った。王さんの記録に並んで、あとはバレンティンの60号が上にいるだけ。そこまで行きそうだ。

0914(水)晴
●ゴダールの死が安楽死によるものだった事が少しずつ知られ始めている。でも、話題にしているのは、まだ一部の年寄りのインテリ(と自認している人)だけ。●東京五輪がらみの贈収賄事件で、なんと、角川会長まで逮捕されてしまった。どこまで行くんだろう。私自身は、検察の暴走に近いのではないかと疑っているが、もし、森元首相の逮捕にまで行くのなら評価する。

0916(金)曇
●台風14号が九州に向けて北上中。3連休の日本を縦断するかも知れない。●昼食は「かごの屋」。行く途中、午後からの浜側のだんじり祭りの試験曳きに参加する人たちの姿を多く見かけた。●島田雅彦「君が異端だった頃」読了。「自伝的青春私小説」、読売文学賞を受賞。という触れ込みに釣られて、文庫本を買って読んだのだが、期待は満たされた。実に面白い。小説家の書くことはほとんど嘘ばかりだから、ほとんどは自伝ではなくフィクションだと思うが、あえて自伝として読んだ。私よりも十歳ほど若い、著者の鮮やかなデビューの頃の事は今も記憶している。才気あふれる美男の学生作家、まさに貴公子だった。中上健次が嫉妬したのもよくわかる。その著者が、芥川賞に6回落選という記録を作りながら、今では芥川賞の選考委員になっているというのも興味深い。以前、著者の「芥川賞落選作全集」という洒落た文庫本を読んだ事があるが、確かに、どうしてこれらの作品が受賞できなかったのか理解できなかった。この本には、どうやら犯人は選考委員だった安岡章太郎と開高健だったらしい事が書かれている。まあ、みんな死んでしまった今だから書けたのだろう。今にして思えば、島田雅彦は、日本にまだ文壇というものが存在した最後の頃に文壇に登場した作家だったので、こうした回想記もどきの貴重な記録を書いてくれたのは実に有難い。できれば続編も期待したい。ついでに、最近話題の政治小説も読んでみるかな。●なお、著者は、東京外大でロシア語を専攻したが、ちょうど受験の際に、ソ連のアフガニスタン侵攻があり、ロシア語の人気が凋落したので、一時、進路を迷ったそうだ。現在のウクライナ侵攻と比較して興味深い。

0917(土)曇
●猛烈な台風14号は九州めがけて北上中。近畿地方は曇り空。お陰で気温は低めで、今日から本番のだんじり祭りのためには、熱中症の危険性が減って、恵みの天候になった。昨日なんかは真夏日に近い暑さだったから。●ロンドンでは、エリザベス女王を弔問する市民の長い列が続いている。10時間以上、20時間くらいもかかる列だそうだ。一生の思い出にするのだろう。ベッカムも並んだそうだ。

0918(日)曇
●台風14号、鹿児島に上陸。大阪が影響を受けるのは明日と明後日のようで、今日は雨が降らず、3年ぶりに本格実施のだんじり祭りは、なんとか無事に終わったようだ。私たちは見物には行かなかった。私たちが住む神須屋町周辺の祭りは10月が本番だから。●夜は、「鎌倉殿の13人」。畠山重忠の死。今回のドラマのおかげで、源氏や北条氏以外の鎌倉武士たちの名前を多く知ることができた。畠山重忠は、そのなかでも武士の中の武士と呼ばれた人物だったらしい。●その後に見た、NHKスペシャルの「中流危機を越えて」はとても見ごたえがあった。考えてみれば、私たちの世代は恵まれていたのだ。どうすれば賃金が上がるのかを考えるらしい次回を期待したい。●統一教会や国葬の問題が響いたのだろう、毎日新聞の調査で岸田内閣の支持率が30%を切ったらしい。かなり深刻。

0919(月)曇・雨
●台風が近畿地方を通過するのは夜遅くなってからという事だが、今日は一日中、家にいて、台風を迎える心の準備。ベランダを片付けた他、特に何もしなかったが。●夜は、エリザベス女王の国葬の模様をNHKが長く放送したので見物。女王が亡くなってから10日間ほど、世界中の眼が英国に集まったと言ってもいいが、その中で繰り広げられる数々の式典や行事が、いかにも英国らしく、厳粛で荘重でありながら美しく、華麗とさえいえる、時代を経た様式美が、まるで映画を見ているようで、ため息が出た。日本の皇室では、建物や街並みからしてとても真似できない。まあ、真似する必要もないわけだが、それでも、これぞ日本という厳かで美しい大喪の儀式を世界に発信できないものか、今からゆっくり研究すればいいと思う。平安時代を思わせるページェントにするなど、世界を意識した見せ方の工夫が必要かも知れない。それじゃ、まるで京都の葵祭か。

0921(水)曇
●台風が去った後、急に涼しくなった。●柄谷行人「哲学の起源」読了。先日読んだ自伝的小説で、島田雅彦は柄谷さんを自分の師匠の一人だと書いていたが、私にとっても柄谷さんは長年私淑する人物である。まあ、どれだけ理解できているかどうかは自分でも疑問だが、「世界史の構造」は、その主著として、これからも世界的に長く読まれるべき重要な著作だと思う。この「哲学の起源」は、その補足説明のような本だ。短くて読みやすい。「世界史の構造」で、柄谷さんは、マルクスが「生産様式」の変遷によって歴史を描いたのに対して、「交換様式」の変遷によって説明しようとした。それはとても見事な着眼だったと思う。柄谷さんは、社会に分断をもたらしている、現在の資本主義の限界を超えるものとして、かつての平等な狩猟採集時代を再生したような「交換様式D」を構想しているのだが、実は、ソクラテス以前のイオニア地方において、この「交換様式D」の萌芽のような社会があったというのが、この「哲学の起源」のテーマである。弟子だったプラトンが描いたソクラテスは本来のソクラテスではなく、本来のソクラテスこそ、この先行するイオニアの哲学者たちの思想をアテネにおいて再生しようとした人物だったのだという。実に刺激的で面白かった。

0923(金)雨・曇
●秋分の日。今日から3連休。●またまた台風15号が近づいているが、どうやら東海地方へ向かっているようだ。大阪は小雨模様。●西九州新幹線が開通。しかし、この線では長崎と福岡はつながれていない。佐賀県が反対しているという。もし、今すぐに工事が始まっても、開通は10年後ということ。もう新幹線の時代ではないという気もするが、地元民の歓迎ぶりを見ると、他所者は何も言えない。国の税金が使われているのだが。●君塚直隆「物語 イギリスの歴史」上巻読了。エリザベス女王の死去から国葬に至る、一連の感嘆すべき儀式の数々を報道で見て、改めて、イギリスの王室を中心とする歴史を知りたくなった。その意味では、国葬の様子を伝えるNHKの特別番組にゲスト出演した君塚さんの著書が最適である。この上巻は、ローマ帝国の支配下にあった頃から、エリザベス一世の死までの歴史を扱う。同じような名前の王が登場して分かりにくいが、学校の世界史の授業で断片的に知っていた英国王朝の歴史の変遷の様が大まかに理解できた。現在の王室の祖先が、フランスのノルマンディ地方からやってきた征服王朝であり、かつては王たちはフランス語しか使わなかったこと。その意味で、常に北方民族の侵略を受けて易姓革命を繰り返してきた中国の歴史との共通性を感じた。先日の儀式のほとんどが軍、近衛兵を含む、軍隊によって挙行されていた事からも分かるように、英国の王たちは時に戦死もした軍人たちだった事がよく理解できた。その反面、明治以前の日本の皇室の特異さもよくわかる。●夜は、W杯本番前の国際強化試合。今夜の相手はアメリカ。これもW杯出場国。2-0で日本が勝った。本番の相手はスペインとドイツだから、こういうわけには行かない。

0924(土)晴
●台風一過の快晴。今度の台風は関西では何事もなかったが、静岡で大きな被害が出たそうだ。●Netflixで見た「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」がとても面白かったので、ウ・ヨンウ弁護士を演じたパク・ウンビンの主演のもう一つの話題作である「恋慕」を見始めたら、これも面白くて、ついつい3話まで続けて見てしまった。子役の演技も素晴らしかったが、それを受け継いだ、パク・ウンビンも、当然ながら、弁護士役とは全く違う役を見事に魅力的に演じていて感心した。●大相撲。今場所は横綱照ノ富士が途中休場。大関二人が負け越しの中、中堅以下の力士が頑張っていて、なかなか面白い。今日の取り組みで、優勝候補は、共に平幕の、高安と玉鷲の二人に絞られた。二人は明日の千秋楽に、優勝を賭けて対戦する。できれば高安に優勝させたいが、それには二番続けて勝つ必要がある。

0925(日)晴
●午前中、ほとんど3ヶ月ぶりにスロージョギング。身体が鈍っているので、今日は20分くらい走っただけ。●帰宅後シャワーを浴びてから、昼食は貝塚食堂。●家内がドライブしたいというので、久しぶりに関空に行った。ところが、関空は2025年の万博を目指して大規模なリニューアル工事の最中で、ほとんどの店が閉まっていて、3連休というのに場内は閑散としていた。かろうじて一階で営業していたスタバでカフェラテを飲んで帰宅。来月11日から、いよいよ日本でもビザなし個人旅行が解禁になって、現在はまさに開国前夜という状況。次に来るときは、また関空に人が溢れているのだろうか。●大相撲千秋楽。優勝決定戦を期待していたが、玉鷲が本割りであっさり勝ってしまった。2回目の優勝は昭和になってからの最年長優勝。高安はなかなか優勝できない。●夜は「鎌倉殿の13人」。北条時政夫婦の追放は来週に持ち越し。今夜は、まるでマクベスの舞台劇を見ている感じだった。深刻にならないのは、いかにも三谷式。いつもながら見事な脚本。見事な役者たちの演技。●ヤクルトがセリーグ優勝。村上選手は、55本打ってから一週間以上ホームランがない。これで気が楽になればいいのだが。

0926(月)晴
●君塚直隆「物語 イギリスの歴史」下巻読了。断頭されたチャールズ一世から亡くなったばかりのエリザベス二世まで。王室と議会の関係を中心に歴史の変遷を簡略に描いた英国史で、かなり頭が整理された。この本で知ったトリビア知識。現代の英国王室はウインザー家を名乗っているが、元々はドイツから来た家系で、初代はドイツ語しか喋らなかった。しかし、第一次大戦をドイツと戦った頃から、英国民のドイツに対するイメージがとても悪化したので、ドイツ語系の家名だったのを、イギリスらしいウインザーに変えたのだそうだ。

0927(火)曇・雨
●昼食後、家内の希望で近所をドライブ。熊取町にある、旧中林綿布工場を改装した「煉瓦館」と、その横にある、重要文化財「中家住宅」を見物した。熊取は岸和田のすぐ隣なのに、見物するのは今日が初めてだった。「煉瓦館」にはレストランや藍染工房、市民文化センターなど、さまざまな施設がある熊取町の中心的な文化施設になっていた。また、「中家住宅」は、平安時代からの歴史を持ち、江戸時代の岸和田藩時代には、泉南地方の大地主として栄えた家で、建物は往時よりも縮小されているようだが、住宅内の土間や台所、見事な梁などに昔日の繁栄ぶりが伺えた。置いてあったリーフレットによると、この住宅の横の松の樹で、江戸時代の蘭学者、橋本宗吉がフランクリンに倣って、雷が電気であることを実験で確認したという。この地を選んだのは、中家の人間でもある、蘭学者仲間の中天遊の縁だろう。思いがけない発見だった。●今日は、安倍元首相の国葬があった。国葬にすると決めた時、岸田首相は、まさかこんなに国論を二分する大問題になるとは思わなかっただろう。会場の都合もあったようだが、決定から開催まで時間がかかり過ぎた。その間に旧統一教会の問題が大きくなり、国葬反対の意見が過半数となってしまった。それでも、国葬になったという事実は歴史に残る。選挙運動中に凶弾に倒れた元首相を悼み、断固としてテロに抗議して民主主義を守るためだ、人によって評価が違うのだから、安倍氏の首相としての業績は関係がないと、岸田首相は熱を込めて主張すべきだったというのは後知恵。いずれにしても、もう政治家の国葬はこれで最後にした方がいいと思う。●でも、一般向けの献花のために並ぶ市民の多さにはちょっと驚いた。歴史的なイベントに参加したいと思う人もいたかもしれないが、安倍支持者もまたそれなりに多数いたということだろう。その点は公平に評価しないといけない。(補足:今回の一般献花は約2万5千人。吉田茂国葬時は4万人を越えたらしいが、その時は武道館で、献花用の花を会場で用意しての一般献花だったから単純な比較はできない。今回の献花は花束持参。)●テレビはみんな国葬の話ばかりなので、Netflixで「恋慕」を3話分、第8話まで見てしまった。全20話だから、あまりに時間を取られすぎるので、最終話まで、途中の話を飛ばしたいのだが、次回の内容が気になってそうもいかない。なんとも困ったドラマだ。●夜は、サッカーのW杯前強化試合。今夜の相手はエクアドル。メンバーを全て入れ替えた日本は劣勢だったが、なんとか0-0で引き分けた。これぞ本番の予行演習。耐えて耐えて、カウンターを狙う試合。

0928(水)曇
●昨日、国葬の放送は見なかったのだが、夜、twitterを読むと、山縣有朋の歌を引用した菅さんの弔辞の評判がとても良かった。今朝のテレビで、その弔辞があらためて映像で紹介された。確かに素晴らしい弔辞だった。川端康成が、盟友横光利一にささげた弔辞を思い出させるものだったというのは褒め過ぎか。●朝のワイドショーで玉川徹氏が、菅さんの感動的な弔辞の裏に電通がいた可能性を指摘し、今回の葬儀が国葬でなければテレビや新聞がこんなに取り上げなかったのだから、まさに国葬が政治的プロパガンダとして利用されたのだと言っていた。少し言い過ぎだと思うが、確かに、もう政治家の国葬はこれを最後にした方がいいだろう。●水曜日だが、今日はコナミスポーツに行かない日なので、昼前に天王寺に出て、昼食はあべちかの「膳や」で。チケット屋で岡本太郎展のチケットを買おうとしたら置いていなかった。●地下鉄と阪神電車で福島へ。中之島美術館で、7月から始まって、今週末まで開催中の「岡本太郎展」を見ようと思ったのだが、なんと、当日券を買っても、午後4時からしか入場することができないという。しかたなく、入場を諦めた。平日だから大丈夫だと思った認識が甘かった。岡本太郎人気がこんなに高かったとは。悔し紛れで言うのではないが、私自身は、愛する「太陽の塔」を除いて、岡本太郎の作品との相性が悪くて、岡本太郎の最大の作品は岡本太郎自身だったとさえ思っているので、今回も、家内が行こうと言い出すまで、展覧会に行く気はなかった。でも、こうして入場できないというになると、なにやら残念な気持ちになった。

0929(木)曇
●今日は、日中国交回復からちょうど50年。現在の日中関係は最悪ではないまでも、かなり悪い。習近平という人物のイメージの悪さも影響しているのだろう。でも、中国語の勉強はもっと頑張らないと。●朝のワイドショー。玉川氏は昨日の、菅さんの弔事には電通の演出が入っている云々の話は間違いだったと謝罪。勇み足だろう。反玉川の人間たちを喜ばせただけ。自重を。●すっかりパク・ウンビンの虜になって、今日もNetflixで「恋慕」を。少し飛ばしながらだが、何話分も見てしまった。残りは後数話のみ。早く見終えないと、他のことができなくなる。情けない。韓国ドラマの沼にはまるとこういうことになる。最近は日本のドラマでも「鎌倉殿の13人」にはまっているが、あれは週に一度だから。

0930(金)晴
●真木悠介「時間の比較社会学」読了。「時間のニヒリズム」、つまりパスカル的な死の恐怖と生の虚無感の克服は、高校時代以来の私自身の問題でもあった。70歳を越えた今でも、私はその問題を解決できたとは言えない。真木さん(見田宗介)は、これまで哲学者や文学者、宗教家の仕事だったこのテーマを社会学者として取り上げた。結果として立派な仕事になったし、この本は名著だと思うが、やっぱり学者の文章は読みにくい。できれば、エッセーのような文体で、もっと一般人の我々の胸に直接ひびくように書いて欲しかった。そうすれば、もっと多くの人々の生涯の座右の書となりえただろう。●「恋慕」を最後まで見終えた。最後はいかにもご都合主義の展開だったが、まあ、ファンタジー歴史ドラマだからよしとしよう。パク・ウンビンとはしばしお別れ。


     

     


      


      
     

      


     

     
     
  
     


  

      
       
     


   

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