昼下がりのコンクリート

見る
今日を見る
明日を見る
明後日を見る
この目に映るのは

真実なのか
嘘なのか

好きの反対は無関心
であるように
生きるの反対は何も感じないこと

肌で感じる
匂いを感じる
気持ちを感じる

誰かに触れられない私は
意味のない存在のように感じる

体に記憶はあるのだろうか
触れられた記憶
触れた記憶
温度の記憶
濡れた記憶

私知ってるよ
あなたの気持ち知ってるよ

知らないふりして
目を逸らす

気づかないふりの記憶

記憶は
昼下がりのコンクリートに
マンホールの上に
昨日の布団の上に
靴の中に

記憶はどこにだってある

目の端では記憶を見ている
見てないふり

だって私の目は
私の体の中から
私が見ているだけだから
私の体は
ただの容れ物
中にいる私が本当の私

二つの目で
世界を覗くだけ

本当の私は
誰にも見せてなんかあげないんだ

本当の私を知っているのは
私だけ

記憶の貯蔵庫は
いっぱいいっぱいで

もうこれ以上入らない

言葉と真実がずれると
言葉と行動が違うと

記憶の貯蔵庫は
容量を小さくしていく

見る
今日を見る
明日を見る
明後日を見る

見た先には
偽りだらけの
汚らしい微笑み

また容量が小さくなった

記憶は日々重なる
それと比例して
容量が小さくなる

この容れ物にある記憶は
黒い記憶
一点の光の記憶を頼りに

見る

今を見る
明日を見る
明後日を見る

私知ってるよ

記憶の容量は増えないってこと

あなたのこと

忘れちゃった

もう入らないから

見ないように
見ないように

もう嘘はお腹いっぱい
容量オーバーです

昼下がりのコンクリートにも
マンホールの上にも
昨日の布団の上にも
靴の中にも

もう

真実は落ちていない

そこには記憶があるだけ

全てが嘘だったという
記憶があるだけ

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