ひかわきょうこ先生のファンサイトの管理人さんへ



思い立ったらすぐに検索をしないと気が済まない私は何をきっかけにか思い出した大好きな作家の名前を検索窓へ入力した。


"ひかわきょうこ"


いくつもヒットする中で、最新の情報を見るとそこには"POP-UPストア開催"の文字。


数年前に近場で開催されていた原画展の存在に最終日まで気づかず半狂乱になりながら、会場近くへ住む母親にグッズとサイン(これも売られていたのでグッズに入るのか)を頼み、気持ちを昇華させた過去がある身としては、今回こそ何がなんでも行かなければならないという謎の使命感。

日時を確認し、頭の中のスケジュールと照らし合わせ、ふむふむと落ち着いたところでふと思い出した。


そういえばあのファンサイトはどうなっただろうか、と。


まだ私が小学生だった頃、母親の友達から借りたひかわきょうこ作品に生きる少女漫画らしくない強いヒロインと寡黙な男の子たちはズンズンとオタクの道を切り拓いていた身にクリティカルヒットした。

ひかわきょうこ先生の作品は全て読みたい。

読んだことがない短編が収録されてると知れば既にもっている話だとしても単行本を買い読み漁り、小学生にしてはなかなかの執念で世に出てるひかわきょうこ作品を求めた。


ここまでくると湧き上がってくるのが"誰かと共有したい"という願望で、イザークのノリコを傷つけたくないといういじらしさ、藤臣くんの千津美を見つめる眼差しの優しさ、義くんの不器用さ!!!なぜ誰とも話せない!!!!!!!

ヒーローヒロインだけじゃない、脇を固めるキャラクター達がどれだけ魅力的かも全て、全て!話したいのに話が合う人が居ない!!!



そんな想いを抱え、耳に蓋をした母親に一方的にひかわきょうこ愛を語って語って、そんなある日、ふと思い立った。


ファンレターを書こう。
愛する作品を生み出してくれた先生へ感謝の気持ちを。



どこへ送ればいいのか。
この時もう高校生になっていたが、ファンレターなんてものを書くのが初めてだったので、初歩的なことがわからなかった。


そんな時に出会ったのがひかわきょうこファンサイトだった。



初めて見つけた時、感動した。

同じようにひかわきょうこ作品を愛してる人がいて、いやもっとずっと愛してる人がいて、こんな素晴らしい場所を作ってくれている。

掲示板に書き込みした。

掲示板に書き込むということ自体初めてだったからとても緊張しながら、自分の年齢と先生への愛と質問を打ち込んだ。


もしかしたら誰からも返ってこないかもしれない。
そもそも誰も見てないかもしれない。

なんせ前の投稿は随分前だったから。


そんな半分諦めの気持ちで待っていると、次の日返事がかえってきた。


もう詳細は思い出せないが、冒頭だけは覚えてる。

「〇〇さんは高校生なんですね。」

から始まるとてもとても優しい丁寧な文章だった。

ファンレターを送る先も優しく教えてくれた。


きっと私がひかわきょうこ先生を好きな理由のひとつはこの方で。

ファンはアーティストの鏡、という言葉があるけれど、温かい作品はファンの方まで温かいんだな、と同じ作品を好きな人間として無性に嬉しくなった記憶が残っている。



そんな優しい人と出会ったファンサイトが消えてしまっていた。


それ自体は悲しいのだけれど、こうやって優しい人と出会えて、思い出しては幸せな気持ちになれる記憶を残してくれたことを本当に感謝してる。



ひかわきょうこ先生のファンサイトの管理人さんへ
幸せな空間を作ってくれてありがとうございました。


ひかわきょうこ先生
優しい人とお話しできる機会をありがとうございました。


これからも応援してます。
大好きです。


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