歯がない親友の話

僕の親友を紹介します。

ハラモトくん御年32歳。

大学時代からの親友で、出会ってからなんと12年が経ちました。こいつは今まで見た人類の中で一番謎な人間で、是非その存在をみんなに知ってもらいたい。

画像1

まずイメージしやすいように、学生時代の写真を載せます。この真ん中にいるのがハラモトくんで、その左で人間やめているのが僕です。

この頃、彼の前歯は健在ですね。5年後に前歯がなくなっているとも知らずに、変顔なんてかましてます。

僕もハラモトくんも人間偏差値で言うと、31くらいでした。ギリギリ人間であるというレベルでしょうか。僕たちはどちらかというと深海魚とかに分類されるような、そんな人間でした。

彼の特徴のひとつに、前歯がないという点が挙げられます。

時は約5年前、終電の中央線。死ぬほど混む電車の中で彼は揺られてました。

電車がとある駅に停車し、ドアが開いたその瞬間、ドア近辺にいたハラモトくんは背後から降車を急ぐ女性にタックルを受け、ホームに倒れ込みました。

なぜか前歯から。

血だらけになるハラモトくん。飛んでいく前歯。ホームに鳴り響く悲鳴。降車を急ぐあまりタックルしてしまった女性は、青ざめながら前歯を拾いに行ったそうです。ホントにすみません、これ…と自分の歯を渡されたハラモトは、

「あ、これ僕のじゃないっす!!」

と笑顔で一言。

いや、こんな人間います?おれのじゃないっすって言ってるその口は血だらけで、前歯無いんですよ?

というか普通なら押されて前歯飛んでる時点でブチ切れても全然おかしくないのに、笑顔でおれのじゃないですって言い切れてるんですよ。どういう心理状態なんでしょう。

多分普通の人間は終電で前歯吹っ飛ばして血らだけになってたら、へこむだろうし、何か色々絶望すると思うんですが、

「前歯無くなったわwww」

って言うラインと血だらけの会心笑顔写メを僕に送ってきたのでした。

ハラモトはそういう男なんです。でもなぜ彼が腕でなく、前歯で受け身を取ったのか、その点だけは中央線の謎です。

後日。超絶めんどくさがり、かつ病院嫌いの彼ですが、営業職ということもあり、さすがに歯の治療に行ったそうです。ただ一度で治療が終わらず、一時的な対処として差し歯をもらいました。

差し歯は全然フィットしていなかったそうですが、そこから約1年歯医者に行くことはありませんでした。

ある夜。深夜の渋谷センター街。ハラモトを含む友人4人で気分よく飲んでいました。二軒目行こうと移動していたところ、突然ハラモトくんが消えました。そのまま気にせず3人でラーメンを食ったり、飲んだりしていたら一時間ほどしてようやく連絡がつきました。

「咳したら前歯どっか行ったわwww」

と超笑顔。その笑った口元に前歯はありませんでした。その辺にいた警備員の人にも手伝ってもらい、懸命の捜索したそうですが、実らず。

‘’センター街で前歯を無くしたら見つからない‘’

‘’差し歯は咳で飛んでいく‘’

人生において、誰にとっても意味のない教訓を彼は残してくれました。

ちなみにその後も一緒にご飯食べてパンをかじると、パンに差し歯が刺さっていたり、カラオケで熱唱すれば歯が吹き飛んだりしていました。

そんな最高の友人です。

ハラモト

ある夜。明け方4時55分。ブーブーブーブー、という着信音で僕は目が覚めました。そう、ハラモトくんです。人に絶対電話をしてはいけない時間帯、一般常識ではそう思われますが、彼には関係ないのです。そういう世界で生きていないのです。

こいつブッ頃してぇ!と思うときもあれば、安らぎもくれる、そんな不思議な人間です。

彼のエピソードは尋常じゃない話がたくさんあるのですが、ほとんどここに書けません。

リアルで会った人にはお話ししたいのですが、

ハラモトと〇〇した話
足を48針縫った話
急性アル中の話
よくうんこを漏らしてしまう話

などなど彼はネタに尽きません。

僕が出会ってきた中でもトップ3に入る意味の分からない面白さを持っているやつなので、東京にいる方は是非会ってみてください。

良い意味でも悪い意味でもトラウマになると思います。

ご拝読、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?