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たかがパンクされどパンク

自分のための覚書なので無駄に長いし、面白くもないです。

雨続きの日々がひと段落したので、先延ばしにしていたUFOライン行きの予定を立て直す。フェリーの予約状況を確認したら、定期点検で来週の便を逃すとしばらく大阪発着がお休みになるとのこと。

再開を待ってたらきっと暑くなりそうだし、そもそも5月に行く予定だったから早く行きたい。休み取ってフェリーの予約も取って荷造りも少しずつ始める。でも何だか気が進まない。

こんなに慌てて予定入れて大丈夫かなという不安が消えない。この頃携帯ポンプも買いなおそうかといろいろ見てて結局決められずにやめていた。買ってればあんな目にも合わなかったのに。

4月5月と何だか思うように走れてなくて落ち込んでいた。直前にビワイチに誘われて断ろうと思ったけど、ひとりじゃ絶対行かないし、久々に顔見る人もいるしと参加。しかしいろいろあってパワーもメンタルもボロボロになってしまった。

フェリー乗船日は早上がりして港へ自走。しかしボトルを職場に置き忘れて数キロ走ってから気付いて戻る。何だか最初からケチついたなあと。余裕をもって出たので問題なく乗船して、宇和島鯛めしを夕食を摂って出航時間には入浴。翌朝は5時前起床なので12時にはベッドに入るが全然眠れなかった。

ちなみに部屋は自転車そのままで泊まれるプラン。部屋に洗面台が有るだけでちょっと便利だし、鍵もかけられるので安心。前回は古いフェリーだったので、お風呂もトイレも見違えるほどきれいになっててびっくり。とくにお風呂のシャワーはスーパー銭湯並みに個別に仕切られてて船上とは信じられないくらい。

翌朝、通常なら荷物を預かってもらえるのにドッグ入りの都合で無理と船内放送で知る。フェリー乗り場にはコインロッカーも無いので途方に暮れる。取り敢えずリュックを背負ったまま6時過ぎに出発。駅に行けばコインロッカーが有るに違いないと、港から近い石鎚駅へ向かった。

早朝の割にそこそこ車も多く予定外のルートなのでゆるゆる。主要道路を外れて田んぼの間を抜けると前方に赤い巨大な鳥居。辿り着いた石鎚駅はなんと無人駅。駅舎は木造の掘立小屋(失礼)みたいで、ロッカーなんてものはない。ホームには女子高生がひとり。

次の駅に行くしかないと調べると、なんと寒風山の登り口の近くに伊予西条駅が。最初からなんでこっちに行かなかったのか。同じ路線とは思えない大きな駅舎でもちろんロッカーも。100km先まで無いトイレもあったので済ませ、気を取り直して出発。

懐かしい河原沿いを下ハンで疾走。だんだん緩斜面になっていく。前は初めてだし紅葉がきれいで写真撮りもって登ったけど、今回は200km走る予定なのでとにかく進む。スタート地点からトンネルと林道の分岐まで25kmぐらい。途中サイコンの固定ネジがまた緩んできたので、嫌な感じだなあと分岐まで様子見ながら進む。手持ちのシリコンバンドで固定して、林道に入った。

ライトの無い寒風山旧トンネル(瓶ヶ森林道入り口)までは10kmほどの登り。途中のつづらは楽しかった思い出が有るので今回も楽しみにしていた。しかし一つ目のカーブで右に曲がるとき視界に駆けていくクマの後姿が入る。けっこう大きい。私の気配で逃げ出したのか、たまたまなのか分からないけれど、この山にもクマがいるのだと分かった途端怖くなった。

暫くそのまま走っていく。新緑がキレイで走っているだけで楽しい(びびってるけど)。野犬もいたけど目に入らなかったふりをして進む。湧水を組んでいる人を横目に先を急ぐと通行止めの看板と車止め。なんで?

事前に通行止めを調べたときは長沢ダムと大橋ダムの時間通行止めだけだったのに。取り敢えず進めそうかどうか見に行くと重機が道をふさいでいる。作業してる人が「どこ行きたいの?」その人の向こうは道が無い。

会話しながら引き返すしかないかと思っていると、もう一人の人に「自転車担いであげてくれる?」と。そして私に「あれ登ってずっと行ったら階段有るから」と垂直に立つ梯子を示される。登るしかない。

滑ることもなく梯子を乗り越えてフェンスを伝って、運んでもらったヘリウムさんが待つ抉れた道の向こうへと辿り着く。お礼を言って先を急ぐ。路面は通行止めのせいでアスファルトが見えないぐらい落ち葉と落石で覆われている。お腹空いたしとちょっと疲れたなあと思っていたらトンネルが見えてきてホッとする。

瓶ヶ森林道の入り口はちょっとした広場か駐車場だった記憶があるけれど、大きなダンプカーが停まっていたし停まる理由も無いので素通り。少し下ってまた登りがはじまる。あと15km弱であの絶景に出会えると思うと張り切るしかない。とは言え眠れなかったせいかやたらと眠い。気がせいてるせいか景色もあまり目に入らなくなって、何だかよろしくないなと思って景色良さげなところで止まって補給。登山口が有るらしく、車から大きなリュックを背負った人が降りてくる。ちょっと羨ましい。

UFOラインの絶景ポイントに着いて写真撮って即出発。予定より30分早く着いているので、このまま順調に行けば200km完走出来るとは思うけど、いかんせん登りがやたらしんどい。今思えば50km近く登り続けてたらそりゃしんどいわという感じだけど、その時はもう今日はループ橋諦めて、にこ淵から港に戻った方が良さそうと思いながら走ってた。

下りがはじまって、土小屋の分岐でミスったりしながらも、絶景だし快適だし気持ちよくて、下り楽しいと思うの久しぶりだなあと思っていたら後輪に違和感。降りてみると空気が減ってる。チューブを確認したけど何処から空気が抜けてるのかわからない。川のせせらぎが大きくて音もわからないので、取り敢えずタイヤの切れてるところにブート挟んで、チューブも交換。ポンプの手ごたえが何だか頼りないなあと思いながら取り敢えず走れるぐらい入れて再開。

ダムの時間通行止めも切り抜けて、にこ淵との分岐まで何とか走り抜ける。ちょっと不安だなあと思いながら、ここまで来たら一番見たかった仁淀ブルーの滝壺を見てみたいし、往復20Kmだからと進んでしまった。

最初は平坦だったのが急に勾配のきつい下りが始まって、それも長い。これを登り返さなあかんのかと不安は募る一方。いつまでたっても下りが終わらない。楽しみにしていた天空のコーナーも楽しめない。すぐにこ淵の入口が見えて少しほっとするものの、後輪の空気がかなり減っている。

空気補充してみるものの、全然空気が入らない。またパンクなのかとチューブを換えたものの全然膨らまない。ポンプ壊れてるやん。チューブだけの状態なら入るけれど、パッキンか何か駄目になってるのか、タイヤに入れた状態だと圧に耐えられなくなってるようで手ごたえが全くない。

取り敢えずここまで来たからにはにこ淵は見て帰ろう、とカツカツ滝への道を歩く。多分2kmぐらい。急な階段を下りてエメラルドグリーンの滝壺を眺める。ほんとならここでゆっくりお握り食べようと思ってたのに(しかし着いてから知ったけどここは神聖な場所なのでほんとは良くない。半パンも良くない)。

写真撮って早々に引き上げる。もう一度チャレンジしたら何とかなるかもしれんと思いながらヘリウムさんの元へと足早に下る。次いつ有るかわからないのでトイレを済ませて再チャレンジ。やっぱり無理。見物を終えた観光客の車が次々出ていく。もう15時。フェリーの乗船開始まで5時間、出航まで7時間。

auの保険に入っているので最終的にはそれと思ってたけど、なんと圏外。第一フェリーに間に合わない可能性も無きにしも非ず。

取り敢えず進むしかない。押し歩いていたら誰か声を掛けてくれるかもととぼとぼ進んでいたけど、いかんせん勾配のきつい上り坂なので、体型も手伝って単に登れない人にしか見えないかもと不安になる。このまま歩いてても港まで50kmあるので間に合う訳ない。ランでも当然無理。乗ってみたもののやはり単純に怖い。

早歩きで押し歩いていたら路肩にたくさん草が生えている。外国人が何も持ってない時草詰めて帰ってたわーという話を思い出す。

気が付いたら無心に草むしりを始めていた。タイヤを片側外してレバーで詰めていく。よもぎはいい匂いするけど全然詰め物にならない。少し走ってみたものの、すぐ磨り潰れてぺちゃんこになってしまった。ちょうど天空のコーナーだったので写真撮って、日陰まで行って詰めなおそうと進んでいたら、ススキか何か細長い草がいっぱい生えてる!これめっちゃいいやんと次々引っこ抜いては束ねて詰める。

なんだか段々ホイールに餌やってるみたいに思えてくる。パンパンにして走りだす。ちょっと不均等なのでボコボコするけど登れる!めっちゃしんどいけど空気入っててもしんどいわと思いながら丁寧に回す。10km登り切ったら、あとは下り基調の20kmのアップダウンと15kmの下り。

あれから何故か草の生えているところが全然なくて、そろそろ補充したいなと思った頃にまた細長い葉っぱの草むらが現れてホッとする。普段なら草むらなんか意識しないのに。

スピードは遅いとは言え、時速10㎞でも船には間に合うのでこれ以上のトラブルが無いことだけ祈って走ってた。下りが意外とスピードに乗るので、先に有る長い下りがとにかく不安。直線で5.5kmのトンネルも控えている。

途中の道の駅にもしかしてポンプ有るかもと思ってたけど、もう17時を過ぎてて閉まってるぽいので素通り。リュックを駅に取りにいかないといけないのを思い出す。リュックにはもしものために輪行袋入れてたので、もう駅からタクシーで港まで連れてってもらおうと心に決める。

トンネルの手前の緩い登りが結構きつくて少し休憩。もうすぐ長い下りが始まる。緊張を高めて突入。やっぱりすごいスピードに乗る。たまに何か当たるのか硬い音が響く。タイヤ外れたらどうしよう、変にブレーキ掛けてホイールごと飛んでいくかもしれん、フレームも心配とグルグルいろんな不安が脳内を駆け巡ってたな。

何とかトンネルを切り抜けたものの、まだまだ下りは続く。それも勾配きついし路面あまり良くない。パヴェ走ってるみたいで、前輪もパンクしたらもう絶望と思いながら全身で車体を抑えて耐える。

少し勾配が落ち着いたところに待避所が有ったので、ポケットに入れていた補充用の草を詰める。あと十数kmで駅。と思っていたらワゴン車の人が声を掛けてくれた。駅まで載せてあげると言われたけど、何だか恥ずかしくて丁重にお断りしてしまった。ここまで来たら、自力でという気持ちがあったのかも。

勾配が緩くなって安堵感が出てきた。異様に腰が痛い。遠くの山に夕日が沈んでいくのが見えて、日が長い時期で良かったとつくづく思った。真っ暗だったらきっと年甲斐もなく泣いてただろう。歩道を歩いてる人を見て街中に戻ってきたなあと実感。駅までもうすぐ。

19時ごろ駅に到着。コンビニでいろいろ買い込んで、輪行の用意してタクシーに乗って、事の顛末を聞いてもらってるうちにちょうど乗船開始時間に東予港に到着。よく辿り着いたなあと、やっと生きている実感みたいなのが出てきた。

建物に入って、自転車を隅っこに置いて受付へ。体温センサーの前に立つと係の人が「体温高いですね」と一言。思わず「走ってきたんで」と間抜けな応答をしてしまう。時間に余裕はあるので、ちょっと休憩してから測りなおしましょうと言われる。ここまで来て乗れないなんて、と思うと焦る。翌日は仕事だし、一旦帰ってねこちゃんたちにご飯もあげないといけない。

トイレで脇の下冷やして、正に面洗って出直す。ちょっと高めだけど下がりましたねーと乗船できることに。おそらく日焼けが原因。自転車が輪行状態なのを見て、料金を手荷物料金に修正して下さった。

ほんとよく帰ってきたなと、ヘリウムさんとwtoさんにめっちゃお礼言って、たらふく食べてお風呂入って寝たら直ぐ朝。御堂筋線が停まって振り替えで堺筋線に乗ってくるサラリーマンの中で、レーパンで輪行袋担いでるの何か申し訳なかったな。

後日ちょうど点検に出す予定だったのでちゃんと診てもらったところフレームもホイールも無事だったので、一生フレームはリドレー、ホイールはカンパ使うつもりです。

長々と失礼しました。








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