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arrows N F-51Cを今更購入

見出し画像はARROWS違いだ。

まあ、なんでまたそんなことをと言われるのは承知の上なんですが……


なんで買ったん!?

「もともと欲しかったんよ」

いや、それだけだとあまりにも味気ないので。
arrows NはFCNTが民事再生を申請する前に発売した最後のスマートフォンです。
再生素材を使っていること、それでいながら高耐久を売りにしたモデルですが、とにかく高い!!
このスペックで9万……いや無理っす、それが率直な感想でした。
欲しいという思いはあるものの、まあ金額に見合ったスペックではないし、その金額を出すなら他のを買ったほうがいいと思って見送りました。
(発売時点では民事再生になるとは思っていないので、次のモデル次第かなと思ってもいた)

先日、何かを買うつもりではなくドコモオンラインショップを見ていたら、Xperiaが大幅に値引き販売されていることに気付きました。Xperiaだけではなく、arrows Nも割り引かれています。
とはいってもお高いんでしょう?と思いながら見てみると、23000円の値引きでいつでもカエドキプログラムを使うと2年間は月1000円ほどの支払いで購入できることがわかりました。
2年後に返却するかもしれませんが、多分この機会を逃すともう手にする機会はなさそうだなと思い、敢えて手を出してみることにしました。

思いの外早く届く

数日かかると思っていましたが予定日よりも早く到着しました。
早すぎてガラスフィルムとか注文するの忘れてたわ。

箱はなんとも無味乾燥です。
近年充電器やケーブルが同梱されないことで箱が小さくなってますが、それにしても味気ありません。
これ本当に定価9万超の製品の外箱っすか。
サステナブルを演出する意図はわかるんだけど、お高い端末を買ったという満足度を充足させる演出は皆無です。

箱(オモテ面)
箱(裏面)

印字してるインクもバイオマスインクらしい。
リサイクル部材の使用率がでっかく書かれていますが、再生アルミ100%はiPhoneもやってるし、あんまし目新しさはないかなぁと。
で、最初は箱の開け方がわからず戸惑いました。危うく側面を破るところだった。
PUSH THIS SIDEと小さく印字するくらいしてくれても良かったのでは。

arrows N F-51C

オンライン限定色のブラッシュネイビーにしましたが、予想以上に擦れて傷が入ったような見た目でビビりました。
面白い質感のものを出してきたなと思います。

セットアップしてみて感じたのは、Snapdragon 695 5Gを搭載しているはずなのに、なんかもっさりしてるなと。
どうやらこれは画面のリフレッシュレートのせいで、デフォルトは60Hzに設定されていますが、これを120Hzに変えると体感的なもっさり感はかなり軽減されました。

それより何より、やはりarrowsを使う上で現在最大のハードルは、やはりソフトウェアアップデートが提供されなくなっているということでしょう。
ドコモ版のarrows We F-51Bともども、arrows NはAndroid 12に据え置かれています。
(なおau版とソフトバンク版のarrows WeはAndroid 13が提供されている)
それはまあともかくとして、arrows NはGoogle Playシステムアップデートも比較的新しいものが落ちてこないというのは驚きました。
3回のOSバージョンアップ、4年のセキュリティ更新を保証するという発売当初の宣言はいきなり反故にされてるわけで、言葉をなかなか捻り出せません。

うーん、なんかこう……前途多難だぞ?

似たようなスペックの機種と比べる

Snapdragon 695 5G搭載機というと、たまたま?うちにはモトローラの「moto g52j 5G II」という機種が転がっています。
3万円弱で10%分のポイント還元もあったので、まぁまぁ安く購入していると思います。
結構似通ったスペックだと思うのでまずはスペックを比較してみます。

スペック抜粋

カメラ以外は思っていた以上に似通ってるなあ。
g52jはマクロの200万画素がついて3眼になっていますが、双方5000万画素クラスのメインカメラと超広角800万画素クラスという構成は共通しています。
g52jのほうが一回り大きいので、解像度やバッテリー容量が大きいですが、それ以外のスペックはほぼ同じとも言えます。
表には記載していませんが、どちらのモデルもディスプレイのリフレッシュレートは最大120Hzです。
またOSも、どっちも最新はAndroid 12ですね。

対応周波数帯が大きな違いで、arrows Nはドコモのキャリアモデルであることから、ドコモの対応周波数に最適化されているようです。

性能面で比べてみる

arrows Nで最初に感じたもっさり感、g52jでリフレッシュレートの設定を60Hzに落としてみたところ、やはり同様のもっさり感があったので、これはやはりリフレッシュレートからくるもので間違いなかったようです。
あとはホームランチャーに起因するものと思いますが、g52jもデフォルトのMoto Appランチャーだと重いので変えてしまいましたし、arrowsもarrows Weで標準のarrowsランチャーから変更するとかなり軽快になったため、arrows Nでもランチャーを変更することで改善するものと思われます。

試しにGeekbench 6でベンチマークを取ってみます。同じSoCなのでほぼ変わらない数値が出るはずです。

arrows NのCPUベンチマーク
moto g52j 5G IIのCPUベンチマーク

気持ちarrows Nのほうが数値がいいですが、ほぼ誤差の範囲でしょう。

色々と動作確認をして、ゲームの動作確認もしてみました。
概ね差はないものの、全体的にg52jのほうが警戒に動いているような感じもします。
ウマ娘をインストールして動かしてみたところ、レース場面では画質設定を標準版にしても特に動作に影響はありませんが、3Dレース表現の高品質化をオンにしたところ、動作がカクつくことを確認しました。
これはarrows N、g52jとも共通なのでSoCの性能の限界ということでしょう。
ゲームモードにおける有効化できる機能の差(g52jはCPUの高パフォーマンス化、arrows NはWi-Fiの低遅延化)はありますが、体感的に明確な差を感じるほどではなく、どちらもなんとなく引っ掛かりを感じるもののプレイ全体には支障はないという感じです。
他のゲームだともう少し変化があるかもしれませんけど。

ミドルレンジとしては悪くない端末だが

カメラの比較もしようかと思いましたが、長くなるのでやめます。
総じてミドルレンジとして、arrows Nは悪くはないんですよ。
悪くはないんだけど、同等のスペックを持っているライバル機が2〜3万円台で買えてしまうこと、もう少し出すとPixelシリーズにも手が届くことを考えると、arrows Nに9万円払うなら安い同等スペックの製品を選ぶか、PixelやXperiaなどを選ぶという選択になるのは致し方ないのかなと感じました。
プライバシーモードなど、富士通時代からの機能もありますが、それで穴埋めしようにも実体と価格に開きがありすぎるように思うんです。
結局反故にされた形ですが、発売当初に謳っていた長期サポートが実現したとしても、5万円台を超えるときついなと感じます。

FCNTが民事再生に至るほど追い込まれた原因についてはほうぼうで検証されていますからここではしませんが、arrows We、arrows Nを持ってみて率直に感じたことを述べます。

端末は正直良く出来てる

かつて富士通(富士通東芝)製のスマートフォンは最初にTegraを採用してしまった為に発熱が凄く、以後続いた端末も動作が重かったり発熱やバッテリー消費が芳しくないことで、あまり評判が良くない時期があったのは確かです。
実際は及第点の端末でも、富士通製というだけで一段評価を下げられていたことも少なからずあったと思います。

しかし近年はAndroid自体がOSとして洗練されてきたというのもありますが、ハイエンドを捨ててミドルレンジで勝負するようになってからの端末はかなり安定したものを作れていたように思います。
今回同クラスの製品と使い比べてみて実感しましたが、けっして製品として二段三段劣るものを出しているとは思いません。
「端末単体として」見た場合、良く出来てるのは間違いないと思っています。

キャリア依存が強すぎる

三大キャリアに端末を供給していたFCNT(楽天モバイルにはMNOになってからはarrows RXを一度供給しただけ)ですが、一般向けSIMロックフリーモデルとしてはarrows M05が最後。
arrows Weは三大キャリアに供給していますがそれぞれ各キャリア向けに仕様を変えていますし、arrows Nはドコモのみの供給です。
ワイモバイルのジャパネット専売モデルとしてarrows J、UQモバイルにau向けとほぼ同仕様のarrows We(FCG01)が供給されている例外はありますが、三大キャリアへの依存が強すぎるという傾向は見られます。

まとまった台数を一括で引き受けてくれるキャリア向けの供給がおいしいのはわかりますが、かつての契約と端末が完全に紐づいていた時代ならともかく、現在の契約も端末も浮動の環境では、キャリアに依存した端末仕様は使いにくいと言われてしまいます。
実際、arrows Weは仕向けキャリアごとに対応周波数が変えられているため、他キャリア(MVNO含む)へ移る際に対応周波数を意識しないといけません。

MVNOに出してみたけど売れなかったから、それはそうなのかもしれません。
ただ、 arrows M0xシリーズは長らくSoCとメモリ容量が固定され大きなスペックアップがされてこなかったことを忘れてはいけません。
エントリーモデルだとしても、ずっと処理能力が上がらないものが出続けると、まあユーザーの気持ちは離れるよねと。
ドコモ向けのarrows NXに相当するモデルを一度くらいSIMロックフリーモデルとして出していたら、と思うところもあります。

せめてSIMロックフリーで出してたら

繰り返しになりますが、arrows Weとarrows Nはよく出来たモデルだと思います。
ただ惜しいのはやはりキャリア向けと(仕向けキャリアに特化)して販売されていたこと。
arrows Weはキャリア向けだったとしても対応周波数帯が全モデル共通、ソフトレベルで差別化してくれていれば、まだキャリアを移行しても使いやすさがあったと思いますし、SIMロックフリーモデルを用意すればサブキャリアやMVNOでの取り扱いも期待できたのではないかと思います。
Snapdragon 400番台は処理能力があまり高くはありませんが、arrows Weに搭載されたSnapdragon 480 5Gはそれまでの400番台に比べると処理能力が高く、もっさり感を感じにくくなっているため、従来の「エントリー向け=もっさり」という先入観を破ってくれるのが期待されるモデルでした。
(シャープのAQUOS senseシリーズがSnapdragon 695 5Gを搭載してきてるので、やはり分が悪いのは否めないが) 
ただ、低価格帯の端末は利幅が薄いので、数が出ても旨味は少ないといわれており、なかなか厳しいなと。

おしまいに

SIMロックフリーでエントリーレンジ向けだけではなくミドルレンジモデルを出す、モバイルゲーム向けに特化したゲーミングハイエンドを出してみるとかすると、イメージが多少なりとも変わったのでは……と思うところもあるのですが、旧富士通故のお堅さだったのか、もはやそういう手を打つ体力すら残されていなかったのか……などと考えると悲しくなってきました。

FCNTの端末事業については、レノボグループが買収するという報道が9月頭に出ていて、22日には事業譲渡が完了するとのことでしたが、いっこうに音沙汰がありません。
買収されるならされるで、止まっているソフトウェアアップデートが再開されるのを望んで止みませんが、どうなったんでしょうね。
買収されたとして、モトローラに統合されてしまうような気もするのですが、今回FCNT最後の端末と比較したのがモトローラの端末だったのが、偶然とはいえなんか皮肉だなと感じてしまいました。

「偶然だぞ!!」


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